『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦   3

2013-04-29 07:17:38 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、アレテス。いま、リナウスの報告を聞き終わったところだ。まあ~、めしにしようや。腹が減っている。お前らもよ~く考えてみろ、朝起きてだな、夜更けて寝るまでに3回、腹にものを入れる。起きている時間と寝ている時間は同じくらいの長さだ。まさに断食状態で朝を迎えるわけだ。寝ていても腹が減る。空腹を感じて当り前だ、そういうわけだ。理屈を言ったな。食おう食おう。ところで奴のめしは、どうした?』
 『心配いりません。監視している者と一緒に食べているはずです』
 『そうか、よしっ』
 五人は笑みを交わしながら焼けたばかりのパンをほおばった。
 『おう、お前ら、食べながら語れる昨日のことなどを話してくれ』
 アレテスがとつとつと話し始めた。
 『私が通過した集落は7つぐらいですが、みんな、小さなでした。戸数が20戸ぐらいの小さな集落が点在する地域でした。最後に調査した海岸に近い集落は人が住んでいない有様です。ホコリなどのたまり具合から見て、人がいなくなって一年以上たっていますね。その集落は、海岸にほど近かくの小高いところにあり、指呼の視野の中に小島の見えるところでした。見渡す湾の海岸線が結構長い、まあ~、あの小島はその湾の『ヘソ』に見えましたね。その集落のひとつの小屋の中で奴を見つけたようなわけです。そんなこんなで調査を終えて、ほどなく着いたところがキドニアの街でした。そこをうろうろしていたのが日没の頃、俺らが浜に帰着したのが夜更けの頃というわけです』
 アレテスは、行旅のもようを話した。


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