言語筆舌では表現の出来ない無惨な一夜が明けようとしている。昇り来る朝日の感知しない悪夢の夜が終わり、新しい朝が訪れようとしている。トロイの人々にとって、あまりにも惨酷な思いの封をきる朝であった。
連合軍の陣は沸いていた。10年に及ぶ長~い年月を経ての勝利に沸いていた。
アガメムノンは、オデッセウスの姿が見えないことに気付いた。瞬間、彼の心は翳った。彼は、メネラオスに尋ねた。
『どうした。オデッセウスの姿が見えん!気にかかる。』
『オデッセウスか。彼は、野暮用だ。もう、来る頃だと思う。』
そんなとき、灰燼と化した街中に、こちらに向かって近づいてくる、ひとりの女につきそわれて歩いてくる男の姿があった。陣中から二人の男が飛び出した。二人の男は走った。全力で走った。ひとりはエペイオス、ひとりはネオプトレモスであった。
メネラオスは、この手負いの野獣のような男を陣に迎える準備をした。将兵たちは、通路を作り、両側に列を作って並んだ。
連合軍の陣は沸いていた。10年に及ぶ長~い年月を経ての勝利に沸いていた。
アガメムノンは、オデッセウスの姿が見えないことに気付いた。瞬間、彼の心は翳った。彼は、メネラオスに尋ねた。
『どうした。オデッセウスの姿が見えん!気にかかる。』
『オデッセウスか。彼は、野暮用だ。もう、来る頃だと思う。』
そんなとき、灰燼と化した街中に、こちらに向かって近づいてくる、ひとりの女につきそわれて歩いてくる男の姿があった。陣中から二人の男が飛び出した。二人の男は走った。全力で走った。ひとりはエペイオス、ひとりはネオプトレモスであった。
メネラオスは、この手負いの野獣のような男を陣に迎える準備をした。将兵たちは、通路を作り、両側に列を作って並んだ。