『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第14章  焼討炎上  30

2008-07-18 08:00:26 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 言語筆舌では表現の出来ない無惨な一夜が明けようとしている。昇り来る朝日の感知しない悪夢の夜が終わり、新しい朝が訪れようとしている。トロイの人々にとって、あまりにも惨酷な思いの封をきる朝であった。
 連合軍の陣は沸いていた。10年に及ぶ長~い年月を経ての勝利に沸いていた。
 アガメムノンは、オデッセウスの姿が見えないことに気付いた。瞬間、彼の心は翳った。彼は、メネラオスに尋ねた。
 『どうした。オデッセウスの姿が見えん!気にかかる。』
 『オデッセウスか。彼は、野暮用だ。もう、来る頃だと思う。』
 そんなとき、灰燼と化した街中に、こちらに向かって近づいてくる、ひとりの女につきそわれて歩いてくる男の姿があった。陣中から二人の男が飛び出した。二人の男は走った。全力で走った。ひとりはエペイオス、ひとりはネオプトレモスであった。
 メネラオスは、この手負いの野獣のような男を陣に迎える準備をした。将兵たちは、通路を作り、両側に列を作って並んだ。


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