『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  66

2013-07-25 06:53:44 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 彼らは、『おうっ!』『おうっ!』の喊声を残して打ち合わせの場を去って行った。パリヌルスは、場を去らずにいるアレテス、カイクス、ギアスの三人に声をかけた。
 『君たち、相談事でもあるのか』
 『え~え、小島の闇の中で敵と闘う、味方同士が斬り合うことを避けたい。それにはどうする?そのことについて相談しているのですが』
 『おう、そうだな。それは大事なことだ。俺の思考から抜け落ちていたな。済まん、詫びる。闘う者たち全員の命大事を思いながら、そのことに配慮していなかったこと深く詫びを言う。いま、ここで対策を考えよう。お前ら、いい考えでもあるか』
 『え~え、リナウスの提案がいいのではないかと思いますが』
 『リナウス、言ってみろ』
 『兵士全員が味方であるしるしに両手首に白い布を巻いておくというのはどうだろうかと言っています』
 『う~~ん、それはいい考えだ。それをやろう。ところでその白い布を今から調達できるかだが』
 『何とかできるのではないかと思います。隊長の力も借ります、宜しくお願いします』
 『判った。オキテスにも言って、協力方を頼む。何とか間に合わせる』
 『お願いします。もう一つは、闘いの場における味方同士の合言葉になる気合い言葉です。アレテス隊長の言うのでは『ビィッ!バァッ!』では、どうかと言っています』
 『おうっ!なかなかいい!仲間同士の確認に『ビィッ!』と言って『バァッ!』。『ビバァッ!』で相手をたたっ切る。いい。それでいけ。とにかく急いでとりかかろう。これらの要点を全員に徹底しておくのだ。実行が伴わないと何にもならん。頼むぞ!それから、伝えておく。夕めしを終えたら、君たち三人は、俺のところへ来ていてくれないか』
 『判りました。白い布の件、手配かた宜しく願います』
 『おう、判った』
 パリヌルスは、即刻、オキテスのところへと向かった。事の次第を述べ白布の手配方を頼んだ。
 この時代、大掛かりな夜間の戦闘は、味方同士の斬り合いになることを恐れ、行われることは皆無といってよかったのである。大軍同士の激突といえば、そのほとんどが昼間における戦闘であった。夜戦といえば、大半が火を使った戦闘であったのである。
 


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