ドックスと打ち合わせを終えたイリオネスがパリヌルスに声をかける。
『パリヌルス、聞いての通りだ。多忙が続く、日の経っていく日足が速い、出航の日が迫る。計画に齟齬のないようにとり計らって、業務を進めてくれ』
『はい、解りました』
『用件は以上だ。統領と二人で食す昼めしもうまいが、4人で食す昼めしはうまかった』
その一言に場の一同がうなずく、パリヌルスとドックスが会所をあとにする、持ち場へと戻って行く。
二人の去ったあとアエネアスら二人は歓談して時を過ごす。
アエネアスは、あの忌まわしいトロイ戦役のことを思い出す、とつとつと語る。
『なあ~、イリオネス、今、俺は、あの戦役のことを忘れたい!忘却の彼方へ捨て去りたい。思い出さない日をおくれればいいと考えている。何をいまさらこの期に及んでだ!』
『そうですか。思い出す、考える、それをしたくないと言われるのですか。簡単でもあり簡単でもない。私はそのように考えます。そんなこと難しいことではありません。多忙であればあのような過去は頭の片隅にも浮かんできません』
『俺もそのような日々を送りたい、そのような日々でありたい』
『統領、あと10日も経てば、そのようなこと思い出すことがなくなります。ただただ、ひたすら明日を考える日が来ます』
『そうか、ひたすら明日を考えるか、解った』
ドックスからの連絡が会所に届く。
『統領、軍団長、完成艇の試乗走行を開始します。親水の浜へ来てください』
『おう、了解!早かったな』
二人が立ちあがる、親水の浜へと歩を運ぶ、
一同が二人を迎える、ドックスが二人を案内する出走準備の整っている1番艇に乗艇する。
各艇の試乗走行は小島まわりのコースである。
ドックスは統領らにも試乗評価を依頼する。
『おう、引き受けた』
彼らは、5艇を第1艇から順に乗艇して評価する。5艇全艇の乗艇に及んで評価するのである。
アエネアスとイリオネスは艇の前部に座す、パリヌルスとドックスは艇尾の舵座の近くに座をとる。
舵座には操舵担当のダトルス、艇の中央には操艇を担当するコマンデス立っている。
ドックスがコマンデスに声をかける。
『コマンデス、どうだ風の具合は?』
『はい、小島の沖にはいい西風が吹いています。上首尾が期待できます』
『よしっ!出走してくれ』
コマンデスが艇上の漕ぎかた連中に向けて指示の声をあげた。
『パリヌルス、聞いての通りだ。多忙が続く、日の経っていく日足が速い、出航の日が迫る。計画に齟齬のないようにとり計らって、業務を進めてくれ』
『はい、解りました』
『用件は以上だ。統領と二人で食す昼めしもうまいが、4人で食す昼めしはうまかった』
その一言に場の一同がうなずく、パリヌルスとドックスが会所をあとにする、持ち場へと戻って行く。
二人の去ったあとアエネアスら二人は歓談して時を過ごす。
アエネアスは、あの忌まわしいトロイ戦役のことを思い出す、とつとつと語る。
『なあ~、イリオネス、今、俺は、あの戦役のことを忘れたい!忘却の彼方へ捨て去りたい。思い出さない日をおくれればいいと考えている。何をいまさらこの期に及んでだ!』
『そうですか。思い出す、考える、それをしたくないと言われるのですか。簡単でもあり簡単でもない。私はそのように考えます。そんなこと難しいことではありません。多忙であればあのような過去は頭の片隅にも浮かんできません』
『俺もそのような日々を送りたい、そのような日々でありたい』
『統領、あと10日も経てば、そのようなこと思い出すことがなくなります。ただただ、ひたすら明日を考える日が来ます』
『そうか、ひたすら明日を考えるか、解った』
ドックスからの連絡が会所に届く。
『統領、軍団長、完成艇の試乗走行を開始します。親水の浜へ来てください』
『おう、了解!早かったな』
二人が立ちあがる、親水の浜へと歩を運ぶ、
一同が二人を迎える、ドックスが二人を案内する出走準備の整っている1番艇に乗艇する。
各艇の試乗走行は小島まわりのコースである。
ドックスは統領らにも試乗評価を依頼する。
『おう、引き受けた』
彼らは、5艇を第1艇から順に乗艇して評価する。5艇全艇の乗艇に及んで評価するのである。
アエネアスとイリオネスは艇の前部に座す、パリヌルスとドックスは艇尾の舵座の近くに座をとる。
舵座には操舵担当のダトルス、艇の中央には操艇を担当するコマンデス立っている。
ドックスがコマンデスに声をかける。
『コマンデス、どうだ風の具合は?』
『はい、小島の沖にはいい西風が吹いています。上首尾が期待できます』
『よしっ!出走してくれ』
コマンデスが艇上の漕ぎかた連中に向けて指示の声をあげた。