『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  497

2015-03-31 08:14:39 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 スダヌスは、アヱネアスらを伴って浜小屋へと歩いていく。 
 『統領、こちらへの海路はいかがでしたか?』
 『おう、風の具合は、幸運と言えたな』
 『そうですか、それは何よりでした。しかし、あれですな、真っ新のカッコイイ船ですな』
 『あの船の事か』
 『そうです』
 『あの船は試作した船だ。このたびの山行の船旅で試乗といったところだ』
 『そうですか。是非、乗せてください』
 『判ったぞ!浜頭の評価も聞きたい』
 『それはそれは、ありがとうございます』
 一同は浜小屋に着いた。そこには昼食の準備が整っていた。スダヌスがクリテスに話しかけた。
 『おう、クリテス、お前、統領の山行の随行か、それはよかった。元気そうでなによりと、俺はうれしい』
 父が息子に掛ける言葉であった。スダヌスは戸口から浜を見やった。
 『おい、クリテス、船の浜揚げ作業が終わったらしい。ギアスたちを呼んできてくれ』
 『判りました』
 クリテスは浜へと向かった。ギアスと漕ぎかた一同が来る。浜衆たちも加わって全員が席に着いた。
 浜小屋は、炉のつくりのある浜小屋である。浜小屋の中は、煙はもうもう、昼食の肉、魚、具材の焼ける臭いが充満している。
 スダヌスは立ちあがり、統領らの歓迎の口上を述べた。
 『統領に軍団長、そして、一同!俺が浜、スオダの浜へようこそおいでくださった。大歓迎です。我らが心づくしの昼めしです。召し上がってください』
 一同から拍手があがる、うなずくスダヌス。歓迎の昼食が始まった。
 一同は酒杯を手にして、『旨い!旨い!』で昼めしを腹に収めた。
 頃合いをみて、スダヌスはイリオネスに話しかけた。
 『おう、イリオネス、今日の手配は済ませている。今日は日暮れまでにパノルモスに行く。昼めしを終えたら出航だ。いいな。パノルモスからイデー山の麓まで歩いて半日の行程だ。明朝ははや立ちでイデー山に向かおう』
 『判った。それは統領に伝える』
 『そこで次の日の予定を話し合おう。統領には、腹づもりの予定もあると推察している』
 『判った。そのあたりは、お前任せだ。宜しく頼む。山麓に着いたところで、クリテスからも事情を聴いて、山行三日間の予定を話す』
 『判りました。では、その様な予定で行きます。クリテスもいることです、ここからは、私一人が船に乗ります。以上です』
 『そうか、よく判った。了解した』
 『イデー山山頂付近には雪があります。山行の旅装についてはパノルモスに着き次第整えます』
 『そうか、浜頭。世話をかける。心から礼を言う、ありがとう』
 『軍団長、こちらこそです。イリオネス、ありがとう』
 二人はうなずき合った。


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