『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1017

2017-04-25 08:03:21 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、オキテス殿、よう来られた』
 『おう、スダヌス浜頭、待たせたかな。こちらへ移られよ』
 『おう!そうだな』
 スダヌスが新艇に乗り移る、乗ってきた船の漕ぎ方らに声をかける。
 『積んできた荷をこちらの船に積みかえてくれ』
 『おう!』と返事を返し積み荷の移動を瞬時に終える。積みかえた荷の中に生きた子羊一頭もいた。
 『おう、お前らご苦労であった。俺が帰ってくるのは、明朝のこの時間あたりだ。例の準備をしておいてくれ』
 『解りました』
 スダヌスは、新艇艇上の人となる。オキテスが艇上の一同に伝える。
 『おう、諸君!これからの海路は、スダヌス浜頭の案内によりレテムノンの港に向かう。この新艇の注文主であるテムノス殿は、浜頭の友人である』
 『皆さん!ご苦労です。いま、オキテス隊長より紹介されたスダヌスです。新艇納入先であるレテムノンの港に案内します。よろしく願います。海岸に沿っての航走ではなく、この海をレテムノンに向けて直行します。進路は、この方向、南東に向かって進みます』
 スダヌスが手で方角を指し示しながら言葉を継ぐ。
 『今日の風は追い風ではないが、一刻(2時間)あまりの航走で目的地に到着の予定です』
 『一同、解ったな。ゴッカス、艇を出してくれ』
 『はい!艇を進発させます』
 ゴッカスが指示を出す、櫂さばきよろしく泡立つ海、新艇が波を割る、後続のギアスの艇も距離を保って航走し始めた。
 オキテスとスダヌスは、レテムノンに着港して、どのようにして新艇の引き渡しをするか、その要領について打ち合わせた。
 『浜頭、了解しました。世話をかけます』
 『なんのなんの、どおってことない!オキテス隊長。あなた方の遠路の納入航海に対して、テムノス方も気を使うだろうと考えられる。おそらく、一泊ということになると考えられる。それを快く受けてレテムノンに一泊する。そのように段取りしてください』
 『解った。当方も礼を尽くす、快く相手方の礼を受けるそれでいいな』
 『それでいいです』
 打ち合わせが終わる。
 スダヌスが艇の進行方向をチエックする、沿岸の風景を見渡す、怠りなくチエックする、再び艇の進行方向を確認した。
 操船を担当しているゴッカスと艇の進行方向を確認する。ゴッカスがうなずく。
 スダヌスとの合流地点からレテムノンの港に向かって艇が直線の航路を航走していた。


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