『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  643

2015-10-28 04:32:13 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 彼は、新艇建造の場でドックスを探した。
 『おっ!いたいた。ドックス、俺だ、相談事だ』
 『オロンテス隊長、それとも、オロンテス棟梁と呼ぶほうがいいですかな』
 『どちらでもいい。それよりも、こんな仕様で木箱を130個くらい作りたい。その板材探しと相談に来たのだが、いま、話していいか?』
 『はいっ、それはよろしいです。お聞きいたします』
 『底と蓋には、この板を使うとして、側板と蓋のに使うのに、厚さがこれくらいの板がほしい』
 『ほう、ちょっと厚さの薄いの板ですな。これは製材しないといけませんな』
 『これについては、そこにあるもの、ほい、ではいけないか』
 『そうですな、オロンテス棟梁、設計図を書いて入用個数を言ってください。製材してあげます。箱の組み立ては棟梁の方でやってください。指示書をもらえば、明日午前中に間に合わせます』
 『判った、ありがとう。今夕、ドックス棟梁のところへ届ける。宜しく頼む』
 『判りました。引き受けます』
 少し間をおいてオロンテスが口を開いた。
 『あ~っ、棟梁、それから、この箱の組み立てに使う釘の事だが、ドックス棟梁の手許にあるかな?』
 『釘!?ここでは使っていない釘ですな。手持ちはあります。間に合わせましょう』
 『ありがたい!これで行ける!ありがとう、感謝感謝だ。あの板きれ4~5枚もらっていくが、いいかな』
 『いいですとも、どうぞ!』
 オロンテスは深くうなずいた。これで一件落着である。底板と蓋にこれを使って、箱サイズを決めればいいと手にした板を眺めて考えた。
 ヘルメスがキドニアから帰ってきた。彼は、ドックスと別れてそちらへ歩を向けた。
 『おう、帰って来たか。セレストス、今日はどうであった?』
 『首尾は、上々でした』
 『そうか、それはよかった。作業を終えたらクリテスを連れて、工房の方へ来てくれ。スタッフを集めて会議をやっている』
 『判りました。急いで報告を終えて、会議に参加します』
 セレストスは、クリテスをともなって、イリオネスに報告を終え、会議に参加した。工房へ戻ったオロンテスは、会議の進み具合をチエックした。
 『おい、お前ら方向が出たのか?』
 『はい、一つは初めから決まっていますから、二つ目にはウスイ塩味でオリーブの風味を効かせて仕上げればいいと考えました。三つ目ですが、試しに作って決めればと考えていますが』
 『おう、そうか、いいだろう。セレストスにクリテス、事の次第はこうだ』と言って、事の始終を語って聞かせた。