『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  642

2015-10-27 04:30:22 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 二人は木剣をとって打ち合っている、これでもかと打ち下ろす、ハッシと受ける、かわす、切っ先は体をかする、打ち込みが決まらない。
 アヱネアスがここぞと打ち込む、その一撃がイリオネスの頭頂に一髪の間隙で決まった。アヱネアスは決まったと思った。イリオネスの剣の切っ先が喉もとに決まっていた。
 二人は静止する、目を合わせてじい~っとにらみ合った。二、三拍の間をおく、二人は構えを解いた。
 『イリオネス、いい汗を流したな』
 『全くです』
 二人は木剣を引いた。瞬の間である、目を合わせて心を通わせた。二人は剣合の余韻に浸る、言葉を忘れている。アカテスのひと言が言葉を忘れている二人の気持ちを融合させた。
 『ご両人、見事でした。お二人の剣の打ち合いは鬼気迫るものでした。実戦さながらといったところでしたな』
 その声を耳にした二人は大声をあげて笑った。
 『汗を流しに浜へ行こう』
 『行きましょう』
 二人の剣合、打ち合いを見ていたリナウスも心をしたたかに打たれていた。イリオネスがリナウスを浜に誘う、ユールスを加えて5人は浜への坂道を下った。
 
 オロンテスは、工房にスタッフを集めて、脳漿を搾っている。彼は自信を持っていた。
 『搾れば知恵が出てくる俺の頭』一同を前にして問題を提起する、答えはすでに俺の頭中にある、合致する意見が出てくるか否やにかけて話を進めている。
 彼は、此のプロジエクトを勝ち勝ちでいきたい、その様に強く思いつめていた。また、この仕事の永続を目指せるや否やが課題でもある。テカリオンとの取引一発で終わりたくはなかった。
 オロンテスが集めているスタッフは今は四人である、パン焼き担当のチーフ、ヤクタス。製粉担当のチーフ、コナシス。生地練り担当のチーフ、ネリタス。給食パン担当のチーフ、タベサスである。セレストスとクリテスはキドニアから帰ってきてから出席させるとしていた。
 『おう、お前たち、俺はちょっと浜へ行ってくる。堅パンの味付けは、2~4種だ、いいな。話し合って、これでいいと思えるやつを考えろ』
 言い残して、そそくさと工房をあとにして浜へ向かった。彼は、納品までのデイスケジュールを考えながら坂道を下っていく。
 『この道を下るように物事を順調にやりたいものだ』
 彼は、新艇建造の場へ歩を運んだ。足元には用材の切れ端が散らばっている。彼は適当と思われる板切れの一枚を手に取って見つめた。
 『うっううん、これでは側板に使うのに板の厚さがありすぎる。使っても底板と蓋用にに使うくらいだな。側板には使えない』
 彼は、焼いた堅パンを入れる箱の構想を決定した。