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『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  576

2015-07-27 06:05:38 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『それは判ります。統領の決断のなされかたをみて、統領の立ち位置、スタンスを承知しています。一国を建てるということは、それは大変なことです。定かではない未来を見つめての決断です。簡単なことではありません。国が持つ運命は、人間一人が持つ運命とは異なります。私たちは統領に運命をゆだねています。私たちは民族の運命を収束して、統領の双肩に乗っています。そうである限り、統領の決断は民族総員の決断です。私たち民族が統領の決断に従って動くのは当然の成り行きです。民族のモチベートの原点です』
 イリオネスは、ためらいなくアヱネアスに胸の内を伝えた。
 イリオネスはパリヌルスが来たことに気が付いて振り向いた。戸口に立っているパリヌルスに声をかけた。 
 『おう、パリヌルスどうした?』
 『はい、軍団長、事前協議を終えました。そのことの報告です』
 『ご苦労。まあ~、中へ入れ。統領もおられる』
 彼は、パリヌルスを招じ入れた。
 『パリヌルス、話を聞く』
 『報告は二件です。一番目は、明日からのキドニア行きに、新艇のデモンストレーションもかねて、ヘルメス艇を使用したいと考えています。これを許可してください。二番目は、新艇のトレードについて、始めに調査ありきということで、明日、オキテスと私、オロンテスとともにキドニアに出向きます。以上の二件です』
 『判った一番目の件、ヘルメスの使用はOKだ。二番目の件は了解した。用向きの詳細は聞かない。以上だ』
 アヱネアスが声をかける。
 『軍団長、例の件か、動き始めたか。パリッ!存分にやれ』
 『判りました』
 パリヌルスは報告を終えて浜へと歩を運んだ。彼はヘルメス艇の状態を見て渚に立った。ギアスは、まだ、キドニアから帰っていない。
 『まあ~、いいだろう。ヘルメスは充分に手入れされている』
 彼は新艇建造の場に足を向けた。建造の場がカタチをなしてきている。オキテスの姿も見える。
 『おう、オキテス、万事OKだ』
 『おう、そうかそうか、それはよかった。いよいよ、船出だな。新しい時の始まりを感じる。パリヌルス、気持ちがたかぶる、しっかとやろう!打つ手に間違いはない、万端OKだ』
 ギアスが帰って来たらしい。彼は舟艇の帰り着いた浜へと歩を運ぶ。
 『お~い、ギアス、用事が終わったら、次は、俺との用事だ。来てくれ、いいな』
 『判りました』