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『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY            第5章  クレタ島  101

2012-08-15 05:48:00 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アエネアスのデロスでの一日が始まった。
 停泊している浜を出発したアエネアスの一行は、角の取れていない荒々しい石のごろついている道の歩行に難渋した。海沿いの道は踏みならされてるように見えていたが荒れた道であった。年老いたアエネアスの父のアンキセスにとっては歩きにくそうであり、足運び場所を選びながらのたどたどしい歩行であった。
 行く手の遠い先に神殿が近いことを示す、天を突き刺すように真っ直ぐ聳え立つ石柱が見えてきた。この辺りに至ってなんとか歩の進めやすい道になってきていた。右手一帯の岩だらけの海岸のあちこちには小船が係留されている風景が見られる。デロスを訪れる者たちの小船の係留岸の体を為していた。
 一行は先程、目にした石柱のところに着いた。一行が見上げる石柱、当たり一帯を睥睨する巨大な石柱、そこに神威を感じた。
 『お~い、ひと休みしたい。この歩きは俺にはきつい!』
 アンキセスはひと息いれることを提案した。
 『いいでしょう。ご老体には、ちょいときつかったようですね』
 イリオネスが相づちをうった。彼らはたずさえてきた水を口に含んで喉をうるおした。
 アンキセスが初めてデロスを訪れたのは、さかのぼること20年以上も前のことであり、乗ってきた船も神殿に極めて近い海岸につけて、このデロス島にあがったのである。