『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY          第4章  船出  21

2011-12-05 07:39:58 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『まあ~、なんだなアエネアス。館のほうへ行こう』
 エノゼリアスは従卒に言いつけた。
 『ハッタス、お前、館のほうへ行って、ゼレカスに伝えろ。客人が来た、歓迎の準備をするようにと。急げ!』
 従卒は駆けて場を離れていった。向き直ったエノゼリアスは、一行の中にトリタスがいるのを見て声をかけた。
 『おっ!トリタスではないか。達者であったか。いつも浜で獲れた魚の活きのいい奴を届けてくれて有難う。礼を言うぞ。秋になると脂ののりはじめた魚が、なんといっても旨い。お前、今日は何用だ』
 『あ~、私ですか。アエネアス殿から、今日、こちらへ出向くから同道せよと言われて、一緒したようなわけです』
 『おっ、そうか。アエネアスの用向きは、何ぞ重要な用件なのかな。アエネアス、用件は館で聞こう』
 『領主、そのようにしていただければ、落ち着いて話せます』
 館までの道すがらの話題は秋の収穫に関してであった。
 館の玄関口には、ゼレカスが迎えに出ていた。久しぶりに見るゼレカスの風情も元気そうであった。
 『お~お、アエネアス殿ではありませんか。ようこそ、おいでになられた。さあ~さ、どうぞ、こちらへ』 と、一行を応接の間へといざなった。