『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY          第4章  船出  19

2011-12-01 08:24:27 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『トリタスがそのようにい言ってくれるとは有り難い。後事を託する俺にとって、とてもうれしい。頼むぞ』 と言って、
 アエネアスは、馬上で礼を言った。彼はなお話を続けた。
 『エノスの領主もだが、トリタスも少しは考えただろうと思うが、俺たちが砦を造って、あの浜に居ついて、植民地化するのではと懸念したことだろうと思う。それがないということが、これで判ってもらえると思う。このことを今日の三者の話し合いで判ってもらった上で後事を託する。よろしく頼む』
 『統領の言われることの大切な意味が判りました。私も貴方のような方と別れなければならないことは、とても悲しい。浜の者たちも悲しみます。出会いがあり、別れが人の常なることも然りです。とても悲しいことです。悲しんでいるわけにもいきませんね。無事を祈って送らねばならないのに失礼しました』
 『別れが人の常なることとは、トリタスお前うまく言うな』
 『そうですか、統領。心がゆれますか。ところで、船出されてどちらに向かわれるのです?』
 『船出は、エーゲ海を南に向かう。終着は、どことは決めてはいないが、クレタ島に向かう。ギリシア、西アジアのエーゲ海沿岸には、我々が一国を建てる土地がない。そのようなわけだ』