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『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY         第4章  船出  7

2011-11-15 08:26:17 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『俺たちがこの地を離れる。今、ここで打ち合わせたことは、最善の策として、浜頭及びエノス砦の領主と話し合う。この地に残る者たちの身の安全と彼らにいい未来のあることを祈る』
 ここで一息ついて、一同と目を合わせた。
 『俺は、明日、トリタスを連れて、エノス砦に領主を訪ねる』
 『判りました。それがいいでしょう』
 『よしっ、打ち合わせを終えよう』
 砦は、深まる秋の早い夕闇の訪れに包まれていった。
 
 朝である、明るくなるのもおそいが、砦の浜は薄暗いうちから騒々しかった。彼らは船長、副長を真ん中にして集まり何事かを話し合っている。いずれのグループにも属しない連中が、あちこちにたたずんでいた。人々の群れる習性と弧で漂う風景であった。しかし、彼らの係わり合いと日常の行動にかかわる連帯感の細い絆の糸が、ひと言の声の掛け合いで結ばれていった。たたずんでいた者たちが、ひとり減り、二人減りして、いずれかのグループに加わっていった。
 パリヌルスは、船長、副長を集めて、彼らから状況説明をうけ、各船の乗り組み状態に目を通した。乗船人員の数の多い少ないを許容範囲以内で認めた。
 彼は、船団の総指揮に当たる責任を全うする必要があるため、航海技術に関連する命令、指示の確実を期して、自分の隊の者を各船に配置した。