アエネアスは、瞬時ではあったが、展開する戦いをイメージした。算を多くして、戦う前に勝利すること、この思いを強くした。ポリメストルは、戦う相手がアエネアスということを知っていない筈である。トロイからの落人部隊であることだけは敵の知るところであると思っていた。
『アレテス、聞いておく。こちらの警戒態勢に抜かりはないな。』
『え~え、それは大丈夫です。きちっと手を打ってあります。』
『上陸戦で当方がこうむった損害がとても大きいと、敵中にデマを飛ばすのだ。以上だ。いいな。しくじるな。全員、無事に帰ってくるのだぞ。』
打ち合わせは終わった。アレテスは皆を引き連れて行商に赴いた。
前門の虎が、後門の狼を雇いに行っている。いずれにしても、敵を全滅させる。アエネアスの心情は、これまでにない惨虐さを持って、この戦いをやる決意を固めていた。彼は、この俺の、今の心情は何なんだと自分の心中を推しはかった。彼は、自問自答した。俺の同胞、俺の市民、そして、俺の民族なのだ。その生命を虐げ、脅かす奴は生かしておけない。彼は心底から、そのように思った。突き上げてくるこの思いに身が震えた。
『アレテス、聞いておく。こちらの警戒態勢に抜かりはないな。』
『え~え、それは大丈夫です。きちっと手を打ってあります。』
『上陸戦で当方がこうむった損害がとても大きいと、敵中にデマを飛ばすのだ。以上だ。いいな。しくじるな。全員、無事に帰ってくるのだぞ。』
打ち合わせは終わった。アレテスは皆を引き連れて行商に赴いた。
前門の虎が、後門の狼を雇いに行っている。いずれにしても、敵を全滅させる。アエネアスの心情は、これまでにない惨虐さを持って、この戦いをやる決意を固めていた。彼は、この俺の、今の心情は何なんだと自分の心中を推しはかった。彼は、自問自答した。俺の同胞、俺の市民、そして、俺の民族なのだ。その生命を虐げ、脅かす奴は生かしておけない。彼は心底から、そのように思った。突き上げてくるこの思いに身が震えた。