『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  37

2009-09-08 06:31:20 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 トリタスは、丁寧に言葉をつないで話していく。
 『怒った領主は、預かりの身であるトロイのプリアモス王の子息のポリュドロスを殺害したうえ、その首をトロイにいるアガメムノンに送って、アガメムノンと手を結んだのです。全くひどいことをする領主です。ポリュドロス様の屋敷が、この浜の近くだったので、私たちもとても懇意にしていたのです。ポリュドロス様は優しい人で、よくこの浜に遊びにこられていたのです。浜の者たちも、その知らせにおどろき、深く悲しみました。そして、オキテス様の船団が浜につく日の昼ごろに、トロイ落城の知らせが、この浜に届いていました。』 
 ここまで話して、トリタスは皆の顔を見まわした。
 『また、この日の午後、オキテス様の船団の到着する少し前ですが、領主の砦から、私たちの許に連絡がありました。トロイ落城のこと、そして、トロイから船で逃れて来る者が居ってもかくまってはならん、との強い達しがありました。尚、そのあと、今夜から、砦の部隊が浜一帯を見張るために来るとの連絡もありまた。それから、私が浜に出てみますと、浜に向かってくる船団があるではありませんか。私たちは、それを見て驚きました。どこの船かはわかりません。私たちは、浜小屋にひそんで様子を見ることにしたのです。』