乃木坂46の3期生・大園 桃子の卒業が発表された。
本人のブログと公式HPによれば、先日発表された夏のツアーの中で8月22日の福岡公演がパフォーマンスを披露する最後となり、9月4日が卒業日とのこと。
彼女のキャラクターに関しては、5年たってもいまだに抜けない鹿児島弁と、純朴さ、頑固さ、といったワードが出てくる。純粋ゆえに信念は簡単に曲げられないから、頑固さとなって周囲とぶつかることも多かっただろうし、乃木坂でデビュー当初から3期生ユニット曲のセンターに選ばれ、注目されてきただけに、おそらくアンチなどから誹謗中傷もあったはずで、さらに18枚目シングル「逃げ水」で与田祐希とともにセンターに抜擢されたから尚更。
根拠のない私見ではあるけれど、彼女の真っ直ぐな性格ゆえに、いやなコメントも真正面から受け止めていたのであろうことが想像できる。まるで他人事のように「受け流す」ことができなかったのではないだろうか。
Wikipediaでの彼女の出演履歴をみて感じたのは、センター経験者であることを考えると、意外に乃木坂46以外の外仕事はが少ないこと。特に映像作品、演劇舞台はほぼ皆無で、運営側からすると売り出したいが、行った先での管理が難しい存在なのかなと考えることもできる。ブログでも3期生の11人を受け入れていくのに時間がかかったと告白されているし、他人と付き合っていくのに決して器用に対応できるタイプではないことは、本人も周囲も運営も周知されていたのだろう。
それでも、アイドルとしてみた場合に、彼女がもつビジュアルや独特の雰囲気は山下美月などの同期メンバーも認めるものがあり、私自身も3期生のユニット曲「三番目の風」の振り付けの中で、彼女をセンターに据えて、一度真ん中に集まったメンバーが左右に展開し、大園が空に向けて高く右手を突き上げて、歌いだすシーンなどは思わず魅入られるものがあった。
今回の卒業の決断で、やはり姉と慕っていた白石麻衣の卒業の影響も大きいだろうし、昨年からのコロナ禍によるライブの中止の影響もあっただろう。白石の卒業で頼れる存在がいなくなることを覚悟するためには、やはり自分を支持していくれるファンの存在を実感することが必要だったのではないかと思うからだ。
卒業とともに芸能界も引退するとのこと。この辺は、彼女の潔さが感じられて、清々しいと思うし、あと少しの器用さか心の強さがあれば、もっと外仕事で女優やラジオパーソナリティーなどで隠れているものが、発揮できたのではないかとという残念さもある。
昨年夏に乃木坂46時間テレビ・乃木坂電視台の個人企画でFIRST TAKE風に奥華子の「変わらないもの」のカバー動画を披露したことがあった。このときは卒業の決まっていた白石麻衣との関係性ばかりに気持ちがいってしまっていたのだが、自分自身、乃木坂に入って変わったもの、「変わらないもの」を考えていたのかもしれない。この曲を歌う彼女のボーカルはハスキーで語りかけるようなウィスパーボイスで、抜群の歌唱力とはいかないけれど、上手い下手ではない、彼女でなければ伝えられないような「訴求力」を感じていた。そんなボーカリストが乃木坂から失われるのはやはり「もったいない」と思ってしまう。
繰り返してしまうが、乃木坂46の多様性の観点からも、大事な個性を失うのはどうしても「もったいない」と感じてしまう。
今後、どのような進路を考えているのかは見えていないが、裏方に回って白石麻衣の個人活動のサポートなんてことも可能性があれば、などと妄想してしまうくらい、気になってしまう存在なのだ。