2023年11月9日、日本のポップス界でのびやかな歌声で稀有なボーカリストであった大橋純子さんが亡くなった。
1977年にTBSで放送された東京音楽祭でのライブで、はじめて大橋純子さんの「シンプル・ラブ」を聞き、日本にもこんなに迫力のあるボーカリストがいるのだと感銘を受けた記憶がある。
「迫力」というと、近年ならMISIAやAI、小柳ゆき、SuperFlyなどR&Bをベースに魂を振るわせるような迫力とは違い、どこまでも伸び続けるような高域の歌声、バックバンドである美乃家セントラル・ステイションのサウンドとしっかりマッチした日本製とは思えないグローバルなボーカリストだった。
不勉強で、この曲が入っているアルバム「Rainbow」全体は聞いていないのだが、このシンプル・ラブと前作アルバムのタイトル曲「ペイパー・ムーン」が
好きでよくプレイリストに入れていた。
いま手元にある音源はベストアルバムである「Tresure collection 大橋純子 BEST」なのだが、「シンプル・ラブ」は美乃屋セントラルステイションのしっかりしたリズムセクションに、ギター、ブラス、ストリングスが勢いよく、且つ上品に、非常に洗練された感じでアンサンブルを作っており、バックトラックだけでもフュージョンサウンドかと思うほど聴いていて気持ちがいい。そこに大橋純子さんの伸びやかな歌声がのってきて、もう最高である。
タイアップで大ヒットした「シルエットロマンス」や「たそがれマイラブ」などのバラッドも素敵だが、この初期の大橋純子さんのポップさはいつ聴いても素晴らしい。