ミラ・イース。現在、SUZUKIのアルト・エコと燃費スペックを競争している軽自動車で、ハイブリッド機構無しでJC08基準で30km/Lをはじめて超えた軽自動車のエポックメーキングカーだ。
この週末に愛車マーチを車検に出した折に、代車として貸し出されたのがこのクルマだった。色は画像と違い、コットンアイボリーという優しい色で結構気に入っている。このブログを打っている今もまだ我が家のガレージに居るのだが、今日、買い物に使ってみての印象を書いてみることにした。
空いている街中の道路で40~50km/hまで加速するには、スロットルを3分の1くらいまで踏み込む必要があり、マーチよりもトルクの小ささを感じるが、いったんスピードに乗ってしまえばさほど力不足は感じない。エンジン音も気になるほどうるさくないし、正直買い物車としては十分な性能を持っていた。走りの装備として、スマートアシスト(衝突回避システム、横滑り防止システム、トラクションコントロール)がついていて、安全性能はマーチよりも上だ。
国道や近くの有料バイパス、勾配のある山道を走らせてみたいが、普段の生活の中での運用であれば、これ以上のエンジンパワーは必要ないのだということを思い知らされた。これで意識せずに14~15km/Lの燃費が稼げているのだから、「軽」などとあなどれない。
もとより新車価格が低いミライースであるが、内装も価格なりに頑張っていて、私のような大雑把な人間にはさほど気になる安っぽさはなかった。シートはやや固めで平板、マーチに比べると乗り心地もいまひとつではあるが、価格を知れば納得できてしまう。使い勝手で唯一気になったのはラゲッジスペースの奥行きの少なさだ。後席の足元の余裕を優先しているので仕方がないのだが、座席のスライド機構やバックレストの分割可倒機構があれば、カバーできる部分なので、残念なところ。
私が軽自動車に対して、偏見を持っているのは衝突安全性だ。軽量でモノコックフレームそのものが脆弱と思われる軽自動車には受動安全性が普通車に対して劣っているものと思っていて、コンパクトカーであってもマーチやヴィッツ、フィットクラスを最低限と考えいた。しかし最近ホンダN-WGNが衝突安全性で最高ランクの5つ星を獲得しており、もはや軽自動車だからとは言えなくなってきている。逆にいえば軽が軽でなくなってきているとも云えるのだが。
ミライースにはターボモデルは無いが、ターボエンジンの軽自動車は1300クラスのコンパクトカーとパワー感は変わらない。それも最近は低回転域のトルクを大事にしているから余計相違が分かりにくくなっている。これで万が一、規格が変わって、10~20mmでもトレッド(タイヤ間の横幅)が多く取れるようになって安定感が増したら、1000CC以上のコンパクトカーを駆逐するかもしれない。箱庭的スペースの中で、驚異的なパフォーマンスを与えることができる日本の技術はおそらく世界一だ。
なんだか、軽自動車を賛美するような内容になったが、それだけ驚いたということだ。だがそれでもマーチからすぐに乗り換えるということは無いだろう。倍の排気量がある性能面の余裕、わずかの差でしかないが、室内スペースや内装の仕上げの違いはクルマとしての魅力がまだマーチの方が上なのだ。日々の生活の相棒として使うクルマは、ただ合理的であれば良いというわけではないらしい。