緊急事態宣言の外出自粛要請に沿って、食料品の買い物以外は在宅の週末。なまった身体を動かすために、近くの図書館に本を返却する用事を言い訳にして少しの時間散歩してみる。
いつもの通勤路である駅までの道は、田舎町にて人混みは生まないけれど、買い物帰りなのか、駅から帰宅する人の姿があった。
もう間もなく夕陽が沈んでいく。1日が終わろうとする静かな時間。
街道に沿って流れる二級河川に架けられた橋の脇の竹林で、そよ風に揺られて密集する竹同士がぶつかり、ときどき「カーン」という音を発する。風の吹く音と竹の鳴る音だけが響く瞬間、時間が止まったような感覚になる。
この週末、正確には金曜日・土曜日の集計で全国で60人~70人の方が新型コロナウィルス感染症の重症化で亡くなっている。海外の各国に比べれば圧倒的に少ないのかもしれない。でも確実にコロナで人生が変わってしまった人とその家族が存在するのだ。
自分が今、平穏に散歩していられるのも、一瞬の幸運にすぎないのかもしれない。そんなことを考えながら、家路についていく。