矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

NEJM からのoriginal study目白押し

2011-09-30 23:40:45 | 感染症関連
ちょっと油断すると、すぐに重要なpaperを読む時間がなく、スルーしてしまいます。

ここ数週間にNEJMで、専門の感染症領域で重要なpaperがいくつもありました。

Hepatitis Cの治療に関して9月15日号(これはSIUにいる間のjournal clubと帰りのフライトの待合で読みました。)、AzithromycinをCOPD増悪の予防に使えるかという、大きなstudyも8月末号であり、来週、部署内のjournal clubで私自身で取り上げさせていただくことにしました。

マクロライド系抗菌薬の、抗炎症作用効果は、耐性菌の観点から問題になりますが、このpaperはどうなのか興味深いです。欧米では、抗菌作用のないマクロライド系のこの抗炎症作用のみを備えた薬も開発中とのこと。

Clinical Infectious Diseasesもいろいろpaperが出ており、catch upできていない状況です。

余談ですが、今年度は自分のリサーチプロジェクト、国際共同研究、コクランのレビュー執筆等の最優先事項に集中したいと思いやっていますが、それでもすぐに別なことで手一杯になり、なかなか進まないです。

オランダのクラスメートで、とても優秀なサウジアラビアの解剖学の教官の先生と一緒に
課題をこなすことになりました。お互いにペースメーカーとして、コラボレーターとして
ディスカッションできるとよいなと思います。facebookでもっぱら連絡していますが、
digital media経由のコミュニケーションは、ささいなことからコミュニケーションの齟齬(そご)が生まれることを体験した今日でした。

正直、ちょっと彼のselfishな発言に腹が立ち、そのような気持ちのもとで返信したら、私が
"upset"したのではないか?とすぐにresponseがありました。

face-to-faceのコミュニケーションでない分、伝わるところ、誤解が生まれるところ、逆にうまくいく部分などありますね。

今週は1週間、ずっと時差ぼけモードで体調があまりよくなく生産性が低かったです。
週末に、なんとか公私ともどものいろいろなことに関してcatch upしたいです。。

ツツガムシ攻略!

2011-09-28 14:05:36 | 感染症関連
ネットワークの大切さを実感した昨日でした。

昨日、福島県白河市で、ツツガムシ研究会に参加してまいりました。

コツコツと臨床データを蓄積し、あまり詳しく分からなかった部分が徐徐に判明していっているというツツガムシ病。

福島県は全国でももっともツツガムシが多い県だそうです。

わたしも過去6年半の間に2例、確定診断がついた症例を経験することができました。

しかし、「見たことのない疾患」は100%見逃すと思うので、十分、認識、想定しておくことが一番と思いました。

研究会では、同じように刺し口のある疾患でTularemiaが紹介されており、日本での症例としてaxillary lymphonodeの腫脹した症例のご紹介があり非常に勉強になりました。在米中はTularemiaも鑑別には常に挙げることはしてきていましたが、国内の疫学がいまひとつはっきりわからず、いつも悩ましく思っていました。

媒介のダニである、ツツガムシも数種類あることを学び、興味を持ちました。

フトゲ・ツツガムシ、
タテ・ツツガムシ
アカ・ツツガムシ
アラト・ツツガムシ

などだそうです。


日本からいろいろな情報を発信できるとよいなあと思いました。

恩師がIDSA Vice presidentに選出されました!

2011-09-28 14:05:36 | 米国感染症学会IDSA
さきほど、連絡が来たのですが、テキサス大学の恩師でVRE (バンコマイシン耐性腸球菌の世界的権威)であるDr. Barbara E. Murryが、IDSA 米国感染症学会のVice-presidentの選出されました!

UT-Houston Alumni のfacebookでもみんなでsupportしようということで応援していました。
IDSA 会員のOnline vote (投票)があり、結果が出ました。(私も会員で投票権があるので投票しています)

今後4年間、vice-president, president-elect, president, president-postと4年間の任務になるそうです。

恩師の輝かしい業績、人徳、リーダーシップに感服します。

今後もIDSAに参加する動機付けになりました。

先日のICAACでは、彼女の講演を聞きにいってやさしい言葉をかけていただいたので、ほっとしていました。
いつになっても恩師とはmentor-menteeの関係で、"Professional Family" のような感じがします。

よかったです。。。




お彼岸の休日でした。

2011-09-26 18:51:06 | プライベート
昨日は、時差ぼけもあり、体調があまりよくなかったのもあり、自宅で休養していました。

今日から臨床現場に戻り、興味深い症例を診察しました。

これから年度末まで、かなりの仕事量で、なんとか乗り切るためがんばろうと思います。

「官僚の責任」という本を読み始めました。

「日本が融けていく」という本も書いている著者の方です。

日本の復興がほとんど進まない、どういうビジョンを持ってすすめていくのかもまったく不透明。

国外からもどるたびに、母国の行く末を懸念します。

個人でできる最大限のことはしていますが、どうにもならない現実に、かなり精神的には消耗します。

さっそくCyber attack?

2011-09-25 10:10:53 | グローバリゼーション関連
昨日、無事に帰国しました。シカゴからのフライトですが、かなり人数が少なく乗客もほとんどが日本人でした。

震災、原発、台風などの影響でしょうか? 米国人の姿はほとんど見ませんでした。
成田経由でアジアに行くアジア人の方などがちらほら。。

Major 都市のシカゴからこれほど米国人で東京に行く人が少ないというのは、かなり危機感を感じます。

さて、国内、国外のよいところ、悪いところにさっそく触れました。

シカゴの学会場、ホテルなどで常にWi-Fi, ホテル内のwirelessなどを利用していましたが、
米国のbank accountが何者かに不正accessされたのでは?とのnotice をもらいました。

米国の場合、cyber 犯罪は多いので、常に注意してはいますが、いやですね。

早速、自分のaccountにアクセスして調べましたが特に問題はありませんでした。

自分の身は自分で守ることが原則なので、今後も細心の注意を払いたいと思います。

習慣、文化、一般的な安全性の面からの違いですが、日本人の方が結構、簡単に自分の誕生日、自宅住所、電話番号などを外国で他人とシェアしたりするのをみかけますが、とてもリスクがあるので、少し控えたほうがよいと思います。。。

国外住居の経験があると、自宅住所や電話番号はよほど親しい人以外と交換することはありません。職場の関係ぐらいの人などとは交換などはまずしないです。。

誕生日は、自分のidentification上、きわめて重要なので、facebookなどで公開しないほうがよいです。。(もちろん私もしていません。)

日本では年齢を出さないために誕生日を公開しないというのはあるとおもいますが、
Security上という考えがあまりないように思います。security上、きわめて重要なので出さないことをお勧めします。

日本が、世界とビジネスを続けていくには、こうした慣習、安全性の確保にもなれる必要があると感じます。国連での野田首相のスピーチがありましたが、世界の関心はすでに日本の震災から、欧米の金融・市場、中東に移っているとのことでした。

世界から置いてけぼりにならないためにも、何事にも迅速な決断と実行が必須と思います。


Southern Illinois Universityの訪問記 (3)

2011-09-23 19:39:53 | Southern Illinois Un
Southern Illinois University 訪問も最終日になりました。


最終日は、以前に一緒に働いてとてもお世話になったナースの方を訪問しました。
暖かい人で、Big motherのような方です。彼女は一緒に働いた学生、レジデント、ファカルティをずっと暖かく見守ってくれています。

Facebookでいろいろ近況を送ってくれていましたが、来年3月に二人目のお孫さんが生まれるそうです。

その後、微生物検査室での教育セッションがありました。ずっとこれは続けられているもので、今回見学させていただいたら、それがさらに進化して、よりきっちりしたフォーマットにのっとってなされていました。

微生物検査のベテランテクニシャンの方が、簡単なhistoryを読み上げ、この状況で、
これこれの検体をとり、グラム染色をしたら、これが見えました、と顕微鏡をみんなで見る方式です。Historyに基づいて、学生、レジデントは、どんな微生物かを考えるセッションです。

1例目は、右股関節からの膿の培養で、これが培養されました、とのことでした。
微生物は、Nocardia. いろいろなspecies があるという話、どのspeciesかはreference center (ほかのより大きい検査センター、Mayo Clinic, 州の保健局など)に送る、という話。

2例目は、Peritonitisの患者の血液培養でグラム陰性菌が検出されました。
Levofloxacin の静脈注射が投与されている状況。
これはなにだと考えられますか。

答えは、Bacteroides でした。太くて短めのグラム陰性桿菌。

午前中、少しラウンドして、ランチは以前の同僚で膠原病科の友人とナースと一緒に。。

午後は、ジャーナルクラブ。記念写真を撮りました。

最後は、ラウンドで、非常に興味深い症例がありました。

バンコマイシンによると考えられるTENの患者

中年女性で、左目のがんけんが腫大と発赤と結膜炎、periauticular lymphonodes (耳前リンパ節腫脹)がある患者のコンサルトでした。

この症状は、Parinaud's ocularglandular syndromeといい、人の名前がついている症候群です。

もっともコモンな原因は、Bartonella, Tularemiaなどですが、地域的にLyme diseaseなども考えられます。TB, Syphilisなども鑑別対象。HIVの検査はします。

一般細菌のStaphylococcus aureus, Streptococcus pneumoniae, Pseudomonas aeruginosaなども考慮。

眼科と共同で診察していましたが、結膜のbiopsy, 耳前リンパ節のbiopsyをする予定です。診断がついたら教えてね、と指導医の方に頼みました。

初期治療として、Vancomycin, Piperacillin/tazobactam, Clindamycinを開始して、血液培養や結膜、リンパ節のbiopsyの結果を待つ方針となりました。Clindamycinの併用の理由は、連鎖球菌によるTSS, necrotizing fasciitisを考慮してのことだったようですが、臨床的には違う印象です。結膜などの検体のグラム染色や培養結果が出てから変更予定とのことです。

楽しくて、感染症診療の一番おもしろいところを見せていただいた3日間でした。
内容が濃く、かつての教え子であった方が、すばらしい指導医として活躍している姿も見れて感無量でした。

下記に記念写真をシェアしたいと思います。。














Southern Illinois Universityの訪問記 (2)

2011-09-22 21:52:22 | Southern Illinois Un
古巣のSouthern Illinois Universityにて、臨床見学、研究の相談などを昨日、丸一日させていただきました。

6年半ぐらいたっていますが、みんな本当にフレンドリーで私のことを覚えていてくださった人たちが、クリニックなどで声をかけてくださり、感激しました。

クリニックでは、20名前後の予約があり、指導医1名、フェロー1名、レジデント3名、
学生4名(2名が2年生(pre-clinical)、2名が3年生でクラークシップで感染症のelectiveを選択中)で診療にあたっていました。

ナース2名、クラーク1名、薬剤師1名がチームになっています。

Preceptor制度なので、指導医が診察する前に上記のだれかが診察し(通常学生はレジデントとチーム)、指導医に報告し、指導医が確認するしくみです。

時間がかかりますが、米国システムのよい点のひとつです。

私とフェローの方で、その診察を見学しました。私のフォーカスはHIV, Hepatitis Cのupdateな診療でした。HIVの診療は毎年毎年、非常に進歩しており、現場での臨床判断のトレーニングをしたいと思っていました。SIUでは、Hepatitis Cの治療は消化器、肝臓内科でなく、感染症科が外来で診療しているので(全米では通常、消化器内科が多い)、
最近承認されたtelaprevir, boceprevir などの診療を見たいと思いました。

非常に高額な薬なので、米国の民間保険では保険診療が認められないのではないかとのコメントで、現在、上記の2つの比較の臨床試験として使用しているとのことでした。
見学したその日には、この2つのいずれかを使用している患者は診れませんでした。

Hepatitis Cの治療適応患者が激増しているので、クリニックが満杯とのことで人手不足だそうです。

午後は、以前、SIUで私のインターン(レジデント1年目)だった先生(いまでは友人ですが)が、立派な指導医(指導医として5年目くらい)になって、学生、レジデント、
フェローのすばらしいリーダー、指導者としてラウンドしていました。

彼女のadaptive questioning (学習者の到達度に合わせて質問をどんどん変えていく方法)をみて、感心しました。すばらしかったです。とても興味をそそられますし、私自身も気がつかない細かい内科的な点にも配慮した診療プランを立てていました。

知識も臨床判断も一流の臨床医として風格も備わり、ときにユーモアも交えながら和やかなラウンドでした。米国流診療の醍醐味を再認識した次第です。

夕方は、以前の同僚でDirectorの方が夕食に招いてくださり、人気の高いイタリアンに一緒に行きました。会話もはずんで楽しいひとときでした。

夕食後は、ホテルへの道すがら、小さい街ながらリンカーン、オバマに由来する街のため夜のドライブツアー(フェローの方がはじめてだったので)になりました。

秘書の方、ナースの面々、ドクター、友人・知人の暖かさに触れて感激した一日でした。本当にみなさん親切で感謝のしようがないほどでした。

おみやげとして、親しかった方向けに東北地方のこけしを3つ持参していました。あまりにみなさんが親切で御礼してもしきれないほどでした。もっとたくさん日本の伝統的なものを持ってくればよかったなあと残念に思いました。

今日は、午前中に微生物検査室との合同セッション、その後ラウンド、午後からジャーナルクラブで、夕方空港に向かいます!

I miss SIU a lot!!





Southern Illinois Universityの訪問記 (1)

2011-09-21 13:38:44 | Southern Illinois Un
米国微生物学会ICAACも本日が最終日でした。私は最終日は移動日として、シカゴから車で約3時間半ぐらいのスプリングフィールドにやってきました。

久しぶりに米国で車を運転しましたが、なんとかできました。シカゴでInterstateという州をつなぐ大きな道路に乗るまでじ時間がかかりましたが、その後はなんとかスムーズに運転できました。なつかしいコーン畑がいっぱいで、ノスタルジックな気持ちにもなりました。

無事にホテルにチェックインし、Southern Illinois University (SIU)でお世話になっていたSecretaryの方に電話していつでも訪問してもいいと言われたので、さっそくフェローの方と私のふたりで訪問しました。

なつかしい面々と再会し、感激もひとしおでした。みんなお元気で感無量でした。

2代前のDirectorの先生もボランティアでカンファレンスに参加されていましたが、その先生とも再会してhugしたときには、米国のファミリーに再会したような気分でした。

文字通り"Professional Family"ともいえる暖かい雰囲気の職場でした。

残念でしたのは、一番お世話になり、いっぱい叱られもしましたが、一番ためになるフィードバックを頂き、鋭い臨床判断を肌で教えてくれた先代のDirectorがちょうど東海岸に移動したことでした。彼女はいまでも私の”Professional Mother”で、多少の無理もきいてくださる恩人、ロールモデル、そしてまた反面教師でもあった方のひとりです。

建物も病院もきれいなままで、6年半の歳月があっという間に過ぎ去ったことを実感しました。

到着後すぐに、トラベルクリニックと一般感染症クリニックを見学。医学部2年生2名が見学しており、フェロー1名と指導医の先生と、なじみ深いナースたちとのひとときでした。

患者の診察を見学しました。

この症例は非常に教育的で、クリニックで指導医の先生が医学部2年生(まだクラークシップは行っていない、基礎医学をPBLで学んでいる学生)にいろいろ質問していました。2年生とはいえ、実践的な教育を受けているので臨床的な知識もずいぶん持っているなあ、と感心しました。


Enterococcus のspeciesの違いについて、感受性のパターンの違いについて、腸球菌が起こす感染症について、さらには感染性心内膜炎について、などなど教育ポイントが満載の症例でしたので、彼らにとってもPBLでの勉強を補強するよい経験になったのではないかと思います。本当にimpressiveでした。

臨床判断の面では、Enterococcus faecalisの血流感染で、かつ人工弁の挿入された患者なので慎重な対応が必要です。6週間治療するか、4週間にするか、2週間で終了するか、これらの選択は、基本的には臨床判断が必要です。正解はなくケースバイケースの個別判断だと思います。

臨床現場で、患者の状態をよく観察し、話を聞き、そのうえで、Urosepsisと判断し、あえて人工弁の感染性心内膜炎とは診断せず、総合的な判断からその可能性はきわめて低く治療も2週間でよいと、入院時の担当指導医は判断したようです。

外来で確かにそれが妥当かどうかが求められる状況でした。結果的には臨床的にも安定しており、発熱もなく、調子もよい状態だったようです。

このような思慮がないまま短期間の治療をするのは望ましくないです。十分リスクも検討したうえでの臨床判断だと思います。


SIUのAntibiogramでは、昨年検出されたEnterococcus faeciumのうち、なんと9割近くがVREとのことでした。米国のVRE蔓延は非常事態ですね。

日本ではVREの蔓延がそれほど起こっていないので、米国の轍(てつ)は踏まない見識と実践が必要です。。

明日と明後日、クリニックやコンサルテーションの現場をチームについて見学したり、リサーチの相談をしたりする予定です。とても楽しみです。


またこちらのFamily medicineのレジデンシーに3名も日本人の方がいらっしゃるそうです。





本日ICAACで日本人会を開催しました。

2011-09-20 15:04:02 | 米国微生物学会 ICAAC
毎回、なるべく日本人の先生がたと貴重な機会を利用して交流を深めたいという気持ちから日本人会を開催しております。

私自身ICAACが2年ぶりでしたのでICAACでの日本人会は久しぶりです。

現地で、現地の人に教えてもらったりして味のよいレストランを選ぶ努力をしています。
なかなか味覚は欧米人と日本人では異なるので難しいのですが。。。

インターネットでもかなり調べられますが、こちらも同様で米国人の評価が高くても必ずしも日本人の口に合わないこともあります。

ともあれ12名の皆さまとお時間を共有できましたことはとても幸いでした。

普段、国内にいてもお会いできない先生も多いので、努力は必要ですがこのような会はなるべく続けていきたいと思っています。

ICAACのメインのプログラムはほぼ終了しました。

明日は古巣のSouthern Illinois Universityに移動して2日ほど滞在予定です。

MHPE 2011 at AMEE

2011-09-19 08:01:48 | Maastricht Universit
2011年の欧州医学教育学会AMEEでの記念写真です。

Maastricht Universityのアラムナイの集まりがありました。

さきほどみんなで共有しているfacebookのMHEP group でシェアされたものです。

世界中の仲間と同じ認識で学べるのは貴重です。




やはり時差ぼけのため午後はすごく眠いです。。

2011-09-19 07:57:40 | 米国微生物学会 ICAAC
今日は学会2日目。重要なセッションが目白押しです。

なんとか午後もがんばってセッションに出ていますが、眠気のため半分ぐらい眠ってしまいます。。また会場も寒いのでuncomfortableです。最後のICAAC lectureの前にホテルに戻って寒さのため着替えました。少し温度を読み違え、軽めの服を持ってきてしまいました。予想以上に寒く、もう少し冬用の服にすればよかったです。

どのセッションもとても身になるものです。

Gram negative rodのbreakpointが変更になった点に関するセッションはいくつもあります。自分の施設の状況を調べてみたいと思っています。

米国では「1年目レジデントは当直してはいけない」規則になったそうです。

2011-09-18 08:10:01 | 医学教育
昨夜、シカゴでお世話になっていた日本人ご夫妻と久しぶりにお電話でお話しました。

米国に20年近くお住まいで、医師としてはたらいていらっしゃいます。

レジデント教育にもかかわっているそうですが、2011年7月から、米国ではACGMEという卒後臨床研修を規制する機関の規則で、なんと、1年目レジデントはon callをしてはいけないことになったそうです。

On callとは、日本の当直・宅直に当たります。24 hour callは米国ではかなり少なくなってきておりますが、さらに当直・宅直も1年目はやらないことになったそうで、驚きました。

週の勤務時間が80時間の上限があることはご存知の通りですがこれもトレーニングへの弊害が問題になっていました。

また勤務から次の勤務の開き時間も最低10時間あけるように、との規則も加わったそうです。


朝7時出勤したレジデントは、夜9時には帰宅しなければこの10時間ルールに抵触することになるそうです。


米国で私がレジデントのころは、朝6時30分ごろ出勤して、おおよそ6時ぐらいには帰宅できていました。

医療安全の目的だと思いますが、トレーニングの質が低下すれば、医師としてのスキルや判断自体が低下することが予想され、今後、どうなるのでしょうか~。

米国は、世界経済の影響で、失業者が増え、患者も減っているそうです。失業者は医療保険を持たないため、医療機関にもかかれず、結果として患者数が減り、病院経営が圧迫されているそうです。

日本はこのようなことにならないように、しっかりとした政策が必要ですね。国民皆保険のありがたさを身にしみて感じますね。国民保険にも入れない方が増えていますが、それでも医療がここまで不平等かつ経済原理でゆがんだ米国に比べるとまだまだ恵まれています。


学会場で、ふと気がつきましたが、やはり貧困、教育、健康状態は関連していると思います。学会場のファーストフードで働いている方の大半がはやりminorityの方です。
病的肥満の方が多いという印象も持ちました。世界の問題としてなんとかしたいですね。


世界全体が高齢化しており、複数の既往歴を持った非常に合併症の多い患者さんのケアは今後、必須の状況です。医学教育が核になっていることは疑いの余地がありません。








驚きの大きな変化がいくつかありました。

2011-09-18 08:01:28 | 米国微生物学会 ICAAC
毎年、ICAACは、Breakfast, Dinner のlectureが目白押しで、しかも質が非常に高いものも多いのでそれに参加して勉強して、夜出かけることなどなかったのですが、今年はわずか3つぐらいしかDinner lectureがないのです。

世界経済と投資家の意向でしょうか。抗菌薬の開発にお金をかけない風潮がここまで広がっているとは大きな驚きでした。昨年IDSAに行ったときはそれなりの数はあったと思います。

今年のICAACの傾向としては、内容がGram negativeの占める割合が非常に多い印象です。
いくつもセッションが組まれており、どこかで必ず聞けるように配慮していますね。

以前、IDATENでも講演していただいたDr. David L. Patersonのすばらしいreviewがいくつもあります。引っ張りだこの状態です。

スライドも見やすく、大変わかりやすいプレゼンテションでぜひお手本にしたいと思いました。

米国のプレゼンターは、多くの人が非常に早口です。自分もそのペースに慣れていますが、内容が十分に伝わりきらないなあという印象を持ちました。コンテンツは優れているのですが、早口でスライドがbusyですと、十分についていけないまま終わってしまう印象です。結果として、風のように去ってしまう(忘れる)ことになります。

そうした”風のように去ってしまう”プレゼンテーションとは対極にあると感じたのがDr. Patersonのすばらしいプレゼンテーションでした。内容も話すスピードもスライドも際立ってすばらしかったです。

ワクチンのセッションもありましたが、スイスからの先生のすばらしいインターアクティブセッションにみんな満足しました。

Key Note sessionは、全員参加のため12,000ぐらいの参加者を前にしたプレゼンテーションですが、トップバッターのUKからのGNR専門の先生のプレゼンテーションは、非常に聴衆をengageするのが上手で、まったくあきない30分でした。

世界が本当にかなりのスピードで動いていることを実感します。

変化に対応する力を今以上につける必要があることを感じました。

日頃、journalを読む時間が十分取れていないことを反省しました。世界の動きを速やかにキャッチするにはjournalは最低限、目を通すことが必要ですね。

本日からChicagoで学会でお勉強!

2011-09-16 19:22:28 | 米国微生物学会 ICAAC
4年ぶりのChicagoにきました。予想通り、すでに寒くホテルの部屋で暖房をかけました。

いろいろな意味でなつかしさでいっぱいです。

米国の学会は、ちょうど昼と夜が逆転しており、時差ぼけのためせっかくのセッションが眠くて頭に入らないことが多いのがいつもとても残念です。

今年はなんとか時差ぼけを最小限にしたく、到着後、寝ないでがんばって起きていました。

日本人会のレストランを探して予約したりしていました。

久しぶりなので夜は少しエンターテイメントも見に行って、世界の感性に触れたいと思っています。

ミュージカルに2本行ってみようと思ってチケットを買いました。

シカゴは、美術館も充実しているので開き時間などで一度は行ってみたいと思います。

多くの知人や友人と学会会場で再会できるといいなと思っています。

霧雨のように。。。

2011-09-15 11:32:59 | 医学教育
先日、沖縄県立中部病院の遠藤先生のご講演で、”霧雨のなかを歩いていたら気がつかないうちに、濡れてしまった”という曹洞宗の道元のことば引用されていました。

遠藤先生が、お師匠の先生のもとで研修していたら、自然にその先生に匹敵する”匠たくみ”な診療を身につけることができた、というお話でした。

医学教育の理論を学び始めたおかげで、その意味が身にしみてわかりました。

”学習環境”の学習に与える影響、ということです。

Learning environmentにより、いかにパフォーマンスが変わるか、ということですね。

学習理論、教育理論を学ぶ前に、自分でも、どこをどう変えれば日本の教育がよくなるか
考え続けていましたが、”環境から学ぶ要素”ということを、初めて自覚したのを思い出します。

在米中では、”あたりまえで空気のようになっている”状態では気がつかない”環境から多大に学んでいるということ”を、いかに日本で実現したらよいかを考え続けています。

私自身は、自分のトレーニングの経過を振り返ってももっとも学んだのはベッドサイド、
特に指導医とのラウンドであったことは非常に明確です。

Teaching roundこそが、臨床教育の核であると信じています。それをいかに充実させるかが自分自身の課題でもあります。時間、マンパワーの状況から制約は多いなかで、最大限のアウトカムを引き出す環境の構築が目標です。

今年は、国際共同研究を実行することが最優先です。ありがたい機会を頂戴し国外出張が多いです。反面、自分が一番大切に思うTeaching roundが十分にできていないことを悲しくも思います。

いつでも、どこでも、自分のベストパフォーマンスを提供することが本物のプロフェッショナルだと思います。よい意味で緊張感をもちながらいろいろなことに取り組みたいですね。。

家族との時間もそれ以上に大切にしつつ。。。