矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

レクチャは効果が低いことを再確認

2016-10-22 10:58:05 | 医学教育
9月末から看護学部1年生の方々と大学で接する機会をいただいております。

18-19歳の学生さんたちは大変、熱心で、毎回感心しております。

2コマ連続のため、少なくとも1科目につき1時間程度は事前学習が必要なデザインです。
2科目同じ日になるので2時間以上は事前学習していただいていることになります。

感染症領域では、コンテンツが多いため、今回、レクチャーの割合を少し増やしてみました。
順番も最初に少し長めのレクチャを入れました。結果、やはり効果が低いことがわかりました。

"Passive learning" レクチャは、「受け身学習」の最たるものです。


もともと
事前課題---グループディスカッション---グループ発表----最後に15分程度のまとめ(知識確認レクチャ)で90分を構成しています。

1回目、2回目とやってみて、時間があっという間に過ぎました。

3回目に長めレクチャを最初に持ってきてみましたが、この方法は適切でないことがよくわかりました。

国家試験の問題傾向をみながら、レクチャの内容も考えていますが、そもそも「国家試験」が「単純記憶試験」factual recallと呼ばれる学習効果が低く、theory transfer (知識の現場応用)が低い形になっているのがとても問題であることを感じました。

国家試験直前に「暗記型詰め込み」で試験は試験で別の勉強をしていただく形が現実的かと考えたり、概念自体をまったく知らないところを独学するのは大変なため、少しでも”講義”にて触れるべきか、毎回ジレンマを感じます。

自身が学んだ学習理論は、真理であることを実体験しました。

今後は、Facts事実をたくさん伝える形式はやはりやめて、自主学習を促し、自分で勉強できるスキルを伸ばすデザインを継続することにしました。

試行錯誤が続いていますが、90名近い学生さんはほぼ全出席、毎回課題もほぼ全員提出というのは驚きで、感銘を受けております。




受験生へのメッセージ 5月27日 日経新聞朝刊(東京本社版)

2016-05-29 11:43:44 | 医学教育
この度、医学受験生へのメッセージということで、先週5月27日金曜日の日経新聞朝刊 (東京本社版)に私のメッセージが掲載されました。

関東周辺のみ版のようです。両親にも連絡しましたが、中四国版は紙面が異なるとのことで急遽、両親にも1部送ることになりました。

記事を写真に撮りましたので、こんなイメージ、ということだけお伝えします。


グローバルに活躍できる人材をいかに教育するか、医療にしても、ほかの領域にしても、「国家の浮沈」関わっていることを強く認識しながら、教育に奔走しております。

そもそも「グローバルに」という単語がいらないほどに、地球のどこでも仕事ができ、居住できる選択肢がある時代に生まれている我々(私もまだ40代ですし!)、そして続く子供や若者たちの未来は非常に楽しみではないですか〜!

APMEC 2016 ePoster 発表終了しました

2016-01-16 07:40:26 | 医学教育
APMEC 2016(アジアパシフィック医学教育学会)に参加しております。


昨日、ePosterの発表が無事に終了しました。


Congress dinnerでとても勉強になるお話を隣席のシンガポールの先生方から教えていただきました。
国そのものの医学教育の根幹に関わっていらっしゃる方が多数、参加されているので、非常に刺激的でした。


文化人類学 anthropologyは私もとても興味のある分野なのですが、そのマスターを取得し、現在、台湾のProfessor, 今年はクエートでサバティカルをしている友人とも再会できました。

Plenary sessionのひとつを彼女がされたのですが、圧巻でとても素晴らしかったです。

西洋でなされた研究が、東洋の文化コンテキストでどうなのか、などを中心に研究され、昨日は、臨床医学に関する文化についてのお話でした。"Clinical culture"について、非常にinsightful 示唆に富み、刺激的でした。

シンポジウム便り:Health Professions Education Globalized

2015-09-02 19:11:44 | 医学教育
しっかりとreflectionしたいと思いますが、本日のマストリヒト大学およびトロント大学共催の”医学教育のグローバル化”に関するシンポジウムは、大変、素晴らしく、刺激的, inspiringでした。

シンポジウム中に自分がメモしたキーワードなどをまとめたいと思っています。

スピーカーは、世界各地で、交換プログラムを実行している経験者の方、カリキュラムなどを別の国に”輸出”している方、逆に”現地で受け入れている方”などでした。文字通り、”世界中から”集まった方々でした。

強いて申し上げるなら、米国から参加者はいなかったこと。主催はカナダも含まれていますが、どちらかといえば、英国圏内の国のため、少し意味合いが異なると感じました。

マストリヒト大学が協力している国々、特にアフリカやサウジアラビア、イエメンなどの中東からの登壇が際立ちました。アジアからは、シンガポールからのスピーカーが唯一含まれていました。

セッションそのもののデザインも、さすがマストリヒトというべき斬新なデザイン。

オープンディスカッションも多く、議論から学ぶことが多かったです。

日本に関しては、会場で偶然にも、マレーシア人で、英国で大学を出て、その後、なんと東京大学で教育にかかわっており、今年の9月からマストリヒト大学でMaster of Global Healthを取得するコースにいる方に出会いました。日本語も流暢で、英語、マレー語、北京語と数カ国語を話す方です。また岐阜大学に3ヶ月滞在したことのあるマストリヒト大学の有名教授の先生ともいろいろお話できました。

非常に楽しく、アカデミックにも有益な時間でした。

この後、自身の頭の整理と復習をするため内容をリポートします。

うれしいお便りがたくさん

2015-07-27 22:44:44 | 医学教育
人とのご縁は不思議です。ありがたいお便りがたくさん舞い込んできています。

素敵な女性医師の方々との貴重な出会い、以前からの知り合いの先生からのうれしいサプライズのご連絡など。

一期一会のご縁を常に大切に、これからも志を同じくする方々と、グローバルヘルス領域でキャリア展開します。

第42回関東農村医学会総会 みとちゃん活躍!

2015-07-11 20:39:41 | 医学教育
本日は、水戸市で40年ぶりに開催されたと伺った第42回関東農村医学会総会でした。


院内総出の学会で、多職種が同時に会する貴重な会でもありました。

研修医の方もポスター、口演でご活躍。優秀賞を受賞されました!


私はランチョンで総合診療医の徳田安春先生のセッションの座長をさせていただきました。非常に勉強になる症例で、私も3年後に迫った総合内科の更新試験に向けて、生理学の復習が必要な血液ガスに関連した症例。


今回は現職の筑波大学医学部の教育改革、当院での研修プログラム構築の歴史を演者の先生から学ぶ機会になりました。非常に有意義な時間でした。

”念願の”みとちゃんと記念撮影しました!




多職種の方、ICT (インフェクションコントロールチーム)の皆様とも記念撮影。




ほかの病院の企画情報部の方のご発表がとてもインプレッシッブで、さっそく名刺交換させていただきました。

院内のエンパワーメント、各自のゴール達成などにつき、マネージメント面でとても参考になりました。


明日、第5回TEMEします! 梅まつりも爛漫です。

2015-03-20 23:57:02 | 医学教育
今年度は、異動後、かなり激動の1年で、なかなかTEMEを開催できずにいました。

TEME: Teaching and Learning Medicine in English.

これまで東京2回、栃木2回で、5回目は水戸!

これほどレストランのレベルの高いところには住んだことないです。どこもとてもリーズナブルで美味しい。

今日は、水戸協同病院の送別会。おおくの素敵な先生がご卒業です。






Teaching round day

2014-02-18 21:22:21 | 医学教育
だいたい火曜日はteaching round dayにしています。

読み込む文献が多くて、なかなか時間が取れないことが増えていますが、本日の午後はラウンドしました。

いま大量の文献で、workplace learningについてreviewしているので、そのtheoryをapplyするにはちょうどよい感じです。

理論と実践が同期して初めて質の高い教育が実現できると思います。

明後日から青森ですが、大雪の予報みたいで心配しています。

無理なときは動かないことが一番ですね。

Priorityを誤らないことが一番と思います。

1週間後に迫る!第4回 TEME Teacihng and Learning Medicine in English

2014-01-24 12:59:06 | 医学教育
第4回Teaching and Learning Medicine in English (TEME) セミナー

まだ間に合いますので、もしご興味がありましたら、どうぞ~。

2014年2月1日 土曜日にお目にかかれますこと楽しみにしております。

お申込み方法
お名前(ふりがな)
所属 (学年、卒後年数)
Email
TEMEで学びたいこと

を書いて、hgomi-okyあっとま~くumin.org (矢野晴美)
へ直接、ご連絡ください。

症例予告
“A 25 year-old Japanese man without any past medical history presented with fever and cough.”

です。


各スモールグループには、ディスカッションのファシリテーターが1名ずつつきます。

症例提示しながらのディスカッションの方向性

1. What is your differential diagnosis?
2. What kind of questions would narrow your list of differential diagnosis?
  (or what kind of questions would you like to ask the patient?)
3. Why do you think so?
4. How do you prioritize your list of differential diagnoses? And why?
5. To make a diagnosis, what is the optimal diagnostic test or procedure?
6. How do you manage this patient?

日時 2014年2月1日 土曜日
受付 12時30分
開始 13時00分
終了 16時30分終了予定。
参加費 無料

会場 
〒105-0001
東京都港区虎ノ門1-22-13虎ノ門秋山ビル9F
http://www.noguchi-net.com/map.html


米国財団法人 野口医学研究所
特定非営利活動法人 野口医学研究所
TEL : 03-3503-2250
FAX : 03-3580-2490


セミナー後援 特定非営利活動法人・野口医学研究所

(当日のタイムテーブル)
12:30開場、受付
13:00-13:50   Warming up English 自己紹介・他己紹介ゲームなど
休憩 10分

14:00-16:00 Case discussion
      スモールグループに分かれてじっくりディスカッションと全体シェア
16:00-16:30 フィードバックセッション・今後のセミナー内容含めて。
終了

Facilitator: 自治医科大学 矢野晴美
TEME Shapers (順不同):
横須賀市立うわまち病院 相馬真子
大津赤十字病院 牧石徹也
神奈川県立こども医療センター 池田早希
自治医科大学 救急部 望月礼子
自治医科大学 研修医 安藤尚克
自治医科大学 山本令子
自治医科大学 4年生 井上美沙
自治医科大学 4年生 前野美里
自治医科大学 5年生 北島平太
国立国際医療研究センター 氏家無限
静岡がんセンター 森岡慎一郎

日本内科学会の新内科専門医・内科指導医

2013-11-14 13:29:02 | 医学教育
日本内科学会の新・内科専門医、内科指導医のお知らせを見ました。

いま私は内科認定医と総合内科専門医を持っています。

内科指導医に移行するのかな。

日米の両方の制度にのっかっているので、両方のシステムを相対化してみています。

よりよい、安全な診療を患者さんに届けるためにシステム構築していくことが必要ですね。

Professionalism プロフェッショナリズム

2013-02-19 23:10:26 | 医学教育
What I think most important as a medical professional is time management, prioritization, and appropriate chart documentation. "Nine to five" business hours are critical to do most of the important tasks during the day.

There are many other things to consider as a professional.

1. Patient confidentiality 守秘義務

2. Conflict of interest 利益相反

3. Power or sexual harassment パワー、セクシャルハラスメントに対して敏感

4. Patients' best interest 患者の最善の利益

5. Patient safety 患者の安全

What I have been impressed with my mentors are;

They are very generous, flexible, supportive, and always very friendly.

They never ever abuse authorities, or administrative power.

I have learned "professionalism" or "professional behaviors" mostly from my mentors.

This was "hidden curriculum" during my residency or fellowship.

Organizational culture 組織文化, practice culture 診療文化, learning environment 学習環境
are the most important factors to promote professionalism.


今日から時間不足のため突貫工事します!

2013-02-04 20:21:14 | 医学教育
物理的に時間が足りないことがはっきりしてきたので、家族にも話して、夜にも作業をすることにしました!

締切が同時進行なのは仕方ないことですね。

踏ん張りどころで、なんとか完遂したいと思います。

幸い、前回mentorと2回目、3回目のskype meetingの日程も時間もarrangeしたので、ともかくそのdue date(締切)に間に合うように、paperを読みこなし、draftを進めます。

臨床研究のデザインの仕事もしており、こちらもかなりheavyな仕事ですが、締切が2月中旬なので、今週中には形にすべく今晩、頑張る予定です。

アカデミックな仕事に集中できることを幸せに思いますので、なんとかやり遂げたいです。

TEMEもうまくいきましたので、さっそく”TEME shapers”を募集し始めます。

Committment is the key to accomplish something. You can do it!

本日、水戸共同病院でteaching roundをさせていただきました!

2012-12-18 22:06:47 | 医学教育
本日も大変、充実した楽しい1日でした。

我ながらいまのところ、早朝モードを堅持できており、午後11時には就寝、朝5時30分ごろ起床してフル稼働しました。

6時30分には自宅出発。1時間の間に朝ごはん(パンとコーヒー、果物、オレンジジュースなどのフルーツジュース)、家族の晩御飯(不在や遅い帰宅のときにわが家の人気メニューはタイカレー)をつくりました!最近は便利なものがいろいろ売っているのでとても助かっています。とってもおいしいタイカレーのルーがあり、簡単に短時間に作れます!

約1時間半ぐらいで水戸に到着し、迎えに来ていただいた元教え子であった先生と徒歩で病院へ。

到着直後の9時から12時まで、症例のグランドカンファレンスでした。すばらしい症例の
すばらしいプレゼンテーションが続き、1年目、2年目の方のプレゼンテーション力に感心しました。

水戸共同病院写真集です。


私の専門が感染症のため、感染症の症例を集めてくださっており、とても興味深かったです。3時間のセッションがあっという間に終わり、ランチョンで「医学教育学についての講演」をさせていただきました。”習いたてのほやほや?”なので、医学教育に特化した講演のデビュー作となりました!

その後は、病棟teaching roundでした。
My 白衣+聴診器+ライト+ハンマ~を持参していたので、それを装備して出発。。
午前中の患者さんを中心にラウンド。興味深い症例が多く、teaching pointが多いので、
1例につき1時間ぐらい、グループにさまざまな質問を投げかけ、”耳学問”をしていただく機会としました。。。

肺炎球菌の臨床症状、肺炎球菌ワクチンの効果(どの疾患をどのくらい予防できるのか?
成人用と小児用のワクチンの違いや、小児用ワクチンがもたらしたパブリックヘルス上の
アウトカムは?)などについて質問を矢継ぎ早に投げてみました。みなさん苦戦した部分もありましたが、とてもやる気があり、こちらもかなり”乗って”セッションをさせていただきました。楽しかったです。

そのほか黄色ブドウ球菌、肺膿瘍、肺のfull examinations (診察方法)などを質問したり
診察法をやってみたりとしました。

なかでも学生さんが3名参加されており、特に学生さんに診察を私の目の前でしていただく機会を意図的につくりました。学生、初期研修医の方にHands-on-learningの機会を増やしたいと切に思っているので実行できてよかったです。

名残惜しくも、夕方水戸を出発して、無事に自宅に戻りました~。
今日は、家族との約束の時間20時(それより遅くなるときは一人で食べてもらうことにしています)までに戻れたので、一緒に夕食を食べれました!

明日も早朝モードで仕事開始するため、もう寝ます!


ありがたいメンターからの連絡

2012-11-19 21:45:24 | 医学教育
いまオランダに二人、私のリサーチメンターがいますが、激しい競争に自らもさらされながらも、メンティー(mentee)である私のことも気にかけてくださり、今朝Emailがきていました。

私の単純ミスから、Skype meetingが開催できないままオランダから帰国後すでに1ヶ月以上経過してしまいました。

私のほうは、米国学会があったり、その後国内出張などが続き、その合間にも放送大学の教材作成、そのほかの執筆、論文proof readingなどかなりの量の仕事をこなしながら、なんとかサバイバルしていました。

12月2日が締め切りのため、今週1週間がCriticalとなっています。

また今日は一緒に発表予定のレジデントの方とポスター作成の最終チェックをしていました。来年1月にシンガポールでアジアパシフィックの医学教育学会があります。APMECという学会ですが、年々、規模が大きくなり、斬新な試みもされます。

来年の第10回の記念すべき会ですが、20個あまりのBest abstract以外、すべてE-posterに変わりました。そのため2つ発表予定だった私は、1つはE-posterとして11月末締め切りのファイルを作成し、送付。もうひとつは、通常通りのポスターのため、年末または年明けに大判プリンターにて布製の素材に印刷予定です。こちらは折り曲げても大丈夫なのでスーツケースに入って楽ですね。。
(こちらのポスターはレジデントの方に発表いただくことになっています!)

かぜで声が変わってしまい、”まさか”の状態になっていますが、今週中は、頭をシャープに維持して集中して仕事を進めたいです。

なんとかせねば、。。なんとかするしかないですね。。こういう土壇場はなんども経験していますが、追いつめられた緊張感があるほうがよい仕事ができることも多いです。

雑な仕事にならないように、質の維持に務めたいです。。