矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

日本での臨床研究の立ち上がり・盛り上がり

2012-10-13 11:09:01 | 感染症関連
Facebookで情報をシェアさせていただいたのですが、日本の臨床研究の論文数が18位から25位に転落。18位のときにもすでに中国に抜かれていたので、いまどのくらい離されたのか気になります。オリンピックでも、”気がつかない”間に、韓国に悠々と金メダルの数で追い抜かれ、日本が”ジリ貧”状態であることが”目に見える数字”としていろいろな分野で見られます。

教育の状況を、第3者としてみれば、2000年代前半から、”当然の帰結”ともいえるかもしれません。そうならないために、懸命に母国で個人レベルでできる最大限のことをしてきたつもりですが、”Establishment”の強さはなみなみではない国と感じます。

うれしいニュースでは、iPS細胞で日本の研究が世界的に大きく評価されたことは誇らしいことです。。

臨床研究も昨日の東日本合同学会にて、JSEPTIC日本集中治療教育研究会が、すでに7本もの多施設(20施設ぐらいがルーティンだそうで)臨床研究を走らせているのは、非常に勇気付けられました。

国家としての日本に、もっとも大きな課題と思われるのが、”科学的に精緻な”データに基づいた議論、と認識しています。あらゆる分野で、国際的な場で議論される中心は、
いかに正確なデータがあり、それをもとに賢明な判断をしていくか、政治的な要素は加わるものの主張の根拠を明快に示すことができない場合は、”相手にされない”のが常です。

多国家がパワーを持つ時代に、”何が議論の決め手になるか”これは、”誰もが納得する”データがあることは非常に重要な要件です。

その意味で、日本が日本のコンテキストのなかで、独自のしっかりとした臨床データを蓄積し、世界へ発信し議論に参加することは、ますます必要になっています。その際のツールとしての”英語力”は”MUST”であり、高等教育を受けた人材で、英語力がない人というのは先進国、途上国でも少数ではないでしょうか?

ツールとしての英語 Bronken English = Globishだそうで、みんなでGlobish or Japanishを使いましょう!どんどん。


東合同学会 IDATENとJSEPTICの軌跡と展望

2012-10-13 00:24:16 | 感染症関連
10月12日東日本合同学会にて「IDATENとJSEPTICの軌跡と展望」というシンポジウムをする機会を頂戴していました。

学会最終日、最後の時間帯で、同時並行のシンポジウムも興味深いものが多かったので、どうなるかなあと思っていました。5人の演者で内容は非常に充実していたと感じました。

聴衆がやはり少なかったので、残念に思いました。

議論は有益なコメントや質問が多かったので、会場にご参加された方の何かのお役に立てばと期待しております。

今日の夕方は、家族と合流してレインボーブリッジの見えるレストランで食事ができて幸せなひとときでした。。

明日が最終日です。。夢のように楽しいプログラムでした。。

2012-10-10 02:12:06 | Maastricht Universit
10日間の非常にタイトな集中セッションも明日で最終日です。

マスターコースの学生としてMaastrichtにかかわっていたのとは、パラダイムが違うことを肌で感じることができました。この施設の”底力”を感じ、世界のトップノッチのリサーチャーから直接そのエキスパティーズ expertise(専門性)を享受できることは、何にも代え難い幸せです。

知的幸福感 intellectual happinessとでも概念化できるでしょうか。

この施設のスタッフは、若手もベテランもみんなすばらしく、感嘆しています。いくつものチームがすぐに組めることも施設としての質の高さを物語っていると思います。

9名の世界中から集まったクラスメート、ベテランで各自の組織でも医学部長クラスの方もおり、自分の施設、国自体を改善したいという非常に高い志をもった人が多くて、こんなネットワークができるとは夢にも思っていませんでした。

スーダン、エジプト、パキスタン、チリ、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、日本、インドネシアなど非常に多彩で世界中から集まっていました!!

いまオランダ国外でPh.Dのコースを受けているひとはもっと多彩で、カナダ、オーストリア、ドイツ、デンマーク、英国、など先進国の出身も多数です。それだけMaastrichtの
専門性が高く評価されていることだと思います。事実、非常に多くの学生をメンタリングしているファカルティが多く、自分の質問の要点を整理して、効率よいミーティングを行うコツ tipsも教えていただきました。

今回は、マスターのときからのメンターに引き続いてお世話になることにしたので、とても心地良い関係です。またもうひとり女性のメンターも担当してくださっているので、別のアングルから非常に興味深い提案をいただき、複数メンターというのはありがたいと思っています。

明日、最後のプレゼンテーションがあり、さらにフィードバックをもらいます。
帰国してからより具体的に、どうプロジェクトが進められるかいろいろ周囲の方々に相談してぜひ進めたいと思います。

Break through and Nobel Prize!

2012-10-09 04:53:35 | Maastricht Universit
Maastricht大学でのプログラムも残り2日となりました。

週末には、クラスメート9名全員でランチを食べてすばらしい晴天の日曜日を過ごしました。

よく遊び、よく学べ、で昨夜、文献検索をかなりやったおかけで少し道が見えてきました。

そうこうしていたら、山中伸弥先生がNobel Prize受賞!のすばらしいニュースで感激しました!

英語のwebsiteで興味深い記事を読みました。1987年の利根川進先生以来の日本人の医学生理学賞での受賞。その記事によると同時受賞の英国人研究者が研究結果を発表したその年の1962年に山中先生が誕生した、と書いてありました。すごいことですね。研究成果を発表してわずか6年で受賞というのはきわめて異例のことだそうですが、2009年にラスカー賞を受賞していることもあり、ポテンシャルが非常に高く評価されたため、と解説してありました。

Maastrichtで最初の数日で、リサーチプロポーザルはもうだめかなあとあきらめモードになっていたのですが、2回目のメンターセッションでかなり復活、希望の光が見えてきて、さらに週末、ある程度方向性を自分で決めました。まだまだ十分にフォーカスできていないのですが、帰国してからプライオリティをしっかり立てて時間を最大限、有効に利用してがんばってみようと思います。

なんとか12月4日の2度目の提出・評価をクリアしたいところです。



Brainstorming continued・・・

2012-10-07 15:15:37 | Maastricht Universit
今回、2人のresearch mentorと一緒にリサーチのフォーカスとデザインを考えています。

新しい領域、少しでもscienceに貢献できる”niche"を探すことがもっとも難しい部分です。

”Question is an answer."といわれるように、質の高いresearch questionができればおのずと方向性は決まります。

昨夜、メンター2人と今回ラッキーなことにもうひとり日本人の先生とメンターが同じのため4人でディナーの会がありました。メンターのひとりが招待してくださったもので、昨年も
menteeである私を含む3人の学生が招待されました。

Maastrichでとても気に入ったレストランだったのでとてもうれしかったです。

私のメンターのスーパーバイズの仕方はとても参考になり彼自身がすばらしいロールモデルです。自分自身の成熟度や”信念”beliefで、なかなか彼のようなsupervisionはできないのですが、私自身が学ぶ立場で逆の立場を同時に経験することは、自分の成長のためにはとてても貴重な機会です。”鏡”を見ていることになるため、とてもありがたいです。

自分のトレーニング期間を振り返ると、ほぼすべてのトレーニングを米国or英国、いまはオランダの西洋文化のコンテキストで受けているので、自分が学習者のときには、自主学習、自分の主張、自分の選択ということが、システム化されていました。社会生活自体も、自力本願な社会、個人主義であるため、”自分のカラー”を明確に出すことが常に要求されていました。

人間は、やはり”自由”をもっとも好むのでしょう。このシステムは非常に心地良く、
文字通り、”思う存分に”トレーニングを自分でデザインして、学ぶ内容、学び方、学ぶ深さ、をすべて自分が決める、というスタンスです。

アジアの背景では、個人主義から”協調主義””儒教の文化”などから、無意識に受け入れられている”常識”が異なります。そのため、自分自身がもっとも嫌っている”コントロール”を、自分も学ぶ立場の方がたに、”無意識に”していることがあります。これはなんとかしたいと思っています。言語自体も明確な尊敬語、学習者とのパワーの関係性(専門性の面、役職上の面など)が、特に日本の文化圏内は強いため、意識してそのパワー関係をはずそうと努力してきましたが、学習者自体も同じ文化圏にいるため、なかなか思うようにはいきません。

10日間のコースがすでに半分を終了し、終盤ラストスパートに入っています。
1日1日が非常に重みあるもので、本当に参加できてよかったと思っています。この機会を支えていただいている方々にとても感謝しています。

最後まで、自分のパッションに従って前に進みたいと思います!





3日目が終了。

2012-10-05 01:08:16 | Maastricht Universit
もう3日目が終了しましたが、10日間のintensive courseですが非常にデザインがすばらしいです。かなりタイトなスケジュールですが、精緻に計算されたプログラムです。

Ph.Dを10年間かかって取得した方の体験を聞いたり、非常にすぐれたProposalのサンプルを
4本、さらによい見本1本と改善が必要な見本を1本提供されて、それを評価するトレーニング。

Novice (初心者)は見本から学ぶことが多い、経験者(expert)は問題解決型のほうがよく学べるという知見があるそうで、それを取り入れたかのような教育デザインです。

優れたproposalを2つの領域別に提示されており、このレベルが最終ゴール(来年3月)なのだと最初から認識して作業に取りかかれることは非常にありがたいです。

逆に、私の場合、時間的な制限もあり、このゴールを期間内に、リサーチを実際に施行できるかどうかも含めて、その目安を推定することができます。もう少し時間をかけてproposalを作成したほうがよいかなと感じはじめました。

良質のリサーチは、サポートが施設内に必要ですし、同一施設内でチームを組んで行うことが必要になります。スーパーバイズは他国からもしてもらえるのですが、やはり実際のデータ収集など現場のことは自施設のため、ハードルがかなり高いと感じています。

良質のproposalを見るとやはり大半が先進国出身者のものです。リソース、リサーチ環境、
high quality journalに投稿してacceptされる必要がため、最先端、最新の知見が出せるスタディであることが求められ、非常に難しいです。

ただ今回Maastrichtで、リサーチの本質的なところを非常に詳しく繰り返し、最先端の研究者から学べるのはありがたいことです。

来るまでの準備が決め手

2012-10-04 02:24:06 | Maastricht Universit
今回の10日間の滞在で、Ph.D.コースに入るための質の高いresearch questions and proposalの作成に取り組んでいます。

来る前にかなりハードルの高い準備を与えられていたのですが、タイムラインが非常にタイトであるため、最初の構想でかなり出来栄えや進行が左右されることは予想していました。

壮大な計画は実現が難しい、しかしある程度新規性がなければpublish は難しい。
日本国内のローカルプロブレムを解決したいと思っているのですが、それではjournalに興味を示されない、などのフィードバックをいただいて、全体を最初から見直しています。

医師は一般にBiomedicalstudyのほうが慣れているのですが、医学教育の研究者がeducational sciencesはもっとチャレンジングということを書いたペーパーを最近、出したそうです。興味深いです。

今回のクラスメートは9名。日本から2名、パキスタン、サウジアラビア、チリ、スーダン、
エジプト、インドネシア、UAE (アラブ首長国連邦)です。多彩でとても和やかな雰囲気で一緒に勉強しています。年齢的にも私よりもっと上のひとが3-4名います。若手もいます。
とてもよいダイバーシティで、みんなとても熱心です。このコースに入る要件にマスターレベルの教育を受けていること(医学教育を含む)というのもあったので、みんな基本知識は持っています。

9名しかいないので、いろいろ話すだけでも自然と有益な情報交換や問題のシェアができます。驚いたのは、スーダンからの方もPBLセッションを自国で改善したいと思っており、
問題がかなり共通していることを実感しました。

シミュレーションを使った教育に関する教育をしたいという人もいて、国境を越えてかなり共通の問題、課題があることが実感できます。

参加して本当によかったです。貴重な時間を有益に使いたいと思っています。
真剣に、集中して勉強を開始しました。






台風をくぐりぬけ、無事にMaastricht到着しました!

2012-10-02 13:58:41 | Maastricht Universit
週末に緊張感を持って、台風の進路を見守っていました。

フライトがキャンセルになったときのためにいろいろ連絡もしていました。

本当に運がよかったと思いましたが、夜中に関東を通過したため、起床した午前3時半ごろにはすでに東北地方に行っていました。成田空港は大丈夫で、フライトもon timeに何の問題もなく出発できました!

Frankfurt経由で、電車でMaastrichtに到着したのは、昨夜の8時ごろ。

午後2時半に着陸して、4時半ごろのICEというドイツの新幹線に乗り3回乗り換えでようやくたどりつきました。時間帯によっては1回乗り換えでも行ける場所なのですが、乗り継ぎの時間などで、このようなスケジュールになり少し疲れました。。。

ただすごいのは、ドイツとオランダの列車なので、たとえ15分ぐらい遅れても?、取り戻せるのか、あわや乗り遅れたと思った列車に間に合い、すべてスムーズに乗り換えができたことも本当にラッキーでした。

ヨーロッパはすでに秋。かなり寒くなってきています。まだ夜8時ぐらいまで明るかったのは救いでしたが、スキージャケットを今回は持参して防寒します。寒いのは苦手です。

私のメンターにも台風で到着が遅れるかもしれないとEmailしていたら、なんとか埋め合わせも考えるよ、と親切な返信がきていました。

国内での仕事もいくつかEmailで進行させるものがあり、少し大変ですが、なんとか10日間の予定を有意義に過ごしたいと思います。