矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

Southern Illinois Universityの訪問記 (2)

2011-09-22 21:52:22 | Southern Illinois Un
古巣のSouthern Illinois Universityにて、臨床見学、研究の相談などを昨日、丸一日させていただきました。

6年半ぐらいたっていますが、みんな本当にフレンドリーで私のことを覚えていてくださった人たちが、クリニックなどで声をかけてくださり、感激しました。

クリニックでは、20名前後の予約があり、指導医1名、フェロー1名、レジデント3名、
学生4名(2名が2年生(pre-clinical)、2名が3年生でクラークシップで感染症のelectiveを選択中)で診療にあたっていました。

ナース2名、クラーク1名、薬剤師1名がチームになっています。

Preceptor制度なので、指導医が診察する前に上記のだれかが診察し(通常学生はレジデントとチーム)、指導医に報告し、指導医が確認するしくみです。

時間がかかりますが、米国システムのよい点のひとつです。

私とフェローの方で、その診察を見学しました。私のフォーカスはHIV, Hepatitis Cのupdateな診療でした。HIVの診療は毎年毎年、非常に進歩しており、現場での臨床判断のトレーニングをしたいと思っていました。SIUでは、Hepatitis Cの治療は消化器、肝臓内科でなく、感染症科が外来で診療しているので(全米では通常、消化器内科が多い)、
最近承認されたtelaprevir, boceprevir などの診療を見たいと思いました。

非常に高額な薬なので、米国の民間保険では保険診療が認められないのではないかとのコメントで、現在、上記の2つの比較の臨床試験として使用しているとのことでした。
見学したその日には、この2つのいずれかを使用している患者は診れませんでした。

Hepatitis Cの治療適応患者が激増しているので、クリニックが満杯とのことで人手不足だそうです。

午後は、以前、SIUで私のインターン(レジデント1年目)だった先生(いまでは友人ですが)が、立派な指導医(指導医として5年目くらい)になって、学生、レジデント、
フェローのすばらしいリーダー、指導者としてラウンドしていました。

彼女のadaptive questioning (学習者の到達度に合わせて質問をどんどん変えていく方法)をみて、感心しました。すばらしかったです。とても興味をそそられますし、私自身も気がつかない細かい内科的な点にも配慮した診療プランを立てていました。

知識も臨床判断も一流の臨床医として風格も備わり、ときにユーモアも交えながら和やかなラウンドでした。米国流診療の醍醐味を再認識した次第です。

夕方は、以前の同僚でDirectorの方が夕食に招いてくださり、人気の高いイタリアンに一緒に行きました。会話もはずんで楽しいひとときでした。

夕食後は、ホテルへの道すがら、小さい街ながらリンカーン、オバマに由来する街のため夜のドライブツアー(フェローの方がはじめてだったので)になりました。

秘書の方、ナースの面々、ドクター、友人・知人の暖かさに触れて感激した一日でした。本当にみなさん親切で感謝のしようがないほどでした。

おみやげとして、親しかった方向けに東北地方のこけしを3つ持参していました。あまりにみなさんが親切で御礼してもしきれないほどでした。もっとたくさん日本の伝統的なものを持ってくればよかったなあと残念に思いました。

今日は、午前中に微生物検査室との合同セッション、その後ラウンド、午後からジャーナルクラブで、夕方空港に向かいます!

I miss SIU a lot!!