矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

あすから5月ですね。

2010-04-30 09:59:33 | グローバリゼーション関連
最近のBBC Newsでは、英国の総選挙の話題とメキシコ湾での石油漏れの事故の話題で持ちきりの印象です。

CNNも、連日、メキシコ湾の環境汚染の懸念を報道しています。

英国の総選挙は大変、興味があります。ブラウン首相の”ひとりごと”が、実は、放送用マイクを通して放送されてしまったことから、失言として、大きな反響と不支持につながっているそうです。

5月とは思えないほどまだ肌寒い気温です。

私は5月からオランダに共同研究のため向かいますが、天候とアイスランドの噴火が気になっています。

グローバルな時代とは、地球の裏側の出来事も、自分の日常に直結する時代なのだと身にしみますね。

米国感染症学会 IDSA へabstract出す予定です。

2010-04-29 22:02:47 | 感染症関連
今年は、米国感染症学会IDSAに参加予定です。

今日は、IDSAのabstractを準備していました。

IDSAは、今年カナダのVancouverで開催予定で、オリンピックが開催されたばかりなので、なんとなくワクワクしています。10月下旬なので、もうかなり寒い時期だとは思いますが、以前、友人から
是非、恋人と一緒に来たかったと思うくらい美しい場所だったと聞いたことがあるので、どんなところか楽しみです。みんな美しい場所と言っていますね~。

仕事でなくプライベートで行ってみたいですね。

症例プレゼンテーションを極める

2010-04-28 09:08:23 | 感染症関連
臨床医学教育の醍醐味と臨床現場でもっとも興味深いと感じる点は、やはり患者さんのhistoryではないでしょうか。インターン、レジデントのころ、上級レジデントの流れるようなすばらしいプレゼンテーションを聞いて、感動したものでした。

日本で、ケースプレゼンテーションのすばらしさで感動するような教育環境をつくりたいと思っています。

たまたま遭遇した患者さんのhistoryが大変、興味深いものであり、このすばらしい機会を若手の方にも感じてもらいたいなあ、と思っています。

米国内科学会日本支部女性委員会が受賞!

2010-04-27 10:43:17 | Weblog
2007年から、米国内科学会日本支部の女性委員会 ACP Japan Chapter Women's Committeeで委員をさせていただいております。

この度、委員長の広島大学の檜山先生をはじめ多くの方のご尽力で、ACPの本会で、その活動が評価され、Evergreen Award 受賞しました。


(下記、引用です)
先週末トロントで開催されていましたACPの本会で、日本支部の女性委員会が
Evergreen Awordを受賞しました。

http://www.acpinternist.org/im2010/satweb.htm#evergreen
(4月24日のACP2010ニュースの”ACP honors outstanding chapter activities with Evergreen Awards”の10番目
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Recruitment/Diversity
Japan, for Women’s Committee
The Japan chapter established a women’s committee and increased gender diversity in all chapter committees. As a result of this focused effort, the chapter realized an increase of more than 140% in the number of women members over the past three years.
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国内の内科系学会で、女性が意思決定のできる役員等についているかどうかを調査した結果がありますが、女性の割合(評議員、理事等)は低い状況です。

国内外のGender empowermentの問題(女性登用の問題)は、グローバリゼーションによって、より明確になってきています。住みやすく、多くの人にとって快適な環境を実現する方向で、学会等も動く必要がありますね。



Twitter とやらを。。。

2010-04-25 12:27:57 | プライベート
最近、流行のTwitterとはどんなものかな?と思い、自分もアカウントをつくりました。

世界のいろいろな人とコミュニケーションできるのは楽しいですよね。

一方で、際限なく時間はないため、どこで区切るか大変ですかね。

アカウントをつくったら、さっそく、New Yorkで、health promotionに興味のある方が
フォローしてくださることになりました。おもしろいですね。

24/7 のditital communicationの時代とは、こういうものなのですね。。。すごいことができそうな予感がしますね。

一期一会

2010-04-24 22:27:22 | プライベート
人との出会いは不思議ですが、先日、都内の地下鉄の駅で、一橋大学大学院の石倉洋子先生をお見かけしました。以前からご紹介している、私がもっとも尊敬しロールモデルと仰ぐ方です。何度かライブのご講演やセッションに参加させていただきましたが、やはり、個人的にお話する機会は限られています。

一瞬、すれ違い、もしや?と思ったのですが、考えているうちに、お声をかけそびれてしまいました。千載一遇の機会だったなあ、と残念に思いました。

やはり、物事に対して、迷ったらGo!という「ワンチャンスを逃さない姿勢と生き方」を常に実践します。

よいレッスンになったエピソードでした。。。

学習院大学での生命科学シンポジウム

2010-04-24 21:21:31 | Science全般
いま、時の人である、理化学研究所の上田泰己(うえだひろき)先生の体内時計に関するご講演を聞きました。学習院大学で開催された生命科学に関する関連のシンポジウムだったのですが、生命の根源、生命の発生、発達、分化、老化など経時にテーマが絞られている構成で、非常に興味深い内容でした。

NHKプロフェッショナルやそのほかの番組でも最近、取り上げられていることが多い、上田先生の体内時計のご研究のお話は、非常に面白かったです。

なんといっても、専門外、一般の方にもわかる内容にされていたところがすばらしかったです。30分程度のご講演はあっという間に終わってしまい、質問も多数でました。

まったく飽きず、聴衆の多くがひきつけられるような内容とプレゼンテーション、コミュニケーションを体験させていただきました。

物静かで、穏やか、やさしい語り口ですが、非常に引き込まれるような構成とスライド構成は、「突き抜けた人」であることを物語るものでした。

京都大学の山中伸弥先生、理化学研究所の上田泰己先生といい、すばらしい方のご講演はユーモアにあふれる点も共通でした。

日本からお二方のようなすばらしい人材が続いて輩出されることを願ってやみません。

余談ですが、学習院大学にはじめて行きましたが、緑が多く、広いキャンパスは大学らしい大学で、すばらしいと思いました。学ぶことは、年齢にかかわらず、楽しいですね。

本日の日本呼吸器学会でのシンポジウム

2010-04-23 11:54:16 | 感染症関連
本日は、日本呼吸器学会で、呼吸器感染症にかかわるシンポジウムがありました。

さまざまなテーマで、pros, consを皆さんで考えるものでしたが、非常に有意義でした。

日本で、有益かつ質の高い臨床試験が行えるよう、All Japanとして取り組もう!と私も決意を新たにしました。

グローバル時代に、日本が、欧米を追随するのみでなく、世界でリードシップを取れるように、臨床試験のインフラ整備や人材育成を積極的に国家政策として取り入れて、がんばろう!というのが私の持った印象です。

講演者の先生方全員のお気持ちはほぼ同じような方向を向いていると感じました。
司会をしてくださった先生方もとてもご理解がありフロアーの先生がたとも有益なディスカッションができたように思いました。

立ち見がかなり出る盛況で、学会参加の先生がたのご関心の高さと熱気を感じるものでした。

ちいさな親切に感動

2010-04-22 22:42:41 | プライベート
今日は、私の家族のとても大切な日でした。雨で寒かったですね。家族の大切さを感じる日でした。

明日から、日本呼吸器学会で京都に再び来ています。初日だけ参加させていただきます。

4月はじめにも京都で日本感染症学会がありましたが、そのとき、本当に心にしみるちいさな親切を経験しました。

学会会場まで地下鉄に乗っていましたが、キャスター付きの少し重い荷物をもっていた私は、出口に上がるための階段を前にして、一瞬、とまどいました。すると、地下鉄に一緒に乗っていて一緒におりた外国人の若者グループの男性(高校生ぐらい)が、スーッとそばに来て、笑顔で手を差し伸べて、荷物を持ってくれました。そのしぐさが、本当に自然で、なんとも感激しました。このような本当に自然に自分の周囲の困っている人に、自分にできることをさっと差し出す勇気とやさしさと行動力はすばらしいなあ、と心が温まりました。

こういう経験をすると、自分にできることを他の人ために役立てたいと思います。

いま読んでいる本に、「心眼力」野口嘉則 著 があります。

この本の独特の雰囲気で、自分のこころが癒されますが、人生の知恵を教えてくれる良書です。この本のなかにも、「人のために貢献する」ということが本当の満足を与えてくれる、と書いてあります。ちいさな親切をいただいて、余計に身にしみて実感しています。

冬の日のように寒い一日でしたので、皆様、かぜなどにお気をつけくださいね。
ホテルのお風呂で、今日は、バスタブにお湯を張って温泉気分で温まりました~。

日本語での症例提示とカルテ記載の共通の問題点

2010-04-22 08:52:38 | 医学教育
帰国後5年間、日本語で、母国の学生、研修医の方に接し、日本語での症例提示とカルテ記載において、ほぼ全員に共通する問題点があることを発見しています。

それは、
1.「診断の可能性を評価する習慣、概念が乏しい」ということです。

2.診断名に、右、左、遠位、近位、解剖学的位置が、多くの場合欠如するということです。
解剖学的位置が欠如していては、診断としては非常に不十分。
例:腸腰筋膿瘍(どちらの?)、椎骨炎(どこの?)、脳膿瘍(どの部分の?)
腎盂腎炎(どちらの?)という感じです。

これは、「言語による限界」「概念の存在の有無」「文化的背景」などが原因ではないか、と感じています。

数年前に、日本人としてはじめて米国の感染症科専門医資格を取得され、沖縄県立中部病院で、感染症診療を確立された喜舎場朝和先生のご講演を拝聴したときに、私のなかでも、それまで「言語化できずにいた疑問」が、明確になりました。

在米時代には、「無意識レベル」で、rule out, most likely, less likely, unlikelyなどの用語を、自分の診断に合わせて認識していたことを思い出しました。

日本の現場で、患者の診断、臨床状態を把握する際に、「障壁」となっていると私が強く感じる面があります。


診断名が、「いつまでたっても、xxx疑い」に終始すること

あるいは、「xxxxを指摘されて・・・」という文章の意味、

「xxxxは否定的」

というように、「診断」の確実性を示すことばが非常に少ない現実です。


診断は、
確定診断 definate
推測診断 probable, or presumed
xx診断の可能性 possible (50%以上の可能性)
xx診断の可能性は低い less likely
xx診断の可能性はきわめて低い、または、ほぼない unlikely
xx診断は、除外された ruled out

と英語で診断名を記載する場合、上記のような「可能性のGrade評価」が必須です。


一方、日本語で記載されているカルテ記載を見ると、
確定しているのか、推測なのか、鑑別診断のひとつなのか、不明瞭の場合が多いです。


保険病名として、「xxx疑い」と記載せざるを得ない社会事情はありますが、教育面、臨床判断をトレーニングする場合、臨床試験を行う場合などに弊害があります。


日本語では、
確定
疑い
否定的
除外

の4通りが主ですが、「疑い」と「否定」にGradeが存在しないため、可能性が伝わってきません。したがって、カルテを見ても、その状態がわかりにくい、という状況である感じがします。

また、カルテ中の「xxxを指摘され」という表現も非常にあいまいです。
「確定診断がついているのか」「推測診断なのか」「保険病名だけなのか」「異常所見がみつかっただけなのか」「鑑別診断として上がっただけなのか」「患者さんが訴えているだけなのか」意味があいまいで、伝わりません。

学生、研修医の方は、「診断の可能性のGrade評価」を行い、それが伝わる表現を心がけると、記載やプレゼンテーションはかなりシャープになります。意識してみてください。
ちなみに、私が指導する場合、「疑い」「否定」は使用しないようにお願いしています。


上記のような国内で見られる共通の問題をクリアすることで、患者をより正確に精緻に把握し、質の高い診療を提供できるようにできれば、と考えています。そのためにも、学生時代から精緻な患者の把握とプレゼン、記載ができる教育体制が必須と考えています。

国家試験、CBTなどの感染症分野の指針

2010-04-21 21:56:56 | 医学教育
現在、国内で医師の養成に必要な試験は、Computer-based test CBT, 医師国家試験などがあります。

世界各国が、時代の要請と世界的な潮流で、医学教育をどんどん進化させています。

日本においても、「現時点で、どういう基本知識、問題解決力、思考力、判断力など」が社会的に要求されているかを、より明確にし、指針の改定などはかなりアグレッシブに行うことが必要になっていると感じます。

現在、たとえば、国家試験の感染症分野の指針では、試験に必須とされている内容に偏りがあると私は感じております。まれな疾患を、「試験のために使用する」のではなく、より実践的で、頻度が高く遭遇する疾患を選択し、臨床現場で即役立つ知識や判断力を培うための指針が望ましいと考えます。

この10年ぐらいの世界的な潮流では、基本知識を問う問題はもちろんありますが、「記憶しているかどうかのみを問うだけ」の単純記憶問題はあまり推奨されない状況ではないでしょうか。現在では、現場の診療で前提となる知識をもとに、判断し、患者マネージメントで最適なものを実行できる実践力を試す内容が望まれています。

「試験勉強」=「明日からの診療に直結し役立つ」ことが望ましいのです。

それぞれの国の事情にもよりますが、「即戦性」「実践性」など、なるべく現実の現場で
役立つことを出題目的・目標に据えている印象です。私自身が受験した内科と感染症科の米国の専門医資格更新試験や、USMLE step 1, 2, 3の問題は、非常に良質の問題が多いです。まさに、「試験勉強で、診療の質が向上したり、医療安全につながったり」という良質の問題の宝庫です。

医学教育学は奥が深く、自分が臨床医学を学ぶことも楽しいですが、教育学自体もとても興味深く、楽しい、と感じています。

学会での教育活動

2010-04-20 12:38:14 | 感染症関連
日本感染症学会、日本化学療法学会で、現在、教育活動の一貫のお仕事をいただきました。

多くの方のお役に立てるように、みんなで協力してよい仕事ができれば、と思っております。

All Japanとして、質の高い感染症診療を目指したいと感じています。

また、本日は、日本医師会の生涯教育関連の仕事で、数名の先生がたとご一緒する予定です。こちらも開業医の先生向けの感染症関連の特集をさせていただくので、より質の高い診療の提供、実現に少しでもお役に立てば、と思っています。