矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

最近の読書 2  「人生を好転させる「新・陽転思考」」 和田裕美著

2009-09-30 23:45:17 | Weblog
「人生を好転させる「新・陽転思考」」 ポプラ社 和田裕美著

久しぶりに再会した友人と食事をして、別れ際にふらっと立ち寄った丸の内の本屋で平積みになっていたので、手にとり、瞬間的に購入しました。

和田裕美さんの講演を一度だけ聞いたことがありました。
そのときはよいお話だと思いましたが、それほど、ピンとはきていませんでした。

和田さんの今回の著書では、「はじめに」というところで、成功談ではなく、あまり他人にいいたくない過去の苦悩のエピソードを、率直に、打ち明けており、そこにすごく心が動かされ、それが心にしみて、直感的に購入しました。

和田さんの人生経験と深みを感じるこの本は、お勧めです。

いつも講演で話している「陽転思考」なのに、今回は、他の本と比べて、最初から筆が進まなかった、というくらい、本気で、真剣勝負で書かれた本だそうです。

私もこの本で癒されました。
この本をざっと読むことで、新しい視点が持てた気がします。
まだまだトレーニングが必要ですが。。。

潜在意識のトレーニングも、スポーツや臨床医学と同じで、絶えず、トレーニングしていないと、忘れてしまいますね。常に使うこと、やってみることで、いつもよい状態が保てることを改めて実感します。

最近の読書 著書 「奇跡のりんご」

2009-09-30 23:36:30 | Weblog
著書「奇跡のりんご」幻冬舎 石川拓治著を、少しずつですが、夜寝る前に読んでいます。

青森県で、無農薬、無肥料でりんご栽培に成功した木村秋則さんの物語です。


この本を購入したのは、その背表紙に、

「ひとつのものに狂えば、いつか必ず答えに巡り合う」

というくだりがあったからです。


あきらめない、できるまでやる、ということの大切さを、最良のタイミングで教えてもらったような気がしています。

まだ、はじめの方しか読んでいないので、これから本の中盤で、木村さんが、村で疎外感を感じながらも、「不可能とだれもが考えていたこと」を、達成した歴史をじっくり読みたいと思っています。

日本の携帯電話の国際競争力向上に向けて

2009-09-24 18:23:37 | Weblog
尊敬してやまない黒川清先生のブログで紹介されていました、「超ガラパゴス研究会」のサイトをご紹介させていただきます。(黒川先生もご参加だそうです)

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/04/13/23119.html

日本国内で、ウルトラ級に進化した携帯電話が、なぜ、世界市場で大きく躍進できないのか、国際競争力をつけるには、といったことを考える研究会があるそうです。

母国日本が、世界で、ふさわしい存在感と役割を発揮できるにはどうしたらよいのか、と私も思いをめぐらせることが多いです。

私は、客観的に、日本人の個々人の知性、倫理観、態度などは、世界にも類をみないほど、優秀であると感じています。いろいろな民族、国民の方と触れるなかで、「実感」するこの感覚は、真実だと思います。

ところが、「集団」となると話が別になる悲しさがあります。

集団としての協調と個性の尊重、このバランスが、日本での課題ではないでしょうか。協調を強調しすぎると、個性が埋没しつまらない。
個性が強すぎると、パワーが分散し、ベクトルの方向性が定まらない。

この2つの矛盾するようなことを、うまくバランスをとりながらやっていくことが必要なのです。これは、最近になって、ようやく「実感」できるようになりました。

こうしたことを踏まえ、自分自身を含め、若手日本人は、もっと、大胆に個性を発揮して、世界に通用するいろいろなことを発信していくことが望まれていると、切に思っています。

何かのご参考になれば、と思います。

同級生

2009-09-23 21:35:35 | Weblog
たわいないお話なのですが、やっぱり、人のご縁というのは、本当に大切だとしみじみ思うので、書き記すことにしました。

卒業後17年目になる私は、おそらく20年ぶりくらいになると思うのですが、地元出身で、おそらく、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学(医学部)とずっと同級生だった人と、つい最近、思いがけず、連絡が取れました。大学は、私が1年間浪人していた関係で、学年はひとつ上になります。

地元の親族が入院したことがきっかけでした。

その同級生の方は、特に、中学、高校と、勉強では、最大のライバルでした。

とても、なつかしいです。

自分の人生の中で、小中高、そして、大学も学部まで一緒、実家も近所で徒歩5-10分程度、などという人はめったにいないと思います。

また、当時、私の地元から、中学まで同級生だった人で、浪人なども含め、同じ大学の医学部に入った人が私を含め、4人います。

それぞれ、卒業時点では、岡山大学の小児科、循環器内科(第1内科)、消化器内科(第2内科)、などに所属していました。別の大学で、岡山大学に入局した人も1名覚えています。

そう思うと、ほんとに何年たっても、人のご縁は、思いもよらないところでつながっているんだなあ、と感慨深く思いました。

一期一会を大切に、ということですね。


母校の同門会がありました。

2009-09-21 10:23:38 | Weblog
この週末に母校の同門会がありました。

なつかしい先輩や同期の先生がたにお会いする貴重な機会です。

私の恩師である岡山大学衛生学教室の青山英康名誉教授をはじめ、多くの先輩方にお目にかかれうれしく思いました。

医学部の学生のときから渡米を応援していただいていた衛生学教室の先生方のところで、卒業時に大学院生としてお世話になることを決めたのも、何かのご縁だったのでしょう。

自分では決めていたわけでもないのに、感染症、Public healthのトレーニングを受けることになり、結果的に、卒業時点での選択はベストであったことを振り返ることができます。

潜在意識の力でしょうか。

今週末は、地元で過ごし、家族、知人に再会でき、こころ温まる気持ちです。

5連休ということもあり、各地、お盆や正月ぐらいのすごい混雑です。

小学6年生の姪の運動会を家族総出で参観し、お弁当を一緒に食べたことが、とても平和で、ほのぼのと、幸せなひとときでした。

ミラクル 2つ

2009-09-18 23:43:09 | Weblog
先ほどのフォーラムの懇親会で、なんとほぼ10年ぶりに、ロンドン大学の熱帯医学大学院London School of Hygiene and Tropical Medicineのコースを取っていたときの友人に、再会しました!

本当になんという偶然なのか、不思議なめぐり合わせに、お互いに、びっくりしました。懇親会には参加しないで帰ろうかとも思っていましたが、せっかくなので、と思って参加したところ、偶然、会場で再会したのです。

海外経験も長い彼女が、東京にいるとは、本当に驚きました。再会できて、とてもうれしく、なつかしかったです。

もうひとつの今日のミラクルは、同じフォーラムに参加していた方が、私の地元・岡山県倉敷市の出身の方と国際結婚しており、思わぬところで、ローカルな話に花が咲きました。


その方は、現在、スリランカに住むフィリピン出身の医師です。

岡山に本部のあるNGO AMDAというボランティアグループにかかわりがあり、AMDAの代表の菅波先生(私の母校・岡山大学の先輩)にも会ったことがある、と言っていました。わたしも、卒後2年目ぐらいに、AMDAを通して、ネパールの眼科診療を見学したことがありました。白内障の手術ができずに失明していく高齢者の問題を一緒に経験させていただいたのでした。

いろいろなことが、本当に走馬灯のように思い出され、その医師と話していると、世界は本当に狭いし、どこかでつながっている不思議なご縁を感じました。


不思議な出来事、偶然とは思えない、ミラクル2つでした。

ラオスの医学教育に関するフォーラムに参加しました。

2009-09-18 23:29:00 | Weblog
本日は、客員研究員をさせていただいている、東京大学医学教育国際協力研究センターの「ラオスにおける医療従事者育成に関するフォーラム」に出席しました。

以前、同センターの客員教授で、ラオスの医学部の教授の先生の講演を拝聴したことがありましたので、とても興味深く参加しておりました。

JICAと前述のセンターの合同プロジェクトで、teachingをしませんかとのお話がありましたが、残念ながら参加できずにおりました。

そのため、今日のお話はどんな内容かなあ、ととても楽しみにしておりました。

医療分野における人材育成がテーマでしたが、ラオスがかかえる問題は、そのまま
ほぼ同じことが日本にもあてはまる、ということがわかりました。

自国の問題が、他国の問題を見ることで、より明確に認識できた、ということでした。他国が自国の鏡となり、客観的に見つめなおす機会になった感じです。

医師、看護師、助産師、などの医療従事者の分布・配置の問題、プライマリケア医と専門医のバランスの問題など、いまの日本が解決すべき問題が、ラオスの大きな課題でもありました。

また、言葉の壁の問題。ラオスは、3つの民族が存在し、それぞれの言語が異なるそうです。通訳が必要だそうです。医療は、地元の言葉、フランス語、英語で主に学ぶそうです。隣国のタイ語の教科書も使用するそうです。

日本は英語と日本語の2つですみますが、多くの発展途上国で主に英語が共通語で、そのほかにもいくつもの地方言語があるととても大変だと感じました。

優秀な医師が他国に流出しないために、できれば地元の言語で医学を教育することが望ましい、と発言した方もいました。

医学情報という観点からは、しかしながら、英語を避けては通れないため、日本を含め、英語が母国語でない国は、同じ言語の壁の課題に直面しているようでした。


フォーラムを通して、向上するには、”鏡”が必要であることを改めて感じた1日でした。

人間の成長も同じですね。パートナーを通して学ぶ自分自身の側面があります。認識できていなかった点が、パートナーが鏡になることで、浮かび上がってくる、ということなのですね。

9月15日付け、日本感染症学会の新型インフルエンザガイドラインにつきまして

2009-09-17 18:48:41 | Weblog
昨日、メディア報道された日本感染症学会の新型インフルエンザガイドラインにつきまして(下記)

http://www.kansensho.or.jp/news/pdf/influenza_guideline.pdf

私自身は、新型インフルエンザの治療に関しまして、国内で、インフルエンザ患者の全症例に抗ウイルス薬oseltamivir投与という点につきまして、異なる見解を持ちます。

現場では、既往歴のない方などは、自宅療養し、外出を控えていただくほうが
はるかに感染の蔓延を防止できるのではないでしょうか?

一方で、WHOがハイリスク患者と定義しているような方は、自己判断せず、早期の受診が望ましい、と考えます。

インフルエンザ様症状の患者が、大人数で一般病院などへ殺到し、タミフル処方を受ける状況は、避けるべき事態だと考えております。

相対的に若い年齢層で世界で死亡例、重症例があることは十分認識しておりますが、全例に投与という学会の方針自体は、現場での状況にさらなる混乱を招く可能性があると危惧いたします。

また、来るべきH5N1に対して、抗ウイルス薬の備蓄が減少するという懸念はないのでしょうか。

国内だけで世界の大半のoseltamivir消費という状況は、改善すべき状況ではないのでしょうか。国際的な非難が起こっていないのが不思議に感じたりいたします。

現場での良識的な判断と、的確で明確な国民教育が必須です。

上記の旨で当該学会に質問しております。

はじめて山中伸弥先生のご講演を拝聴しました。

2009-09-13 21:28:19 | Weblog
iPS細胞で、世界的な業績を挙げられ、”時のひと”である、山中伸弥先生のご講演を初めて拝聴する機会に恵まれました。

京都大学でiPSバンクをつくる、という壮大な計画をお持ちで、本当にすばらしい先生だと感じました。50の固有のiPS細胞があれば、日本人の90%以上をカバーできるそうです。

ご講演は、45分と短いものでしたが、まったく知識を持ち合わせていない私のような者にも、大変、わかりやすくこれまでの研究の経緯、現在の研究の方向性、将来的なビジョンなどをお話くださいました。

ご講演の最初、途中、最後に、ユーモアを交え、リラックスした雰囲気のなか、学術的にはとても斬新でワクワクするような内容をお話いただいた感じがいたします。

スライドがシンプルで、見やすい点が、最高によかったと思います。

以前にも、biofilmの世界的な権威の先生のベーシックリサーチの講演を聞いたことがありましたが、本来、専門家向けのかなり難しい内容を、シンプルに、無駄をそぎ落とし、エッセンスだけ、簡潔に、しろうと向けにもわかりやすくお話になるスキルに感嘆したことがありました。

山中先生のお話も、まさにそうでした。

先日、Obama大統領とも会談されたそうで、米国がiPS細胞研究を推進する立場になったので、招聘されたのだそうです。


ご講演では、山中先生の、一日も早く難病で苦しんでいる患者さんに治療法を提供したいという情熱が伝わってきて、感動しました。また、特許のこともありますが、iPSプロジェクトを一日も早く完結させるため、iPSを使ったリサーチが世界中で展開・推進されることをうれしく思う、とおっしゃられたことがとても印象的でした。競争は激化するが、それは患者さんにとっては朗報になるから、といった趣旨のお話でした。

目先の競争ではなく、その先の大きなビジョンを世界中で達成できることにフォーカスしていらっしゃるその器の大きさに、とても感動しました。

言葉で表現するのは難しいのですが、機会がありましたら、山中先生のご講演、是非、ライブで聞いてみてください。感動が大きかったので、ご紹介させていただきました。

NEJM 9月10日号 新型インフルエンザワクチン 臨床試験レポート

2009-09-11 10:59:10 | Weblog
新型インフルエンザワクチン 臨床試験速報です。
9月10日付け NEJM です。

http://h1n1.nejm.org/

詳細は、原文をご覧ください。

結果の概略です。
①オーストラリア 単一施設での臨床試験
240人の18才から64歳の健康な人への接種です。
15 mcg, 30 mcg の2つの接種量で試験。

接種後、21日目までに、96.7%, 93.3%(15 mcg vs. 30 mcg)で、抗体ができていた、と報告されています。

重篤な副作用は報告なし。

②英国での単一施設での臨床試験
175人の18歳から50歳までの健康な人への接種です。
投与量、投与方法を多様化して試験されています。
(詳細は原文を読んでいただいたほうが間違いがないと思います)

14日以内に抗体ができることが報告されています。

9月11日ですね。

2009-09-11 08:46:56 | Weblog
2001年9月11日から、はや、丸8年たちました。

時が過ぎ去る速さを実感します。

あのころと比べ、国内の感染症対策は、目に見えて大きく改善、進歩してきていると実感します。


NHKプロフェッショナルで放映され大反響を呼んだそうですが、

「奇跡のりんご」という本を買いました。

農薬も肥料も使わないで、りんごづくりをしている方の物語です。

そのなかの言葉で、記憶があいまいですが、

”ひとつのことに狂うと、必ず答えがみつかる”というようなことが本の裏表紙に書かれていました。

いまの自分に必要なことばでしたので、ご紹介しました。


CDCの新型インフルエンザ情報

2009-09-11 08:44:26 | Weblog
CDCの新型インフルエンザ情報です。
MMWR 週報です。9月11日号

①Oseltamivir-Resistant 2009 Pandemic Influenza A (H1N1) Virus Infection in Two Summer Campers Receiving Prophylaxis --- North Carolina, 2009

http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5835a1.htm?s_cid=mm5835a1_e

②Receipt of Influenza Vaccine During Pregnancy Among Women With Live Births --- Georgia and Rhode Island, 2004--2007

http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5835a2.htm?s_cid=mm5835a2_e



ご参考まで

標準予防策の呼びかけしませんか?

2009-09-10 09:10:33 | Weblog
本日、NHK朝のニュースで、新型インフルエンザの蔓延に伴い、
赤血球、血小板などの輸血製剤の不足が大きく報道されました。

献血室の様子が報道されましたが、献血の採取者が、
標準予防策をとっておらず、素手で作業をしている様子が
報道されました。

とても残念に思います。

IDATENの社会的責務として、標準予防策などの基本的な
感染対策についても、推進、教育していく必要があると
思います。

追伸: 日本大学心臓血管外科の南和友先生のサイト

2009-09-09 09:28:11 | Weblog
日本大学心臓血管外科の南和友先生
http://minami-kazutomo.net/

ホームページをお持ちでしたので、ご紹介します。

日本大学の南先生の教室は、国外研修経験のある医局員の方が多く、頼もしく感じました。

南先生が、ご著書で繰り返し強調される、

「患者を診る」


という臨床医学の本質を、教育、トレーニングできる場を、私も実現、提供したいと日々思います。

著書 「こんな医療でいいですか?」  南和友先生著のご紹介

2009-09-08 13:44:03 | Weblog
新型インフルエンザ対策をひとつの契機に、先進国の対策を横並びに比較できる状況となりました。これは、日本の医療と世界の医療がメディアを通して、国民に比較報道される機会となっていると感じています。

日本のよさを維持しつつ、進化・発展させるべきところは、積極的に変えていく勇気が必要な時だと強く感じます。

増補新装された著書をご紹介します。

テレビなどで報道されていますので、ご存じの方も多いと思います。
ドイツの心臓外科医で、日本大学医学部に帰国された南和友先生の著書です。

「こんな医療でいいですか?」 はる書房 

ドイツのよい点、日本の制度上の問題点などを提示されています。

母国の医療をよくしたい、という熱い思いが伝わる本ではないかと思います。
私も共感しましたので、ご紹介させていただきました。