矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

幸運の1等賞!

2010-11-19 02:04:06 | プライベート
めったにないことなので、日記です。

感動的なWHO Dr. Margaret Chanのご講演のあと仕事で会議に参加しました。

その後、お食事会があり、そのお食事会でひいたくじで、なんと1等賞があたりました!

素直にとってもうれしかったので、書き留めます。

感動! Dr. Margaret Chanのご講演

2010-11-19 01:36:34 | 感染症関連
本当に幸運に恵まれましたが、JICAの講義のあと夕方開催された、WHO事務局長の
Dr. Margaret Chanの公開講演に参加しました。


東京女子医大主催、厚労省、読売新聞後援の会は、会場が満杯でした。



講演タイトル:
"Health promises and perils in an interdependent world: breaking the cycle of poverty, misery, and illness"


小柄なかわいらしい女性という印象でしたが、そのスピーチは感動的でした。


やはり偉大な人物のオーラを感じさせるいでたちでした。

40分ぐらいのご講演は、ダイナミックで、聴衆をどんどんひきつけ、ゆっくりと、言葉を選び、鳥肌がたつくらい、神聖で情熱的で彼女の魂がつたわってくるすばらしい内容でした。

Dr. Chanが強調されていた点は、女子医大の創立の歴史に触れたあと、世界の女性問題について言及され、女性が経済的に自立することで、社会的な地位が向上し、それがひいては、女性の健康維持と促進につながること、でした。

アフリカ、アジアなど、途上国ではまだまだ女性の地位が低く、貧困から抜け出せず、
教育も受けられず、妊娠・出産に伴い命を落とす状況が多々見られます。その点からも、
女性が教育を受け、経済的に自立し、社会的地位を確保することで、自らの健康を維持、向上させることができる、というのが主張の1つでした。

その後、1948年に設立されたWHOのミッション、つまり、社会正義social justiceと
公平 equityについて述べられ、安全な空気、水、食糧、医薬品は、世界中の人が平等に
享受すべきものである、と主張されました。

貧困に関連した疾患では、HIV/AIDS, TB, Malariaと世界最大の課題のひとつである疾患について述べられました。

高齢化する社会については、平均寿命が延び、慢性疾患をかかえた人が急増する社会では、いかに慢性疾患を予防することが大事かを強調されました。

さらに、現在、地球が直面している課題である、燃料、食糧、経済、気候変化について今後のチャレンジについても話されました。

質問に対する回答で印象に残ったのは、193カ国の加盟国がありますが、そのなかで各国の法整備で、地球の健康向上につながるものとして2つを挙げられました。

1つ目は、タバコ制圧、2つ目は、2005年に合意したinternational health regulationだそうです。

仕事と家庭のバランスは?との質問では、WHOで仕事できることはいわば特権であり、
非常に貴重な機会である、と述べられました。その責務の重要性と価値を家族が理解してくれているのでこのような機会がある、といわれ家族に感謝しているとおっしゃいました。ご家族は、香港にいるそうです。息子さんには年に1回ぐらい、ご主人には年に3回ぐらいしか会えないそうですが、携帯メールなどで常に連絡は取っている、とのことでした。

エネルギッシュで、ダイナミックで、かつ聴衆を引き込むような魅力的なスピーチとそのスキル、もちろんその内容にも深い感銘を受けました。

今年は、ノーベル平和賞授賞のグラミン銀行創始者のユヌス氏のご講演にも参加でき、
世界の偉大な方のご講演で、いたく感激しております。

 

JICAの院内感染管理者研修会

2010-11-19 01:17:00 | 感染症関連
2006年から、ご縁があり、今年で5回目になりますが、JICAの事業で、途上国の医療従事者を日本の招聘し、院内感染対策研修を行うプログラムがあります。

注:プログラム名では、”院内感染”という言葉が使用されていますが、現在、国内の学会が推奨する用語は、医療関連感染です。

朝6時45分ぐらいのJRで、新宿の国立国際医療研究センター内の国際協力局に向かいました。

9時から12時まで、13時から16時ごろまでの6時間のセミナーを担当しています。



私のセッションは、午前中がアウトブレイクのケーススタディで、グループディスカッション、午後は、パブリックへルスの問題解決演習 (problem-solving exercise)です。

99年に自分がフェローのころ、CDC/SHEAが共同で提供しているアウトブレイク対策の4日間ぐらいのコースを受けました。そのときも、ケーススタディがありましたが、とても実践的で印象的でした。

帰国後、自分がインストラクターをさせていただく機会に恵まれ、いただいたセッションでは、私自身がかかわったアウトブレイクを題材にシナリオを作成しています。

この5年間、いろいろな国からの参加があり、毎回、彼らと問題を共有することで、改めて自国の対策を見直す機会にもなっています。

今年のグループも優秀で、熱心な参加者が多く、感銘を受けました。

参加国は、アジア、アフリカ、オセアニアの南国、中米など文字通り、世界のいろいろな大陸・国からです。