昨日は、母校の医学部4年生の方への講義をさせていただきました。
私は、帰国した大きな理由のひとつが、日本の医学生、研修医の方に、世界で通常行われている質の高い教育を実現し、提供することでした。
日本で、教育改革が叫ばれて久しいなか、遅々としてその実効的な改革は進んでいない印象です。医学教育に限らず、大学・大学院教育が、世界での「国家」の競争力を左右している現状を、もっともっと日本の方に知っていただきたいという強い思いがあります。
2000年ごろから、日本が気がつかないうちに、インフラ整備を実行し、当時、右に出る企業はいない、と思われていたソニーなどのTVが、いとも簡単に、10年で完全に韓国企業に追い抜かれ、どうしようもできない状況になっていることを、ぜひ、見ていただきたいのです。
母校の学生さんらには、感染症診療と教育の現状(日本の感染症科がどうなっているのか、諸外国ではどうなのか、主に米国、欧州・アジアなどの状況も少し説明)というタイトルで講義しました。衛生学の4年生の講義でした。
世界の死亡原因の第1-10位までに感染症はかなりの割合を占めています。肺炎、下痢、マラリア、結核、麻疹、など枚挙にいとまがないのです。先進国の共通問題が、高齢化で
治る見込みのない慢性疾患(高血圧、糖尿病、ガンなど)で、医療費は高騰。合併症の発生頻度は長寿になれば増える一方と推測でき、入院の機会は増えるでしょう。一旦入院すれば、今度は、最大の合併症のひとつである医療関連感染のマネージメント、ということになります。
社会の変化・成熟に伴い疾病構造は変化し、要求される知識と判断力は絶えず変化するという意味で、医療安全の確保と感染対策・基本的な感染症診療は、今後、ニーズは増える一方と予想されます。
そうした背景から、「現時点での”事実”を丸暗記」して、「ただ単純知識と事実を吐き出す」方式の教育が、いかに無力で、対応能力を欠くものかを、強調したいのです。
時々刻々と変化する社会情勢と、サイエンスの発達で、医療現場の「常識」は変化します。その変化する「常識=標準診療」をいかに継続して学び続け、患者に最新かつ最良の診療を提供できるか・続けられるかが、プロフェッショナルとして医療従事者に要求されるスキルです。
したがって、学生時代から、一生学び続ける学び方(life-long learnerとなること)を
身につけることが、有能で、現場に必要とされる人材として必須です。
医学に限らず、日本の教育全般で、こうした視点を持った教育が必要であると強く感じています。
余談ですが、たまたま見ていたテレビの娯楽番組で”有名”私立小学校や中学校の入試問題を芸能人が解くようなものがありますが、そこから垣間見る日本の教育は、私がこどものころだった30年前とほとんど変わっていないという状況で、本当に驚愕しました。
諸外国(裕福な国など)で、iPADなどのデジタル化教育のトラアル、問題解決型の教育が主流な状況を見ていると、本当に心配になるほどです。私の同年代や後輩にあたる人たちの子弟が国外で教育を受けており、その様子を聞いているだけでも、日本の人材教育の課題、世界からの乖離を痛感します。
さしあたって、10代のころから、どんどん国外に出て、世界を肌で知って、その上で、
将来のこと、受けたい教育のことなどを若手の人たちに考えてほしい、と切に願っています。
国外では、真似できないほど、精巧で重宝し便利な”コンビニ”、”ケータイ”、”宅急便”、”新幹線”、など、日本の社会資本はありがたいのですが、これらに埋もれて、国外に出ない・知らないのはもったいない、と思います。
思いつくままに書きました。
最後に、昨日の講義のあと、熱心な学生さん10名くらいと30分以上、学習の仕方や学習教材として使うべきもの(ハリソン、uptodateなど)について、熱いディスカッションができたことをとてもうれしく思いました。
日本の若手が、世界で通用する医療従事者になるためのキーポイントは、学習材料、つまり情報源のコントロールに尽きると私は思っています。
つまり、「使う教材=知識内容と知識形成を規定する」ということから、良質かつ世界の大半の医療従事者が使っている資料(内科系では、NEJM, ハリソン、ワシントンマニュアル、uptodateなど)を使わないことは、非常に不利である、ということです。最初から、同じ土俵にのっていないことになるからです。
私は、帰国した大きな理由のひとつが、日本の医学生、研修医の方に、世界で通常行われている質の高い教育を実現し、提供することでした。
日本で、教育改革が叫ばれて久しいなか、遅々としてその実効的な改革は進んでいない印象です。医学教育に限らず、大学・大学院教育が、世界での「国家」の競争力を左右している現状を、もっともっと日本の方に知っていただきたいという強い思いがあります。
2000年ごろから、日本が気がつかないうちに、インフラ整備を実行し、当時、右に出る企業はいない、と思われていたソニーなどのTVが、いとも簡単に、10年で完全に韓国企業に追い抜かれ、どうしようもできない状況になっていることを、ぜひ、見ていただきたいのです。
母校の学生さんらには、感染症診療と教育の現状(日本の感染症科がどうなっているのか、諸外国ではどうなのか、主に米国、欧州・アジアなどの状況も少し説明)というタイトルで講義しました。衛生学の4年生の講義でした。
世界の死亡原因の第1-10位までに感染症はかなりの割合を占めています。肺炎、下痢、マラリア、結核、麻疹、など枚挙にいとまがないのです。先進国の共通問題が、高齢化で
治る見込みのない慢性疾患(高血圧、糖尿病、ガンなど)で、医療費は高騰。合併症の発生頻度は長寿になれば増える一方と推測でき、入院の機会は増えるでしょう。一旦入院すれば、今度は、最大の合併症のひとつである医療関連感染のマネージメント、ということになります。
社会の変化・成熟に伴い疾病構造は変化し、要求される知識と判断力は絶えず変化するという意味で、医療安全の確保と感染対策・基本的な感染症診療は、今後、ニーズは増える一方と予想されます。
そうした背景から、「現時点での”事実”を丸暗記」して、「ただ単純知識と事実を吐き出す」方式の教育が、いかに無力で、対応能力を欠くものかを、強調したいのです。
時々刻々と変化する社会情勢と、サイエンスの発達で、医療現場の「常識」は変化します。その変化する「常識=標準診療」をいかに継続して学び続け、患者に最新かつ最良の診療を提供できるか・続けられるかが、プロフェッショナルとして医療従事者に要求されるスキルです。
したがって、学生時代から、一生学び続ける学び方(life-long learnerとなること)を
身につけることが、有能で、現場に必要とされる人材として必須です。
医学に限らず、日本の教育全般で、こうした視点を持った教育が必要であると強く感じています。
余談ですが、たまたま見ていたテレビの娯楽番組で”有名”私立小学校や中学校の入試問題を芸能人が解くようなものがありますが、そこから垣間見る日本の教育は、私がこどものころだった30年前とほとんど変わっていないという状況で、本当に驚愕しました。
諸外国(裕福な国など)で、iPADなどのデジタル化教育のトラアル、問題解決型の教育が主流な状況を見ていると、本当に心配になるほどです。私の同年代や後輩にあたる人たちの子弟が国外で教育を受けており、その様子を聞いているだけでも、日本の人材教育の課題、世界からの乖離を痛感します。
さしあたって、10代のころから、どんどん国外に出て、世界を肌で知って、その上で、
将来のこと、受けたい教育のことなどを若手の人たちに考えてほしい、と切に願っています。
国外では、真似できないほど、精巧で重宝し便利な”コンビニ”、”ケータイ”、”宅急便”、”新幹線”、など、日本の社会資本はありがたいのですが、これらに埋もれて、国外に出ない・知らないのはもったいない、と思います。
思いつくままに書きました。
最後に、昨日の講義のあと、熱心な学生さん10名くらいと30分以上、学習の仕方や学習教材として使うべきもの(ハリソン、uptodateなど)について、熱いディスカッションができたことをとてもうれしく思いました。
日本の若手が、世界で通用する医療従事者になるためのキーポイントは、学習材料、つまり情報源のコントロールに尽きると私は思っています。
つまり、「使う教材=知識内容と知識形成を規定する」ということから、良質かつ世界の大半の医療従事者が使っている資料(内科系では、NEJM, ハリソン、ワシントンマニュアル、uptodateなど)を使わないことは、非常に不利である、ということです。最初から、同じ土俵にのっていないことになるからです。