矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

岡山大学医学部創立140周年記念式典、参加しました。

2010-11-03 23:50:42 | 医学教育
本日、母校の岡山大学医学部創立140周年の記念式典があり出席しました。





6年間通った大学ではありますが、母校の歴史をあまり知らなかったことがわかりました。

歴史の重みを感じた1日でした。同級生や学年の近い先生がたにお会いできないかなあと思って参加してみたのですが、同級生だった人数名と再会できました。

学生時代に教えていただいた先生方、岡山赤十字病院で研修医を1年間しましたのでその間にお世話になった先生方など多数、いろいろな先輩方にもお会いできました。

いわゆる同窓、同門ということのありがたさを感じずにはいられませんでした。






同窓会を、「鶴翔会 かくしょうかい」(文字通り、鶴が飛翔する会)と言います。

近くの日本三代名園の後楽園には鶴が有名で、それにちなんだものと思います。

大学のロゴも、鶴をモチーフにしています。


また母校が大きな変革に向けて、創立150周年までにルネッサンスという大きな流れをつくっていることがとても斬新で、うれしく思いました。

地域連携、医学教育の充実、若手の登用と成長できる環境づくりなどを中心に据え、
キャンパスも、世界的に有名な建築家の方がたにお願いして、リニューアルする予定だそうです。すばらしいですね。

学部長、病院長などの諸先生方が、すばらしいリーダーシップを発揮され、
精力的に大学改革に取り組んでいらっしゃるのがとても印象的にでした。

また、今年から開設された地域医療人材育成のための寄附講座に、
とても優秀で、母校でずっと医学教育、研修医教育に真摯に取り組んできた後輩にあたる方が5月に教授に就任し、とてもうれしく思っていました。彼女が活躍し、母校の若手が育っていくことを願っています。

岡山大学医学部の歴史ですが、

1870年(明治3年)に岡山藩医学館として開学
そのときに、オランダ人医師ロイトルを採用し教育がなされたそうです。

”蘭学”がはじまりでした。同時期には中央(東京)ではドイツ医学へと移行する動きも出てきていた時期だったそうです。ロイトンの功績で、当時、東の東大、西の岡山、というくらい関西では中心的な医学教育の場であったことも知りました。

偉大な功績を残した先輩方も多数いらっしゃいました。

日本で生命保険業を創始し、相互扶助の考えを普及させた

第一生命を創業 矢野恒夫先生

孤児などの児童福祉に取り組んだ
石井十次先生


感染症領域では、絶対に知っておくべき先生の
サルバルサンの発見者(ドイツ コッホ、エールリッヒなどの師事)である

秦 佐八郎先生

岡山県の片山地方で、日本住血吸虫を発見した

桂田 富士郎 先生(東京の寄生虫博物館でも資料が展示されていたと思います)


本日ご講演された、重度身障者の養護施設の創始者
江草先生 など


偶然ですが、日蘭の通商400周年で、シーボルトなどが伝授した”蘭学”ですが、
今年からこの”蘭学”を自分も学ぶことになり、歴史が回帰している感じです。

オランダの非常に歴史の古い街であるマストリヒトで、世界的にももっとも斬新で先進的な医学教育を提供している大学で、医学教育学を学ぶ機会があるのですから、不思議です。

母校の卒業生が、140年で約12,000人いるそうです。

今日の式典に参加して、私は重厚な歴史と伝統を感じつつ、同時に、21世紀にふさわしい斬新で、イノベーションになるような仕事がしたい、と思いました。

偉大な先輩方が、正義に基づき、非常に深い慈悲の気持ちから
”社会の最大の利益”を最優先した生き方をされたのを垣間見て、非常に感銘を受けました。


まさに、医療の原点を教えていただいた感じでした。