◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「跡を絶たない」と「後を絶たない」。

2010-10-31 09:09:11 | 気になる言葉、具体例
                                もうちょっとだね
 同じ音だけど違う漢字という言葉はたくさんありますが、要は、意味をよく考えればいいわけで、そのとき、熟語がヒントになります。「辞任」「辞職」→「辞める」、「中止」→「やめる」、「出勤」→「勤める」、「任務」→「務める」、「努力」→「努める」、「変化」→「変える」、「交替」→「替える」、という具合です。
 このごろ朝は日テレ系を見ているのですが、やはり変な日本語が気になりますよ、フジより幾らかましという程度です。テリー伊藤は「押しも押されぬ」なんて言うし。( ̄д ̄)オグラトオナジダ それに、「早く病院を変えていれば」というテロップを見たのですが、もっと早く専門病院に転院していればよかったという意味なので、「変えて」ではなく「替えて」ですね、変換候補に「AをやめてBにかえる」と出てきますよ。
 受診したA病院は癌専門ではない、このA病院を癌専門の病院に変えるなんて、一患者にすぎない我々には不可能です。だから、A病院に行くのをやめてB病院に替えるわけです。セカンドオピニオンということがいわれるようになってだいぶたちますから、「専門のB病院に行きます」と堂々と言えばいいんですよね。
 こういう簡単な使い分けもできない作業者が放送業界には大勢いるわけで、見たまま覚えてしまったら大変なことになります。プロはもちろん、日本人なら、漢字の使い分け辞典を1冊読むぐらいのことはしておいてもいいのではないでしょうか。そうすれば大概の漢字はすっきり使い分けられます。
 でも、中には簡単でないのもありますねぇ、「あとをたたない」なんて迷うでしょ? 前々回の記事からじっくり考えてみて、やっとすっきりしました。曖昧なままほうっておかないで一度きちんと考えてみるって大切ですね。(⌒・⌒)手元の辞書には「以前に物事のあった所・印。跡を絶つ、なくなる、絶える。訪れる人が跡を絶たない」「子孫。後が絶える」とありました。漢字使い分け辞典には「軌跡、痕跡。ケアレスミスは跡を絶った」「後方、次、以後。不心得者が後を絶たない」と書いてありました。
 そういえば、禁止薬物に手を出して逮捕される芸能人が大勢いますよね、芸能ネタにあまり関心のない私でもすぐに8人ほど頭に浮かびますから、これは「後を絶たない」です。逮捕されて大騒ぎになっても、ちょっと時間がたつとそんなことなど忘れたかのように次の犯罪者が後から後から出てきます。
 「跡」は場所や印、「後」は位置・順番・時間で後ろ、こう考えると、「容疑者のあとを追う」というとき、容疑者がとっくに逃げてしまっているならその痕跡をたどるしかないので「跡」、逃げる背中を見て追いかけるのなら「後」ですかね。書類をチェックしていてケアレスミスがなくなったと感じたら「跡を絶った」ですね、なるほど。
 「ファンの悲しみは後を絶ちません」というテロップを見たことがあるのですが、これは「跡」か「後」かと考える以前に日本語として成立していません。「悲しみ」は「消えない」「癒えない」と言えばいいのです。何となく格好いい「あとをたたない」という言い方をしたかっただけですね、こうして墓穴を掘る人は後を絶ちません。
 例えば、スターが亡くなり、何年たってもその墓を訪れるファンがいるとして、花や線香という痕跡があったら「訪れる人が跡を絶たない」です。同じ「訪れる人」でも、人気沸騰中のお店に大行列ができて、それでも後から後から客が来て並ぶなら「後を絶たない」でしょう。私は行列が嫌いなので、そんなお店には行きませんが。(⌒ー⌒)ニシシ

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