熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

月下美人中秋の名月を愛でる・・・イスタンブールの月光を思い出す

2005年09月19日 | 花鳥風月・日本の文化風物・日本の旅紀行
   丁度今、日が変わろうとしている深夜、我が家の月下美人が甘い香りを漂わせて満開に咲いている。
   すっきりと晴れて雲ひとつない中天に、中秋の名月が光り輝いている。
   色々な虫の声があっちこっちから聞こえる。
   正に秋、台風がない静かな、久しぶりに天気の良い秋の夜である。

   私は、美しい名月を仰ぎながら、色々な所で見た月を思い出している。
   しかし、一番強烈に印象に残っているのは、イスタンブールの月光である。
   もう、ずっと前のことである。

   遅いトルコ料理の会食を終えてホテルに帰ってドアーを開けると、窓一杯に月光が差し込んでいて対岸のアジア側のイスタンブールの灯が見える。
   電気をつけずに窓辺に近づくと、ボスポラス海峡の海が月光を浴びてキラキラ光っている。
   川の様に横たわっているボスポラス海峡の対岸の街は、ウスキュダル。その街の上空高くに綺麗な満月が輝いている。
   ヨーロッパとアジアを跨いで、美しい月が光り輝いている壮大な時間・空間である。
   私は、窓辺に一眼レフを置いて写真を撮った。
   
   このイスタンブールは、元々、キリスト教国東ローマ帝国の首都コンスタンチノープル。ところが、15世紀に、この都市に魅せられたトルコのメフメット二世が、72隻の軍船を山越えさせて金角湾に引き込んで攻撃してコンスタンチノープルを征服し、イスラム教国トルコの首都とした。

   その日の午後、聖ソフィアを訪れていたが、このメフメット二世が、壮大なキリスト教会である聖ソフィア大聖堂を、モスクに変えてしまった。尖塔を追加したり大改造したが、塗り残したキリスト像のモザイクが残っていて、キリストとイスラムの融合が面白い。
   もっとも、スペインのコルドバでは、逆に、メスキータと言う大きなモスクの中にキリスト教会があって、完全に行け行けであるし、グラナダのアルハンブラ宮殿の中にもキリスト教会がある。
   兎に角、ヨーロッパのあっちこっちでも文化の融合が随所に見られて面白いが、イスタンブールは、逆に、キリスト教会の影響が古くてイスラムの方が新しいので、私にとっては極めてエキゾチックな街であった。

   美しい満月を見ると、決まってイスタンブールの街とあの月の光を思い出す。
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