日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

マネージメントとは

2010-01-19 21:19:37 | 仕事のコツ
先日、FMを聞いていたらオーボエ奏者の宮本文昭がゲストとして登場していた。
クラシック音楽とはチョッと・・・という方でも、一度くらいは宮本さんの演奏を聞かれたことがあると思う。
というのは、今から20年以上前、現在のJTのテレビCMに登場され、オーボエを演奏しておられたからだ。
まぁ、オーボエ奏者とタバコという組み合わせは「・・・???」という気がしたのだが、それでも、印象深く残っているのは演奏が素晴らしかったコトとCMの雰囲気がとても合っていたからだろう。

その宮本さんが、番組でお話されていてとても印象深かったことがある。
それは、オーケストラの第一オーボエ奏者として、小澤征爾さんと一緒に演奏された時の話だった。
演奏された楽曲は聞き逃してしまったのだが、一番盛り上がる場面で小澤さんの指揮がフッと止まったというのだ。
グッと拳を握り締め、その拳をあげたまましばらくそのままの状態でオーケストラはそのまま演奏を続けていた・・・という。
譜面通りなら、ダイナミックで細かなリズムが刻まれるという場面なのに、小澤さんは暫し拳を握り締めたまま、オーケストラのメンバー一人ひとりの演奏に耳を傾け、「自分たちの考え・イメージできる音を十分出し切りなさい」というような、指揮をされたという。

宮本さん曰く、「上手な指揮者は、体を大きく使わない」そうだ。
「大きく体を使わない=派手なアクションの指揮をしない」というコトのようなのだが、それはオーケストラの中で指揮者が目立つコトが、良い演奏に繋がらないというコトが間々としてあるからだという。
オーケストラのメンバー一人ひとりは、もちろんプロであり、演奏会のために入念な準備と練習を重ねてきている。
それは指揮者といえども同じ。
ただ、現実として指揮者のいないオーケストラは存在するし、四重奏団などでは指揮者はいない。
では何故、指揮者が必要なのか?といえば、オーケストラの団員一人ひとりの持っている力を引き出し、まとめるために必要なのだという。

このお話を聞きながら、オーケストラの演奏というのは、演奏者一人ひとりが「丁々発止」の演奏をし、それを引き出すために指揮者がいるのかも知れない・・・と、思ったのだ。
そして、それは企業などの組織における「マネージメント」も同じなのでは?と。
マネージメントをする側は、スタッフ一人ひとりが十分力が発揮できるような雰囲気作りをし、チームとしてリードをし、まとめるというコトが重要で、何も「チームの成果=自分の成果」ではないはずだ。
と同時に、どのような立場であっても「プロ」として、十分な準備(=勉強や情報収集、コミュニケーション)を怠らないというコトが、スタッフとして、チームのメンバーとして必要なコトなのでは?とも思ったのだ。

仕事というのは、「プロ」が「丁々発止」で行うコトなのでは、ないだろうか?
「丁々発止」と言っても、喧嘩をするというコトではない。
「自分の持っている力を出し、チームのみんなの力を引き出す」というコトだ。
そんなコトを考えてしまった、オーケストラの話だった。