日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

経験を活かして、視点を変える

2012-07-26 20:03:49 | ビジネス
グリコ乳業のロングセラー商品と言えば「プッチンプリン」が、挙げられると思う。
1972年発売というのだから、既に40年というロングセラー商品。
その間に、3個パックなど家族向けの商品、サイズの大きな商品など「プッチン」としてお皿にのせて食べると言うスタイルはそのままに、いろいろな商品を発売してきた。
そして今年、チョット変わった「プッチンプリン」が登場している。
ご存じだろうか?
「男のプッチンプリン」と言う商品である。

この商品、内容をよくよく見ると通常のプリンでは無い。
ハッキリ言うと「プッチンプリンの形状をした豆腐」だ。
そのためサブネームとして「おつまみ冷奴風」と、付いている。
と言っても商品カテゴリーはあくまでも「洋菓子」となっている。

この商品、実は開発をしたのは洋菓子を担当している人では無かったそうだ。
異動で洋菓子担当になったのだが、以前はおつまみなどの開発に携わっていたと言う経歴の持ち主だという。
異動してきたものの、「プッチンプリン」という商品そのものは認知度も高く、商品イメージもしっかり生活者に根付いたモノがある。
それを覆して新しい商品を作る、と言うよりもチョッと発想を変えて、プッチンプリンのイメージはそのままに、意外性のある商品で自分の経験を活かす・・・と言うコトを考えた結果がこの「男のプッチンプリン(おつまみ冷奴風)」だったようだ。

特に今回は発売40周年記念の限定というコトでの商品の様だが、この様な遊びができるのも「プッチンプリン」という、商品の認知度の高さと信頼があってのことだろう。
おそらくこの商品を購入する世代の人たちの多くは、子どもの頃あの「プッチン」する感覚が、何とも言えず好きだった方たちなのではないだろうか?
大人になり、プリンそのものはあまり食べなくなったかも知れないが「プッチン」する感覚だけは楽しみたい、と言う気持ちもあるだろう。
そんな人たちには、手に取りやすい商品だろうし、チョッとした話題にもなりやすい商品だと思う。

「男」と付いてはいるが、案外、夏休み中のお子さんのお昼などにも向いているかも知れない。
何かと食欲の落ちるこの時期、チョット目先が変わるだけで食べるコトができる、と言うコトもある。
おとうさんのビールのおつまみにしても、小皿の上に「プッチン」とする楽しみがあると思う。
もし、開発担当者がそこまで考えて、作っていたとしたら本当に凄いと思う。

企業には人事異動がつきもの。
その異動を通して、それまでの経験を活かしつつ新しいモノを作る、と言うのは異動した先の部署にとっても、新しい風となりそれまでにない発想を呼ぶと思う。
本来、異動というのはそういう目的があってこそ、企業内が活性化するのではないだろうか。

そんなコトを感じさせる、「男のプッチンプリン」開発話だ。