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「適電生活」のススメ

2011-08-07 20:59:27 | ライフスタイル
8月に入り、本格的な暑さが到来している。
そしてこの夏は「節電の夏」だ。
暑さも一段と、厳しさを増しているような気がする。
そんな中、新聞に「節電生活」ではなく、「適電生活」という広告を見かけた。
「上手いコピーだな・・・」と思った。

確かに今年は、「節電」をしなくてはならない。
だからと言って、熱中症になるほどエアコンを我慢するのも問題だ。
要は、ピーク時の節電を心がけるということや、テレビなどのダラダラ視聴を止めるといった「無駄な電力を使わない」というコトが重要なのだ。
何よりも電力会社としては、「節電の協力してもらいたいが、必要以上の節電は収益などの面から考えれば、やめてもらいたい」というのが、本音なのではないだろうか?

今のところ、東北電力以外の地域では電力の需要バランスが取れているようだし、3月の震災から「節電の準備」をしてきた生活者の努力というか、協力もあるだろう。
何よりも、「必要だ!」と思っていたコトが、節電対策で見直しをしてみたら、案外生活の不自由さを感じなかった、という部分もあるのではないだろうか?
我が家の場合は、テレビということになるのだが・・・。

そしてこの「節電経験」は、もっと違う効果を発揮するかもしれない。
それは「思い込み」というフレームを外し易くする、ということだ。
震災以降、生活者の中には「それって、本当(に必要?)」という、生活の見直しが急速に広がり始めている。
その理由の一つが、震災発生直後から繰り返しテレビなどで流れた東北各地の津波の様子だ。
物質的なモノだけではなく、様々なモノが瞬く間に押し流されていく光景は、ある種の「諸行無常」感を、与えたはずだ。
それを裏付けるように、震災からしばらく経って起きた「自粛ではなく、経済を立て直すためにも、必要なモノは積極的に買おう」という雰囲気に対して「あの津波の光景を見てしまうと、モノへのこだわりが虚しいものになってしまった」という声が多かった。
そこへ「節電のための生活の見直し」が迫られた。
生活者としては「支援のための消費」や「生活に必要な消費」は積極的にするが、「見直し対象となったモノへの消費欲は減退中」という状態になっているのでは?

であれば、様々なモノ・コトを提供する側である企業も、「(企業側から見た)生活者メリット」を見直さなくては意味がないのでは?
「(企業側から見た)生活者メリット」こそが、「(企業の)思い込み」的部分になっている可能性が高いのでは?

多くの企業は、今週後半から「お盆休み」に入るだろう。
「お盆休み」を「思い込みから解放される休み」とするのも、方法だと思う。