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円高還元セールにみる、小売りの主役交代

2011-08-22 21:24:04 | ビジネス
Yahooのトピックスなどに、「円高還元セールが始まる」という内容のニュースが取り上げられている。
ご覧になられた方も多いと思う。
このニュースで気になったことがある。

一つは、20年ほど前の「円高」の時に比べ、「円高還元セール」の始まりが遅いということ。
この時の「円高還元セール」が始まったのは、1ドル=80円台だったような記憶がある。
ただこの時の社会状況は、今のような閉塞感と不況、雇用不安というモノが無く、不景気といいつつも何となく、のんびりと未来志向というモノが社会全体にあったような気がした。
だからだろう、「円高による輸出産業への懸念」が言われつつも、生活者の中には「海外旅行(でブランド品を買う)などの円高によるメリット」の方が、強調されるコトも多かったように思う。
実際、この頃から日本人の海外でのブランド品購入が急激に増え、ブランド品を持つコトがステータスではなく、当たり前のようになったように感じている。

そのようなコトを思い出すと、今回の「円高還元セール」は1ドル=70円後半になってからというタイミング。
やはり、小売り業全体の体力が落ちてきているのでは?という気がするのだ。

もう一つは、その「円高還元セール」の中心が、百貨店ではなく大手スーパーや楽天などの通販という点だ。
以前の「円高還元セール」の主役は、百貨店が中心だったのだ。
それも当時の百貨店が持っていた、海外支店からの輸入品などを取り揃えた「円高還元セール」だった。
それも、今回のような生活に密着したような商品ばかりではなく、絵画や宝飾品といった高価なモノが多かったように思う。
その海外支店も、バブル崩壊後次々と閉店に追い込まれ、百貨店そのものも小売りの雄ではなくなってしまった。
その代わりに小売りの主役となったのは、大手スーパーだったりコンビニ、通販だ。
大手スーパーといっても、持ち株会社などの関係からコンビニの方が経営の柱となってしまっている感が無いわけでないが、このようなセールとなるとコンビニよりも集客が見込めるスーパーというコトになるのだろう。

もう一つ注目されるのは、楽天などのネット通販だろう。
個々の出店規模は大きくなくても、日本全国をカバーできる販路を持っている。
並行輸入などをしているショップなどは、これを機に「円高還元セール」というコトも充分可能だろう。

「円高還元セール」と言っても、20年ほど前の時と随分違う印象がある。
小売業の主役交代というだけではなく、生活者自身も変わりつつあるという気がしている。