日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

食卓から見えるいろいろなこと

2005-05-21 11:17:31 | アラカルト
少し前、毎日新聞に変わった調査記事があった。
味の素が調査した「配膳:位置正しい食卓は2割 茶わん左、汁わん右--都市部の既婚女性」である。
昭和一桁生まれの両親の下で育った成果か?一人暮らし歴が長くなっても「ご飯は左、汁物は右、お箸の頭は右置き」という習慣が身についている。
というよりも、それ以外の配膳をされると「食べ難い」と感じる。
現状はともかく、右利きが多いことや「おかずとご飯と汁物を交互に食べる」ということを考えると、このような配膳の方が「食べる人を気遣っている」ような気がする。
その変化の理由は、記事にあるとおりだと思うのだが、もう一つ理由をあげるなら「ばっかり食べ」という食べ方にも原因があるのでは?
「ばっかり食べ」というのは、「一つのおかずを食べきってから、次のおかずを食べる」という食べ方で、そして最後に、ご飯を少しという食事の仕方。←これっておコメの消費減の原因の一つ?
背景には、食事の欧米化ということがあるらしいのだが、それによって失われてしまう日本人の「繊細な味覚」が問題になっている。

この調査では出ていないのだが、気になったことがある。
それは「いただきます!」というあいさつ。
一人暮らし歴が長くなると、ついおざなりとなってしまう「食事のあいさつ」なのだが、「いただきます」という言葉には、食事を作ってくれた人への感謝があるのでは?
そして「召し上がれ」という返事にも、「食べること」の大切さが込められているような気がする。
他愛も無い「あいさつ」かも知れないが、そこには「食べることへの感謝と気遣い」があると思う。
日本人の食事は、そういう「気持ちをいただく」という意味があるのかも知れない。

そしてもう一つ。
同じく毎日新聞だけではなく他紙にも掲載されていた、ゆで卵:回転で跳び上がる「起き上がり」に新説という記事。
「力学」となると、高校生の頃に挫折した物理を思い出すのだが、このような家庭で出来る実験ならそれほど物理が苦手にならなかったかも?と思ってしまう。
もちろん、説明をするのは大変な知識が必要だとは分かる。
それでも、キッチンでお父さんが「マジックを見せてあげる!」と言って、こんな実験をしてくれたら子ども達は目を輝かせて見入るに違いないと思う。
それが科学への興味のきっかけとなるのなら、もっと理系に進学する女性が当たり前のように増えるような気がする。それは、男の子でも同じ。

マーケティングという仕事をしていて感じることは、「相手を思い遣る気持ち」と「様々なことに興味・好奇心を持ち続けること」が必要だということ。
でもそれは、難しいことではなく、配膳の仕方やキッチンで出来る実験の中にヒントがあるのではないか?