はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

陣屋

2007年09月26日 | しょうぎ
 さあ、羽生-深浦の王位戦戦最終局。場所は「陣屋旅館」である。
 陣屋___。 かっこいい響きだ。

 この陣屋は将棋ファンには有名な場所。なんといってもそこには升田幸三ヒゲ九段の『強がりが雪に転んで周り見る』の色紙がある。升田ファンには、もう、仏像のような、ありがた~い色紙である。僕も一度だけ、拝見したことがある。
 僕が行ったとき、その色紙と並んで、いくつかの棋士の色紙も飾ってあって、深浦康市のかいたものもあった。なぜここに深浦さん(「『五段』となっていた)の色紙があったのか不明である。
 深浦さんがタイトルを獲るかどうか、気になるところだ。深浦康市八段の通算勝率は6割9分、これは現タイトルホルダー佐藤康光、森内俊之よりも上なのである。
 (実はこの稿は、前日25日夜に書いている。なので当然、今回の結果を知らない)


 僕が陣屋旅館へ行ったのは2002年12月の年の暮れ。羽生善治竜王に阿部隆七段(現八段)が挑戦した竜王戦の第6局である。

 このシリーズは異様な盛り上がりを見せた。
 まず、台湾で行われた第1局、2日目の夕方、「千日手」となった。すぐにもう一度指し直したら、なんとまた「千日手」だ! もう夜10時だ。対局者の疲労やホテルの都合など考慮して、この日は無勝負、後日指し直しになったのだ。
 そしてその後の星のながれは、羽生竜王から見て
 ○○●●●
となったのである。特に第4局は、阿部が執念の「入玉」で257手の熱闘を制した。そして第5局を勝って、「あと1勝で竜王」というところまできた。

 「阿部は竜王になるのだろうか?」

 第6局の対局場は「陣屋」だ。僕は神奈川県に住んでいた。「これは行くしかない」と思い、行った。べつに阿部ファンではないが、陣屋がおれを呼んでいる(笑)、そう思ったのだ。

 陣屋は、小田急線鶴巻温泉駅のすぐ近くにある。立派な門を通ると、TVでも見た「かがり火」が燃えている…。 おおお! 陣屋だ…!
 僕はコーヒーを飲んで露天風呂にも入った。(泊まってはいない) 升田さん(色紙と、掛け軸の絵)にも会った。 解説会では、中原誠や森鶏二もナマで見た。
 その将棋は相矢倉で、羽生の勝ち。(羽生からタイトルを獲るのはなんて難しいことなのだろう。) スコアは3-3となり、タイトルのゆくえは翌年の1月に持ち越された。


 そして第7局。羽生が勝って、竜王防衛。 終盤、優勢な羽生の顔が蒼白で、コマを持つ手がブルブルとふるえていたらしい。翌朝のフジテレビの番組で、大塚アナウンサーがそう言っていた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする