はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

白色矮星「シリウスB」

2007年09月24日 | はなし
 なんとなくシリウスについて書きたいので、そうしてみます。

 天文学史上、はじめて地球と星(恒星)との距離をわりだしたのがベッセル(ドイツ人)です。(1838年) これは、白鳥座61番星を「視差」によって測定・計算したのです。11.2光年でした。
 そのベッセルが次に注目したのがシリウスでした。
 シリウスはオリオン座の左下にある明るい星で冬の夜空に目立つ星です。おおいぬ座に属します。おおいぬ座は、ギリシャ神話では、猟人オリオンの犬です。(いろいろ説があるようですが) シリウスは、中国では、ギラギラと輝く狼の瞳の意味で「天狼」と呼ばれていました。
 ベッセルが観測したところ、どうもシリウスの動きは変です。それで彼は、「シリウスは伴星をもっている」と考えました。しかし、「伴星」は見つかりませんでした。1844年ごろのことです。


 シリウスの「伴星」が発見されるのは1862年。アメリカのレンズ加工技術者アルバン・クラークが新型屈望遠鏡を完成させ、その観測テストとしてシリウスを調べたのです。するとシリウスの写真には小さな白い「しみ」がありました。これがベッセルの考えた、シリウスの「伴星」だったのです。これは「シリウスB」と呼ばれています。
 それにしても「シリウスB」は謎だらけでした。その小ささといい、白色(高温)であることといい… 説明できないのです。地球とシリウスとの距離は8光年。こんなに近くて白い星は他にありません。謎のまま年月が過ぎました。


 1915年、天文学者アダムス(アメリカ人)が、「シリウスB」のスペクトルを得るのに成功しました。するとますます謎が深まりました。地球ほどのサイズしかないことがわかり、それなのに巨大な質量を持っている。サイコロほどの量で1トンにもなります。「あり得ない。これはどこか間違っている」と多くの学者は考えました。しかしそうではなかったのです。

 そこで前回の記事にも出てきたエディントンの出番です。
 1916年に彼は「恒星はガス球である」という推論をしっかりとした計算のもとに発表しました。しかしそれでも「シリウスB」の巨大な質量は説明できません。そこにエディントンは、アインシュタインの「一般相対性理論」の論文を読みました。この理論が正しいならば、巨大質量の恒星から出てくる光は「赤方偏移」することになる。「赤方偏移する」というのは「光が遅れて届く」ということです。恒星の重力によって、空間がゆがめられる、という相対性理論からの結果のよってそうなるはずです。エディントンはそれをアダムスに確かめました。すると確かに、計算どおりの「赤方偏移」だったのです。(そういうこともあってエディントンは一般相対性理論の検証観測を提案したのですね)
 それで「シリウスB」が、大質量を持っていることは確実となりました。
 このような星を「白色矮星」といいます。「矮星」とは、小さな星という意味です。大きな星が、年をとって「重力崩壊」して、こうなるのです。

 ずいぶんわかってきましたが、それでもまだ「シリウスB」の謎は残りました。エディントンの恒星モデルによれば、この白色矮星の場合、内部に多大なエネルギーが存在しないとおかしいのですが、そのエネルギーがどこから来るのか説明できないのです。


 その謎は、1926年ファウラー(イギリス人)が、エディントンの星の構造理論に量子力学(粒子よりもさらに小さな物質の関係を調べる学問)を適応して、「星が崩壊するさいに熱核反応が起こる」ということを示すことで解決しました。
 さらにインドの学生だったチャンドラセカールが、相対性理論によって計算し、「白色矮星になるのは、太陽質量の1.4倍以下の星だけ」ということを発見したのです。これを、チャンドラセカール限界といいます。
 では太陽質量の1.4倍よりも質量の大きな星はどうなるかといえば、これは「中世子星」や「ブラックホール」になります。


 天文学の用語をタイトルにすると、なんかかっこよく見えるなあ。
 んー、それにしても、おおいぬ座のイヌの図、僕には、ダメ犬に見えるんですけど。ものすごく瞳の綺麗なダメ犬…って、どうかしら?
 どうもこのごろ身体がつかれやすくていけない。もしやからだが重力崩壊していて、オレ、白色矮星になってしまうのでは…?   あ、質量足らないか。
コメント (2)
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