はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

インディラ

2007年09月15日 | はなし
 インドが、イギリスから独立したのは1947年。マハトマ(偉大なる魂)と呼ばれていたガンジーは、ヒンズー教徒とイスラム教徒の共存を望んでいたが、「インド」と「パキスタン」と分離した形での独立となった。ガンジーは暗殺によって倒れ、初代首相にはネルーが就任した。
 そのネルー首相が、日本の子供たちからの手紙を受けとった。「日本の動物園にはぞうがいません。ぞうをください」 心を動かされたネルーは約束した。 「インドでいちばん優れたぞうを送りましょう」
 「優れたぞう」はやがて見つかった。15歳の雌ぞうで、かしこくておとなしい。首相はそのぞうに、自分の娘の名前とおなじ「インディラ」をつけた。

 インディラはインド・カルカッタから船でやってきた。1949年9月23日、東京芝浦に到着。そしてそこから上野動物園までの道を、深夜、歩いた。「なにごとか」と集まってきた人は驚いた。ぞうだ! ぞうのインディラの背には象使いのインド人が二人乗っている。見物人の中にはそのままついて来る人もいて、上野動物園に着いた頃には、その行列は2千人になっていた。(1万人と書いてある本もあった)
 ぞうがやってきた!
 上野動物園のぞうは、これで2頭になった。もう1頭は「はな子」で、はな子はその3週間前にタイから送られて来ていた。まだ2歳の小さなぞうで、インディラによくなついた。インディラとはな子は、熱烈な歓迎の中でむかえられたのであった。

 ネルー首相とその娘インディラは1957年、日本へやってきて、上野動物園のインディラと対面している。(娘といってもこの時40歳だが。) その後、父ネルーが死去した後、この娘インディラは政界へ進み、1966年にインド首相になっている。


 吉田茂首相は、大の動物園好きだったという。マスコミ嫌いだったが、動物園の式典へは忙しくても出席し、にこにこ顔だったという。
 1959年、インディラ来園10周年記念の会へは、吉田茂は、娘(三女)麻生和子を伴って出席し、「ネールさんがお嬢さんの名前をつけてきたので、お返しに日本からヒグマを送る時、和子とつけようと思ったが、これが(と麻生さんの方を向いて)クマでは嫌だというので…」と大笑したという。
 この和子さんは、今をときめく政治家麻生太郎氏の母である。映画化された『小説吉田学校』では、この麻生和子役は、あの夏目雅子が演じていたようだ。 
 麻生太郎__。そう、このたび、自民党総裁に立候補した麻生太郎さん。この麻生さんは漫画好きでも有名だが、SF作家野田昌弘氏は従兄弟なんだってね。麻生さんが首相になれそうかそうでないかで、株の「オタク銘柄」が上下しているそうで。(そんな安易なことでいいの、日本経済!?) ところで、動物園の上場株ってあるんかいね? (なさそうだな…)
 自民党総裁が決定するのは9月23日だそうだが、偶然にも、インディラが日本に来た日と同じだ。(こじつけだが)

 ぞうのインディラは49歳まで生きました。上野動物園の人気者として。
 僕も(あなたも)、インディラと一度は会っているかもしれません。

     
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする