中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

MET「ドンカルロ」来日!

2010年10月12日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載の「世界史レッスン<映画篇>」第48回の今日は「写真一枚を頼りに」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2010/10/post-043b.html 
 不思議なテイストだった「ピアノレッスン」について書きました。

 さてさて、鬼が笑うような話題ですけど、来年6月にニューヨーク・メトロポリタン・オペラが5年ぶりに来日します。ヴェルディの「ドンカルロ」を引っさげて。

 ミラノスカラ座の引越し公演があったばかりではないか、とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、あのプロダクションは現地ですでに悪評サクサク。とても見る気になりませんでした。

 今回のMET版は、ホロストフスキー様が出るのです。もしやフィリポ二世(=フェリペ二世)ではないだろうな、それならちょっと嫌だなと思っていました。だって「ハプスブルク家12の物語」にも書きましたが、原作者のシラーはまだ30代のフェリペを「老王」にしてしまい、自分がこんなにお爺さんだから妻に愛されない、とか歌うのですもの(そのくせちゃっかりエーボリと浮気するし)。

 しかし心配は杞憂でした。ホロストフスキー様の役は、主人公ドンカルロの親友ロドリーゴ。やったあ、バンザイ!!この役はすごくカッコいいのです。スペインの現状を憂え、オランダ独立に手を貸す理想主義者。男の中の男。

 おまけにドンカルロの身代わりとなって死ぬのです。そのときのアリアがまた聴きごたえあり、涙なしにはいられません。ドンカルロの腕の中で「わたしを忘れないでください」と歌うホロストフスキー様、もとい、ロドリーゴ。想像しただけで胸がいっぱい。

 「ケッ、死ぬ直前にあんなに歌えるものか。これだからオペラは阿呆らしい」と言う人がいますが、まあまあ、そう言わないで。この非リアリズム感がたまらないのですから。

 しっかりチケットを購入。来年の楽しみができて嬉しいな♪ 

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おとなのための「オペラ」入門 (講談社プラスアルファ文庫)


☆最新刊 「『怖い絵』で人間を読む 」(NHK出版生活人新書) 5刷になりました♪

「怖い絵」で人間を読む (生活人新書)

 (本書は今年の2月から3月にかけて、NHK教育テレビ「知る楽」で8回、後にNHK/BSで2回に再編集されて再放送された番組のテキストを、加筆・再編集して新書化したものです。絵の数はテキストよりだいぶ増やしました♪33点のカラー図版、10点のモノクロ図版)
 
☆光文社新書「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」3刷中。

「明大新聞」での、谷川かおる先生(仏文学者・美術評論家)のご紹介が載りました⇒
http://www.meiji.ac.jp/koho/meidaikouhou/20100801/r_book1.html
 
名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語 (光文社新書 463) 


☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)13刷中。

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)

☆「怖い絵」16刷中。

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☆「怖い絵2」、9刷中。

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6 コメント

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初めまして (からく)
2010-10-13 17:07:00
初めまして。現在高校生をしています。からくと申します。
『ハプスブルク家12の物語』拝読いたしました。
私は今、フリードリヒ大王について興味があり、調べています。
メンツェルの「フリードリヒ大王のフルート・コンサート」絵の存在は前々から知っていました。けれども、絵があんなに大きくカラーで乗っている本は他に見たことがありませんでしたし、絵の中の聴いている人の表情のことを考えたこともありませんでした。
私にとって新たな発見があったこの本には出会えてよかったなと思いました。
しかし、気になったことがひとつありました。
人間を使った実験の話ですが、私はこれまでずっとこの話を、神聖ローマ帝国のフリードリヒさんのことだと思っていました。この話は大王の話だったんでしょうか?それとも、二人とも実験をしていたのでしょうか?
もし本当に、自身が虐待されてきたのに罪のない赤子を利用していたのだとすると、なんだか切ないような、そんな気持ちです…。
乱文失礼しました。

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Unknown (からくさんへ(kyoko))
2010-10-16 19:53:08
 ご訪問ありがとうございます♪
 孤児院の歴史は悲惨です。フリードリヒ大王は(もちろん彼だけではありませんけど)、けっきょく子どもたちを兵士予備軍としても、また労働者(彼の時代は繊維工業の働き手)としても利用していました。絶対主義時代や独裁制というのはそういうこともできるという意味で、やはり怖いですね!
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新刊楽しみです (sousaku)
2010-10-18 09:38:08
はじめまして今回初めてコメントさせていただきます。
中野さんの本に出会えて私は再度歴史の楽しさを知ることができました。新刊がでるのがまちきれません!千葉日報のコラムもよみました。

ドガ展はぜひ中野さんのお話をききたいと思いましたが予定があわずいけないのでとても悔しいです・・・。
それにしても怖い絵シリーズには終わりがないようなきがします。
私が興味を持ったのは絵画の中のアトリビュートです。絵の中に入れるだけで秘密のメッセージのようでもっと知りたくなりました。
中野さんの本に出会えて本当によかったです。
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Unknown (sousakuさんへ(kyoko))
2010-10-19 08:26:17
 ご訪問ありがとうございます♪
 拙著により、歴史と絵画への興味が再燃されたとのこと、嬉しいです!
 ドガ展では残念ですが、朝日カルチャーなどでも講演いたしますので、お時間があえば聴きにいらしてくださいまし。
返信する
Unknown (からく)
2010-10-23 02:11:12
お忙しい中、御返信ありがとうございます。
繊維工業の働き手とは知りませんでした。やはり日本語の本だけで、大王のことを知るのには限度があるみたいですね…。

確かに、怖いですね。私は政治に明るくないのですが、やはり何でも一人で決めてしまう独裁制は、間違った政策になってしまう場合が多いのかなと思います。もしその独裁者が国民の幸せを願う人だったとしても、一人で国民すべてを把握することなんてできませんし。

あと、恐れ入ります。この前伺った人体実験の話ですが、二人共行ったということで良いのでしょうか…?
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Unknown (からくさんへ(kyoko))
2010-10-24 10:49:41
 神聖ローマ帝国フリードリヒといえば、12世紀ホーエンツォレルン朝の皇帝ですね。あいにくこのあたりは全くわたしのテリトリーに無く、残念ですがわかりません。しかしフリードリヒ大王もそうですが、新たな(当時としてですけど)科学的思想が世をおおうときには、必ず支配者は試してみたいと思うでしょうね。そして実際に試すだけの絶対的権力を持っているわけですし。。。
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