中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

DVD映画はカットされている?

2012年03月06日 | 映画
 学生時代、いわゆる2番館(今はもう少なくなっているようです)といわれる2本立てや3本立ての映画館へよく行きました。ロードショー(この言葉も古いかも。。。)が終わってしばらくしてから上演される映画で、お目当てのより併映のもののほうが面白いことがあったりして、重宝しました。

 でもまもなく行くのをやめました。なぜならこんなことがあったのです。

 ロードショーで見てすごく気に入り、もう一度見たくて(まだDVDはなかったのです)2番館へ行くと、驚いたことに大幅にカットされているのがわかったのです!これではテレビと同じではないかとがっかりしました。全部の2番館がそうではないけれど、上映時間の関係で回数を増やすためにこっそりやっている悪徳館(?)があるというのを後で知りました。ひどいですよね~ こんなことが許されるのかなあと思います。

 で、今日はDVDの話です。まさかDVDでそれはないとずっと信じていたのですが。。。

 ポランスキー「ゴーストライター」がすごく気に入り、映画館で2回も見たわたしはDVDが出たのでさっそくレンタルしました。すると。。。

 主人公が友人とパブで食事をしてから出版社のシーンへ移るときの、やや強引なカットに、あれ?と違和感がありました。いや、でもわたしの勘違いだろう。そう思いなおします。全体的にはそう大事な箇所ではないし。

 その後、今度は主人公が島へ到着してタクシーに乗ります。ここは強烈に記憶していました。タクシー運転手が耳が聞こえず、そのことでこの島がマーシャズヴィニャーズ島であるとほのめかされるのです。な、なんと!そのシーンが完全に消えています!!

 他にも車のナビの音声で移動するシーンが短縮されるなど、小さいところがちまちまカットされていました!細部に神は宿るのに!弩、弩、弩!!!

 この映画は雰囲気が命の映画です。すばらしい音楽、冷え冷えした風景、重苦しい事件にほのかなユーモア、ゆっくりゆっくり真相に迫り、知らず知らず窮地に陥ってゆく主人公……展開には緩急があり、その「緩」の長さが次の「急」のサスペンスを産む。ところがカットされたために「緩急」が「急急」になってしまった!くそお~という感じです。

 ベートーヴェンの「運命」の「ジャジャジャ、ジャ~~~~~ン」を、CDに入れるとき時間短縮のためと「ジャジャジャ、ジャ~ン」にしたらどうなるでしょう?ぶち壊しではありませんか。

 これは「ゴーストライター」を出したDVD会社一社の問題なのかな。それともどこでもやっているのでしょうか。制作会社がカットしたのか、それともDVD版は監督承諾の上でそうしているのか、それとも日本側がそうしたのか、知りたいです。


☆☆北原みのりさんがつぶやいてくれました。嬉しいな♪

北原みのり ‏ @minorikitahara

中野京子さんて、フランス革命の時、生きてたんじゃないかな。 「マリー・アントワネット運命の24時間」(朝日新聞出版)、国王一家パリ逃亡から捉えられるまでの24時間の物語。アントワネットの息づかいが聞こえてきそうな臨場感だった。フェルゼンがまた、ステキなの。


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「週刊朝日」書評⇒ http://book.asahi.com/reviews/column/2011100300004.html


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5 コメント

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残念ながらあります・・・ (真奈美)
2012-03-07 07:11:06
 『ローマン・エンパイア』(原題の『アウグストゥス』にしておけばいいのに・・・)、日本でのDVDは2時間程度になってますが、実際にはもっとかなり長いものであったようです。
 『レジェンド・オブ・エジプト』(テレビ放映時には『クレオパトラ』)は、テレビで見た時には3時間だったのに、レンタルに出ていたビデオは2時間でした。
 映画をテレビで放映する時にカットするのも腹の立つものですが、まだ我慢できます。しかし、金払って買うビデオやDVD等までこんなのは許しがたいと思いますよ。
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Unknown (真奈美さん(kyoko))
2012-03-07 09:41:36
 やっぱり!!
 腹立ちますね~きちんと表示してほしいですね。「ゴーストライター」に限って言えば、新作の宣伝がたくさんあって、しかも早送りできないようになっているんですよ。そういうのにも腹が立ちます。業界でもっと問題にしてほしい。
返信する
Unknown (ちあき)
2012-03-11 12:26:13
マリーアントワネット 運命の24時間
読みました!
この本を読む以前から
アントワネットには不思議な魅力を感じていたのですが
この本を読んでさらにアントワネットの魅力が増しました。

フランス革命についても考えさせてくれる本
だと思いました。

世界史をもっともっと深く
学びたいと思いました。

素敵な本に出会わせていただき
ありがとうございました(^o^)
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リクエストです (なつみ)
2012-03-12 21:27:22
アントワネット運命の24時間を読んで、危険な世界史も読んでみました。

その中で、カルロス2世に興味を持ちまして、もっと詳しく知りたいと思いました。

どうぞよろしくお願いいたします!
返信する
Unknown (ちあきさん&なつみさんへ(kyoko))
2012-03-13 10:07:52
ちあきさん
 拙著の感想をありがとうございました♪
 歴史への道はまず人物に興味をもち、そこから拡げてゆくと、全体の流れがわかりやすいですよね。「ブルボン家12の物語」もぜひお読みください!

なつみさん
 ご訪問、ありがとうございます♪
 カルロス二世については「ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)に詳しく書きましたので、読んでみてくださいね~
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