恩師のご著書「真理を求める愚か者の独り言」より
第四章 「思い変え」こそ幸せの扉を開ける鍵
◆あらゆる不幸は五感に翻弄されることから生ずる◆
先の続き・・・
ところで、この中で神殿や神棚の前では宝を供えるのと同様の有り難いものであり、
仏前にあっては花を供養するのと同様の功徳があり、
家人のためには祈祷と同様の価値あるものとして、このお経が信じられていました。
ここは非常に誤解を生じやすい箇所です。
というのは、このお経を声高々と詠みあげたら、
あらゆる神仏から眷属に到るまでの心の願望に慈悲をけて救ってくださると書いてあるからです。
そこは、日本人の宗教観の一つの傾向として、他力信仰、
つまり神頼みやお陰をいただくためにのご利益信仰に偏ってしまいやすいからです。
元来、宗教というのは自分の魂磨きや霊性の開発を目的としたものであり、
般若心経もただ朗々と読み上げれば、
それで不思議な功徳がいただけるという都合のいいものではありません。
般若心経の冒頭には「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時」と説かれています。
これに続いて「正見五蘊皆空」と説かれています。
心によって観ることの自由自在で、なおも仏を目指して修業される方が、
内在された智慧に到達する教えを深く実践された時、
人間存在はすべて実体がないと見通されたという意味です。
もし、とらわれた時はすべて苦しみとなり、災いとなるであろうと、
お釈迦様が舎利子(十大弟子の中の智慧第一と呼ばれた方)を代表する、
すなわち仏弟子達にに向かって、説いてくださっているのです。
「色即是空」は、〈目に見えるあらゆる物質、「色」には実体がない、
実体がないからこそいつの日にか消えていくものである。
実体がないからといって、物質がないのではなく、
実体がないからこそ物質として現象しているのである〉。
このような真理がら見た時、私たちは何を悩み苦しむのであろうか。
日々の生活の中でこの教えを理解した時は苦悩も少なくなると思います。
~ 感謝・合掌 ~