経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

知的財産権で全てが解決するか?

2006-08-07 | 企業経営と知的財産
 中小の製造業の特許に関する問題として、特許権を取得するノウハウがない、或いは特許権を取得しても権利行使のノウハウがないから、模倣を防止することができない、ということがよく言われていると思います。
 では、特許権を取得し、権利行使をするノウハウがあれば、模倣を防止することはできるのでしょうか?
 答えは、おそらく否であると思います。模倣の問題は、特許権などの知的財産権だけに起因するものではありません。知的財産権の専門部署に多くのスタッフを揃え、大量に出願を行っている大手メーカーであっても、模倣対策に苦慮していることを考えると、知的財産権の取得や権利行使を強化するだけで模倣が防止できないことは事実であろうと思います。
 だからといって、知的財産権があってもなくても同じということではありません。ボクシングと同じようなイメージなのですが、ガードを固めていってもある程度パンチをもらうことは避けられないものの、ガードなしではあっという間にダメージを受けてしまいます。知的財産権の取得や権利行使を強化するということは、戦う上でのダメージを軽減するための必要条件であって、市場を支配する十分条件ではないということだと思います。
 知的財産権について受け身になって対策に追われてしまうと、本業の推進に悪影響が生じてしまいます。中小企業に、もっと知財対策が必要であるということ自体は、おそらく否定されるものではありません。但し、その意味は、知的財産権の取得や権利行使ができれば模倣の問題が全てが解決されるというのではなく、知的財産権という制度を能動的に使いこなして、模倣問題をできるだけコントロールしていこうということなのではないでしょうか。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。