経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

ぬるい知財戦略

2007-08-09 | 知財発想法
 昨日会った友人が、参議院選挙での安倍自民党の敗北を、「『美しい国』みたいなぬるい政策が敗因だろう」と評していました。
 そういえば知財の世界でも、「ぬるい知財戦略」を耳にすることがあります。「知財は重要だ」金科玉条のように叫んでみても、その中味が具体性のあるものでないと、責任ある立場にいる人に受け入れてもらえません。

<コンサル君>「知財経営を理解されていますか。知財、すなわち特許権や商標権の重要性を社長も認識してください。」
<社長>「特許なんてなくても伸びている会社はいっぱいあるぞ。何で重要なんだ?」
<コンサル君>「特許権は独占権なので事業を独占することができます。また、他人の特許権を侵害すると、事業ができなくなってしまうことがあるからです。商標権も同じ独占権です。だから重要なんです。」

 これでは、全くぬるい(ご参考;「脅迫系と勧誘系」)。事業の成否は特許権などの知的財産権だけで決まるわけではないので、個別具体的に、その企業、その事業にとって「どうして知的財産権を取得する意味があるのか?」「知的財産権をどのように使えるのか?」を提示できなければ、責任ある立場にいる人の理解は得られないでしょう。責任のない人にうけるということと、責任ある立場にいる人の理解を得るということの間にある差は、どれだけ事実に即した具体的な解決策が提示できているかというところにあると思います。

 知的財産権で何ができるかということは、事業の性質、競争環境などによって大きく異なってきます。4番バッターの役割を果たすこともあれば、バント専門の代打要員に過ぎないこともある。でも、バントだって勝利のために不可欠な場面があるわけで、そのチームでの役割をどのように位置付けるか(試合に出る場面がなければ「不要」という判断も含めて)、そこを具体的に示さないと、「いい選手だからとるべきですよ」では話は進まないでしょう。