経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

商標権の償却

2007-08-10 | 新聞・雑誌記事を読む
 本日の日経金融新聞から。
「JT/商標権償却、利益下押しも/株価への影響は限定的」
 JTが英国のたばこ大手ガラハーを買収し、業績の大幅な上方修正を発表したのですが、この中には商標権の償却金額が織り込まれておらず、今後利益の下方修正の可能性があるとのことです。
 今回の買収額は1兆7800億円で、ナビスコを買収した際の買収価格9400億円に対する商標権の評価額が2930億円だったので、今回も相当な金額の償却が必要になる見込みだそうです。
 ところで・・・知的財産権の勉強をすると、
「商標権の存続期間は10年だが、更新申請によって半永久的に権利を存続させることができる。」
「商標は一般に使用するほど価値が高まる→よって、更新時の登録料は最初の登録料より高く設定されている。」
ということを習うかと思います。とすると、
半永久的に存続して、時間とともに価値の高まる資産をどうして償却しなければならないのだろう?
という素朴な疑問が生じてきます。会計学のことはよくわかりませんが、どうしてなんでしょうね。
 一方、記事によると、今後商標権の償却額が明らかになって利益の下押し要因となったとしても、市場は将来への成長期待を評価して株価への影響は限定的だろう、と予想しています。会計学の理論がどうであろうと、市場のほうが真実をよくわかっている、というところでしょうか。因みに、同じ無形資産でも「商標権」とは区別される「のれん」は、国際的な会計基準では償却不要なため、日本でも償却不要になる方向とのことです。であれば、「商標権」も償却不要なのでは?という気がしますが。