経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

明細書から人間性や人生観が読み取れるか?

2007-06-08 | プロフェッショナル
 以前の記事で紹介したRightNow!の「真の知財人材の条件」の記事書かれた知財協の宗定専務理事とお話をさせていただく機会がありました。経済だけでなく歴史にも造詣が深く、お話を伺うと知財の本質を考えるのに大変勉強になります。記事同様に、「自分の言葉で知財の意味・重要性を説明できること」の重要性を仰られていました。
 確かに、自分の仕事の対象に自分なりのポリシーをもって臨むことができないと、何かを問われたときの回答は説得力に欠けるし、一貫性に欠けるものになってしまいます。仕事に対する価値観、さらには人間観というものは、根底において何よりも重要なものなのでしょう。

 以前に日経新聞に掲載されていたパティシエの辻口博啓氏のインタビューに、こんなことが書かれていました。辻口氏曰く、「世界的なお菓子のコンクールでの戦いは、単に技術を競い合うだけではなく、人の内面、人生設計まで問われる真剣勝負である」とのこと。ライフワークとして真剣に取組んでいるものの成果物には、必ずそこから何らかの思想が感じられ、人の心を動かしたり共感を呼んだりするのは、実はその部分であることが大きいのではないかと思います。スポーツ観戦にしても、勝った負けたの単純な面白さもありますが、それだけならばテレビゲームと変わりません。プロが見せる高い技術が共感や感動を呼ぶのは、そこに到るプロセスや人間の営みに敬意を感じるというところが大きいのではないでしょうか。

 勿論、我々の扱う業務は芸術やスポーツとは目的が異なり、感動や共感を売りにするものではありません。しかしながら、周囲の人の協力や理解、信頼を得ていくためには、ポリシーが伝わるというのは実は重要な要素なのではないでしょうか。まぁ何を大袈裟なといった話になってきてしまいましたが、「真の知財人材」を目指すには、知識より何よりそういった部分を意識しておくことが必要なのではないかと思います。
 そういえば、辻口氏の記事を読んだ後に、クレーム・明細書の質に徹底的にこだわる同業者の友人に「明細書からそれを書いた人の人間性や人生観が読み取れるか?」と聞いてみたことがあります(凄い質問ですが・・・)。彼の答えは、「そんなの、すぐにわかる。」とのことでした。
 
Right NOW (ライトナウ) ! 2007年 06月号 [雑誌]

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