経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

品質への要求水準&設備投資

2007-03-25 | 知財発想法
 先週金曜の日経金融の記事に、液晶・プラズマテレビ用ガラス大手の日本電気硝子の会社分析が掲載されています。最終製品のテレビの価格下落の激しさにも関わらず、需給の逼迫から高い利益率(今期の第三四半期までの粗利率34.3%)が維持され、今期の最終利益は前記の13倍になる見込みとのことです。
 その強みについて、記事では、
「微妙に温度調整しながらガラスを成形するには特殊なノウハウが必要で、技術者の数も限られる。家電向けは均質性・透明性など品質基準が厳しく、参入障壁は高い。後発メーカーが窯を作っても家電メーカーに採用される水準に技術を高められる保証もない。・・・」
と解説されています。溶融窯の新設には数百億円単位の投資を要するそうで、それだけの投資に対して、ユーザの要求水準が厳しく、属人的なノウハウへの依存度が高いとなれば、リスクが高すぎて新規参入は困難という状況になっているようです。
 この会社の強みも「練り物系」の一例といえそうですが、
①ユーザの品質に対する要求水準が厳しい
②設備投資が巨額である
ことが、さらにその参入障壁を強固なものにしているということになります。このような要素が参入障壁として働くということを逆に捉えると、
①ユーザの品質に対する要求が比較的緩い
②初期投資の負担が軽い
事業は、参入障壁が低くなりやすいといえるでしょう。こうした事業については、「練り物」的なノウハウ管理もそうですが、特に特許の必要性が高まりやすいということになりそうです。「特許に力を入れるべきだ」と判断する際の基準の一つとして使える視点かもしれません。