経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

「知的財産」の定義と「知的財産戦略」

2007-03-15 | 知財発想法
 ある雑誌の原稿で知的財産戦略について書いていて思ったのですが、「知的財産」をどのように定義するかによって「知的財産戦略」の意味は大きく異なります。従って、前提として「知的財産」とは何かの定義を共有しておかないと、「知的財産戦略」に関する議論は噛み合わないものになってしまうように思います。
 以前に「知的財産とは何か」の記事に書きましたが、「知的財産」の語は、
① 特許権・商標権等の知的財産権により独占権の保証された発明・商標等
② 特許権・商標権等の知的財産権の対象になる可能性がある発明・商標等
のいずれかの意味で用いられることが多くなっています。①であれば「権利を取得したものが知的財産」、②であれば「知的財産を権利で守る」、ということになるので、「戦略」の目的も異なってくることになります。
 つまり、各々の定義によって「知的財産戦略」とは、
① 知的財産権によって独占権を確保した知的財産からどうのように事業を進めるか
② 企業活動から生み出される知的財産を知的財産権でどのように保護するか 
という課題についての方針を定めるものということになりそうです。いずれかによって議論の内容は全く違ってきますので、「知的財産戦略」を論じるときには前提を明確にしておくことが重要であると思います。
 因みに私の書いている論文は、企業活動の実態に近い②を前提にしています。