経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

顧客知識

2007-01-23 | 書籍を読む
 田坂広志氏の新刊、「これから何が起こるのか」を読んでいます。前作の「使える弁証法」に続き、目からウロコの良書です。
 この本では、Web2.0によって起こる「75の変化」について解説されているのですが、例えば、
 「商品知識」よりも「顧客知識」が重要になる (第38の変化)
などは、知財の世界でも参考になる視点なのではないでしょうか。
 その背景として、顧客が様々な商品情報を容易に取得できるようになり、生産者主導の商品販売→消費者主導の購買支援への移行が進んでいくという考え方があるのですが、販売する商品についての詳細な知識より、顧客のことをどれだけ理解しているか、が問われることになるという考え方です。ここでいう「顧客知識」とは、自社の商品の視点で見た「顧客ニーズ」のことではなく、顧客の視点で見た「顧客ニーズ」が重要になるということです。
 例えば、特許事務所の提供する出願代理という商品(サービス)であれば、前者の視点で見た顧客ニーズは、「代理人報酬が安いこと」「クレームがよく練られていること」「納期が早いこと」といったことになるでしょう。これを後者の視点で見ると、顧客が求めていることは「どうやったら自社技術の優位なポジションを築けるか」ということであり、そういったニーズに応えることを考えると、サービスの提供の仕方も違ったものになってくるかもしれません。「特許事務所にそこまで要求していないよ」という声も聞こえてきそうですが、「顧客知識」というのは知財業界ではあまり意識されていないがゆえに、重要な視点になってくるように思います。