経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

「そのまんま東」超え

2007-01-22 | 新聞・雑誌記事を読む
 本日の日経1面は、なんと「そのまんま東」を押しのけて特許ネタがトップ記事です。産業再生法に、他社の知財を買い取って事業化する場合の設備投資に対して減税等を行う政策支援が追加されるそうです。
 この制度の目的は、休眠特許を買い取っての事業化を促進することにあるそうですが、具体的な施策は、設備投資の特別償却、新会社を設立する場合の登録免許税や不動産取得税の軽減など、「知財」の活用を目的にする制度である割には、直接的に知財の取得を支援するものではないようです。おそらく、知財の取得費用だけが対象では、減税といっても金額的にインパクトがないためでしょう(そういう意味では、はやりの「知財」の名を借りた、という印象が拭えなくもないですが・・・)。
 他社の休眠特許のみを買い取り、それを事業化するために新たな設備投資をするというパターンであれば、この政策趣旨にも沿ったものになりそうですが、記事によると「知財を取り込むことを目的とした企業や事業の買収を支援する」とのことです。特に事業を買収するのであれば、この場合の特許は「休眠特許」にはならないように思うので、休眠特許の事業化という趣旨とはちょっと違ってきそうです。特に技術移転が主な目的というわけではないM&Aの場合にも、「えっ、特許持ってたの?じゃあ減税になるからラッキー」といった使われ方がしてしまったりはしないでしょうか。ひどい場合は、M&Aの話が出てから慌てて何でもいいから特許出願をする、なんてケースも出てくるかもしれません。本来の趣旨に沿って政策効果を発揮できるよう、制度設計や運用に工夫をして欲しいものです。