経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

官から民へ

2007-01-04 | 知財業界
 新年初回にあたり、ちょっとマクロな視点から我々弁理士(インハウスを除く)の事業環境について考えてみたいと思います。

 弁理士の中心業務は産業財産権に関する代理業務です。産業財産権の設定は特許庁が所管する行政権に関する事項なので、弁理士の業務は、行政手続の一部を行政権の外から支えるものとも言えるかもしれません。
 一方、社会の動きを考えると、官から民へ、行政の担う領域は縮小して、民の自由競争に委ねる、という大きな流れがあります。産業財産権の設定権限が官から離れることはないでしょうが、行政手続は効率化してできるだけ簡素に、民が利用しやすいように、という方向性に変わりはないと思います。三極特許庁の特許の相互承認の動きもその一つでしょうが、この流れから考えると、対行政庁の手続は減少し、その一方で当事者間の調整に対するニーズが高まるという方向に進んでいくのではないかと予想されます。
 以上のように考えると、現在の弁理士の主要業務である対特許庁の代理業務は、マクロな視点で考えると伸びていく方向には進みにくいでしょう。一方で、増加することになりそうなのは、一つは当事者間の紛争を調整する業務であり、もう一つは当事者である企業内の知財業務(特にこの制度をいかにうまく活用するかという戦略的な部分)かと思います。もちろん、代理業務の市場がなくなるわけではないので、ここで費用対効果の高いアウトプットで勝ち残ることも選択肢の一つです。
 どう戦うかは、個々人の見通しや得手不得手によって異なってくるでしょうが、従来どおりの戦い方で安穏とはしていられません。新年早々、ちょっと厳しいテーマですが、自戒の念をこめてということで。